PageTopButton

宮崎杉 巨大木造施設への挑戦 ~驚異の強度と耐久性~

宮崎県が生産量日本一を誇るスギ材の利用促進のため、技術開発を続ける宮崎県木材利用技術センター、通称「もくぎ」。

3代目所長の飯村豊(いいむらゆたか)さん(63)は、この10年間、「もくぎ」をけん引し、宮崎杉を使った巨大ドームや木製橋梁を建造してきた。もともと木材商社に勤め、輸入材の拡販を図る仕事をしていた飯村さんが、杉の利用拡大に方向転換した理由。それは、低迷する国産材の需要を復活させて、林業を再生したいという関係者の訴えを聞いたこと。そのためには、「やわらかい杉では大きな構造物はできない」という業界の固定概念を打ち破る必要があった。

飯村さんたちは、「堅いから丈夫」という概念ではなく、逆に「やわらかく、つぶれやすい」という杉の特性に着目した技術を開発することに取り組んだ。『木殺し』と呼ばれる、接合力を高める「伝統の技」を活用し、杉でありながら驚異の強度と耐久性を備えた数々の巨大木造施設を完成させてきた。「杉では無理」と言われてきたこれまでの常識を覆してきた証でもある。

宮崎県から日本の林業、そして世界の林業を救おうと、巨大木造施設に杉材を活用する新技術の開発に挑戦し続ける技術者たちの姿を追う。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう