こんにちは、ほそいあやです。
皆さんは、中華料理店で「カイコ」や「サナギ」というメニューを見たことがありますか。
明確にはカイコ(蚕)といえば桑の葉を食べるあの生き物ですが、中華料理店で出される「カイコ」は、違う生き物。
たいていは便宜上カイコと呼んでいるだけで、「サクサン(柞蚕)」というヤママユガ科の蛹(さなぎ)なのです!(といわれても…という感じですね)
ちなみに、カイコはカイコガ科。
サクサンの蛹がどんなものかというと、こちら。
まずはマイルドに、袋ごしにごらんください。
中華食材店の通販で買いました。500グラム×3袋。
なんでこんなに買ってしまったのかよくわかりません。
やはり、カイコと書かれています。
ちなみに、本物のほうのカイコも食べられますが、こういった形で売られていたりお店のメニューになっていることはめったにありません(ここからは紛らわしいので、表記をカイコに統一します)。
ずっしりとしていて、食べごたえがありそう。
本物のカイコの蛹は、これの三分の一くらいの大きさです。
カイコは匂いが特徴的。
ダメな人にはダメな匂いだと思います。
くせのある食材でも、甘じょっぱくしてしまえばそれなりにイケる、という持論の元、佃煮風にしてみました。
ぐつぐつ煮込んで、真っ黒なカイコがさらに真っ黒になりました。
家中がカイコ臭いです。はっきりいって、そんなに良い匂いじゃない……という意見、多し。
おまけにこの匂い、服について取れない(料理中でなくとも、置いてある部屋に数時間いるだけで)。
いやいや、肝心なのは味!
切ってみると、中まで味が染み込んでいる!
食べてみると、うーん……まずくはないのだけど、やっぱり匂いが気になってしまう。
醤油×砂糖の魔法にも屈しないカイコ臭に、こんなにも悩まされるとは。
「蛾になりたかったのに!」という強い遺志を感じます。
どうにかおいしく食べられる方法はないものか。
料理はさっさと諦め(家族から苦情がでた)、お店に来ました。
こちら、新宿の「中華茶房8」。
おいしいカイコがあるという情報を昆虫食仲間に教えてもらいました。持つべきものは友。
フカヒレの価格に驚きながら、カイコを注文。
他店でよくみかけるのは串焼きだけど、この店は揚げ物なのか。
串焼きと佃煮と燻製しか食べたことがないけれど、やっぱり匂い、あるんでしょう……?
店員さんが運んできた瞬間から、匂いがぷーーんと漂いました。
周りの席のお客さんの注目が、この皿に集中します。
………多い。
他の料理なら、大量の料理が来てしまった時に隣のテーブルにおすそ分けもありなのかもしれません。しかしこれはやめておいたほうが賢明といえるでしょう。
やっぱり、匂いは強いんだなあ。周りの人たち、匂い大丈夫かな……。
「うわ〜、おおきいなあ〜」みたいな小芝居でごまかします。
でも食べてみると……「おいしい!」
唐揚げだと口に含んだ時の匂いが軽減されるのか?
いくら食べても、匂いが気にならないのです。
揚げているので、佃煮では気になった殻もパリパリしていて口に残りません。
塩コショウの具合もちょうどよく、気づけば全部一人で食べてしまったじゃないですか。
「ラム肉の炒めのパクチー添え」はカイコの5倍くらいおいしかったです。
ちょっと前の話になりますが、ゴールデンウィークに知り合いの家でバーベキューをした時のことです。
事前に何か食べたいものがあるか聞かれ、「カイコ」と答えてしまった私。
一般的にはNGですが、ホストが中国人だったこともあり、快諾してくれました。
しかし、当日の私はめちゃくちゃ体調が悪く、顔は出したものの何も食べられずに帰ってきました。
カイコの匂いの中、途中でおいとまする気まずさ。
あのカイコ、みんなで頑張って食べたのかなあ……
すごく悪いことをしたと思っています。
以上、「カイコは揚げて食べるとおいしい」「バーベキューでカイコはだめ」というお話でした。
プロフィール
ほそいあや
「猫を愛でることと虫を食べることが趣味」
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