まるで“別ゲー”? 『Apex Legends』シーズン16の大規模アップデートは成功だったのか

『Apex』シーズン16は成功だったのか

 2月15日、『Apex Legends』に大規模なアップデートが施された。

 根幹となるゲーム性は変わらないながら、これまで常識だったものの一部が揺らぐ大幅な調整には、プレイヤーたちからさまざまな声があがっている。

 本稿では、『Apex Legends』シーズン16アップデートに集まるプレイヤーの声から、その意味と評価を考えていく。

『Apex Legends』シーズン16アップデートの内容をおさらい

Apex Legends: Revelry Gameplay Trailer

 まずは今回のアップデートの内容について、簡単におさらいしておく。冒頭に述べた大幅な調整とは、キャラクター性能の強化と弱体化に関するものだ。全23キャラのうち、約3分の1にあたる7キャラ(シア、ブラッドハウンド、ミラージュ、パスファインダー、レイス、ホライゾン、ライフライン)になんらかの変更がくわえられている。

 特に顕著だったのは、移動系、索敵系のスキルを持つレジェンドへの変更。パスファインダーは、アルティメット「ジップラインガン」の最大射程が約60%上昇、最高速度が66%上昇、レイスは、アルティメット「ディメンションリフト」の最大距離が約2倍(約76メートル→152メートル)と大幅に強化された。

 一方、索敵系のスキルを持つブラッドハウンドは、戦術アビリティ「全能の目」の可視化時間が3秒から1秒に短縮、アルティメット「ハンティングビースト」にあった戦術アビリティのクールダウン加速効果が削除、シアは、戦術アビリティ「フォーカス・オブ・アテンション」でのフルボディスキャンが不可に、アルティメット「ショーケース」では起動時に敵の所在がわかった仕様が削除されたほか、効果時間が30秒から25秒に短縮、クールダウンが120秒から180秒に増加、と大幅に弱体化されている(※)。結果として、当該レジェンドはこれまでと運用方法が変わり、新たな役割が与えられることとなった。こうした変更は、バランスの見直しというより、コンセプトの改定に分類されるものだろう。

 また、このほかにも各レジェンドを機能・能力ごとにまとめた5つのクラス(アサルト、スカーミッシャー、リコン、コントローラー、サポート)の新設や、各武器に対する調整、新武器「ネメシス」の登場、ランクマッチにおけるマップローテーションの実装といった幅広い変更があった。対応を受け、『Apex Legends』では新たな環境が構築されつつある状況だ。

※紹介したのは一部。詳細はEA公式サイトのパッチノートを参照。

集まるプレイヤーたちの意見。シーズン16の大規模アップデートは成功だったのか

 『Apex Legends』は、いまやゲーム好きなら誰もが知る人気のFPSバトルロイヤルだ。近年トレンドとなっている同ジャンルのなかでも、もっとも重要なタイトルのひとつと言えるかもしれない。

 その点を踏まえると、今回のアップデートは、同タイトルの運営を担うElectronic Artsの強気の姿勢とも考えられるだろう。私はこれまでゲームカルチャーに触れるなかで、アップデートの方向性を間違えた結果、凋落してしまったタイトルをいくつか見てきた。もちろんそのなかには、変更以前から人気に陰りが見えていたタイトルもあったが、どちらにしてもこれまで認められていたゲーム性からの脱却は、諸刃の剣である側面がある。

 では、『Apex Legends』の今回のアップデートは、どのような結果につながったのか。実施から3週間ほどが経過し、プレイヤーたちの反応も出揃ってきたため、このタイミングで振り返りたい。

 SNSでは、パッチノートの公開直後や、個々のプレイヤーの体験前にはやや否定的な意見も見受けられたが、時間が経つにつれ、好意的な意見が増えてきた。直近では、大半が後者で、前者を見つけるのは難しい状況となっている。その多くは「別ゲー」と驚きつつも、「楽しくなった」「面白くなった」と、総合的に体験が良化したことを認めるもの。方向性としては、多くのプレイヤーが求めていたアップデートとなったようだ。

 『Apex Legends』においては、生き残りが目標であるがゆえ、ゲーム中盤にプレイヤーがバトルに消極的となるケースがままあった。そのことが原因で起こる停滞がテンポを悪くし、結果としてプレイヤーの体験を損なっていた面もある。

 索敵スキルの効果は維持(時間的・機能的な弱体はあったとしても)しつつ、移動スキルが強化されたことにより、ゲームのスピード感が増し、バトルロイヤルならではのアクション性や緊迫感が維持しやすくなった。この点が今回のアップデートにおけるポジティブな変化だろう。今回の運営の対応は、そうした環境を問題視した一種のテコ入れとも考えられる。

 先のアップデート内容の紹介には記載しなかったが、「リコン」の役割が与えられたレジェンド(ブラッドハウンド、クリプト、シア、ヴァンテージ)は、調査ビーコンにアクセスすることで、敵の位置の把握が可能となった。“停滞へのテコ入れ”という観点でみれば、この調整もまた、各レジェンドの強化・弱化と同一の対応と捉えられるのではないだろうか。

 反面、6対6でチームとして先に50キルすることを目指すモード・チームデスマッチでは、マッチングに不備があり、すべてのメンバーが揃わないことが多くあった。ランクマッチに採用されたマップローテーションでは、マップの人気の偏りに由来する不評もいくつか見受けられた。

 また、特定の武器、レジェンドが強いとされ、使用率が偏っているなど、バランスが取れている状況とは言いづらい点も今後の課題だろう。相変わらず、アップデート実装直後のバグは多く、それにより、環境そのものが混沌としてしまった面もある。特に触れておかなければならないのは、プレイヤーのランクを決めるためのポイントが不具合によりリセットされ、初心者と上級者が同じレベルでプレイさせられてしまった点。スマーフ(サブアカウントなどを使い、本来の実力よりも低いレベル帯のランクマッチでプレイし、蹂躙するなどして当該レベルのプレイヤーの体験を悪くすること)の禁止を掲げておきながら、運営公認で同行為が可能とあっては、目も当てられない。

 とはいえ、新たな風を感じさせた『Apex Legends』の今回のアップデート。プレイヤーの反応が概ね好意的であることを考えても、今後のバランス調整には期待がかかる。『VALORANT』や『Overwatch 2』といった新興の対戦シューターが台頭するなかで、同タイトルは覇権を守れるか。『Apex Legends』の時代は、これからもまだ続きそうだ。

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