スピッツはずうっと架空だ

スピッツ『若葉』
2008年11月05日発売
スピッツ 若葉 - 若葉若葉
ヒロト&マーシーは、嘘だ。作り物だ。だっておかしいでしょう、あんな40代中盤の日本人。体型だって、ヒロトの足とかルパンIII世みたいじゃないか。つまり、マンガなのだ。現実じゃないのだ。その現実じゃなさがそのままあの音になっているってことだと思うが、スピッツもその類いなんじゃないかと、最近やっと気づいた。なんでずっと同じなのに、すばらしく美しい名曲を作り続けられるのか。嘘なのだ。現実世界にいないのだ。僕が草野マサムネと初めて会ったのは17年前だが、今も驚くほど容姿が変わっていない。太ったメンバーも誰もいない。ソング・ライティングにおいてもサウンドにおいても、実は毎回色々新しいトライをしているのがスピッツだというのはよく知られているし、このニュー・シングルも然りで、よく聴くと色々試してるんだけど、全体の感触はおそろしく王道スピッツ。でありながらやたら瑞々しい。時を止めっぱなしにできる人たち。時空を歪めたり空間を捻じ曲げたりできる人たち。そうか。なんかサイケデリックなバンドだなあ、とずっと思ってたけど、そういうことだったのか。(兵庫慎司)
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