京都市による京町家の利活用を目的とした「京町家賃貸モデル事業」(以下、モデル事業)の第1号であるオフィス付き住宅の入居者が決定した。

再生前後の京町家(画像:京都市)
再生前後の京町家(画像:京都市)
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 モデル事業は、入居者が見つからない京町家を市が借り上げ、事業者に転貸することで、京町家の保全と継承の機運を高めることを目的としたもの。市は2021年4月に第1号物件の活用事業者としてイヅツリアルティ(京都市)を公募で決定した(関連記事)。市が京町家の所有者から固定資産税と都市計画税相当額となる年間4万7000円で借り上げ、同額で活用事業者のイヅツリアルティに転貸。今回の契約では転貸期間を15年としているが、モデル事業としては最長20年での契約を可能としている。

 イヅツリアルティは内装工事費の調達のために4月21日~5月12日の間、クラウドファンディングを実施。目標額2000万円を超える2945万円を集め、その資金をもとにオフィス付き住宅として再生した。また、入居企業としてIT企業のMobius(メビウス、東京都品川区)を選定し、再転貸した。

「京町家賃貸モデル事業」のスキーム図(資料:京都市)
「京町家賃貸モデル事業」のスキーム図(資料:京都市)
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 今後、メビウスは、京町家をサテライトオフィスとして使用し、京都のものづくりの支援に取り組む。また、京都事務所の代表者はサテライトオフィスで生活し、京町家の魅力や暮らしぶりをSNSなどにより発信していく予定だ。

この記事のURL https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/082602119/