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獣王の牙~Fang of a Beast King~

佐々井夕奈

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朝奈の姉であり、佐々井亭店長。
7年前両親を失い、今は亡き父に代わって店を切り盛りしている。
朝奈の計らいによって鍋島志郎という青年に出会い、彼を慕うようになる。
しかし志郎は自分よりも朝奈を気に入ってしまう。
たまらず嫉妬に狂った夕奈は朝奈を虐げ、それを庇う志郎にも害をなすまでに至るのだった・・・。
収集のつかなくなった三角関係は、決して欠けてはならない誰かの死によってピリオドを打たれる。

幸せな結末が夕奈を迎えることは決して無い・・・。

容姿 落ち着きと厳しさを称える美人 器量良しという言葉が相応しい彼女は佐々井亭の看板娘である。しかしその笑顔は存外に優しさを漂わせる。朝奈はそんな姉を羨望した。

性格 物腰穏やか。結果主義。 普段は優しい大人の女性。しかし仕事が絡めば別である。彼女は結果が全てという厳しい現実を知っていたから・・・。そしてそれが極端に肥大した結果が朝奈への猜疑心だ。朝奈はそんな姉に恐怖した。

言動 佐々井亭で料理を作成。朝奈と個人ミーティング。志郎に色目。 佐々井亭存続は夕奈が背負う義務。その姿勢はまさに店に勤める者の鏡と言える。姉妹水入らずのひと時は、安堵の時間からやがて拷問空間へと変化する・・・。そしてそれは全て志郎という男の存在が招いたものである。朝奈はそんな姉の変化を見て、ただ辛かった。

趣味 なし 全てを佐々井亭に捧げた女。それが佐々井夕奈。朝奈が余計な入れ知恵をしなければ、いつか彼女は幸せになっていたはずなのだが・・・。
朝奈としては、そんな姉に顔向け出来まいよ。

特技 料理 父親から受け継ぎ、磨いた腕。それだけが彼女の誇りで拠り所。そしていつか志郎のために、と・・・。しかしもはやそんな甘い夢は途絶えた。
全く以って幸薄い人である・・・。

悪名高い夕奈姉さん。
別名「ねーちん」と呼ばれている人。

とりあえず彼女は恐ろしい・・・。


狂気の眼で血の繋がった妹を一喝。
そして心から愛しい人を一蹴。
「裏切り者!!」とわめき立てるその姿は、嫉妬に狂った悪魔の女。

素敵な論理で攻め立てる夕奈。その節々には皮肉が一杯。
たじろぐ朝奈と志郎は胸一杯。
プレイヤーは既に腹一杯。


誰も彼女に逆らえない・・・

ねーちん怒り.jpg
そして自暴自棄になった挙句、殺傷沙汰を引き起こすその様。
命の軽重が分からない人じゃ無いのだが、既にそれを抑えることすら叶わない・・・。
「みんな死んでしまえ!!」と叫ぶその姿は、憎しみに捕らわれた狂気の女。

誰も彼女を止められない・・・

ね~ちん首しめ.jpg
ねーちんは、恐ろしい・・・・。






しかし・・・。
佐々井夕奈という女性とは、本来そんな人ではない。
彼女はいつでも凛として、華麗で、誇り高く、自分を律していたはず。
なにより優しく、愛情の一杯詰まった人だったはずだ・・・。


だからこそ、悪名が付きまとう事実が悲しい。
佐々井夕奈という人は、ただ不憫なだけなのに・・・。



本当はいつも優雅な夕奈姉さん
美人で気立て良く、落ち着いた雰囲気を漂わせる大人の女性。
笑うと一層美人が引き立つ存在だった。

そして高潔な魂を持つ夕奈姉さん
女手一つで由緒ある佐々井亭を支えるため、一人料理の修行に打ち込む苦労人。
でもその苦労をひけらかすことはなく、心配する妹・朝奈を逆に守りつつ、自律の心を保てる誇り高い人でもある。
だからこそ、妹・朝奈は夕奈を尊敬し、誇りに思ったのだろう。

そして心優しい夕奈姉さん
激務に追われる余裕無き生活の中で、妹をいつも気遣っていた。
母性を総動員して深い愛情を注いでいた。
亡き母親の代わりは自分しか出来ないから。
たった一人の血の繋がった妹だから。
しかし何よりただ、妹が大好きだったから・・・。


彼女はただ、佐々井亭を愛し、お客様を愛し、志郎を愛し、そして何よりも妹を愛しただけ。
好きな人に精一杯愛情を注いでいただけだったのだ。


なのに、全てが狂ってしまう・・・。


いつも一心不乱に頑張る夕奈の姿は端から見ても立派な姿。
だけどそれは、強くなければならない現実を突き付けられた結果に過ぎない。
大好きな両親を無くした悲しみに浸る時間も与えられず、佐々井亭を切り盛りしてきた姿。
それはただ、夕奈が偉大だった父の背中を追うことが出来た唯一の存在で、そして追いかける義務を背負った唯一の存在だったからに過ぎないのだ。
夕奈は、状況によって今の夕奈を演じることを余儀なくされたのだ。

本当の自分は弱いけど、朝奈はもっと弱くて・・・、
誰かに頼りたいけど頼れる相手がいなくて、でも朝奈にとっては自分という頼る相手がいるわけで・・・。

だから弱くなれなかった。
強くならなければならなかった。

でも、別にそれでも良かった。
朝奈が居てくれるから・・・。
血の繋がった妹が、たまにドジをしながら自分を頼りながら、いつも元気な笑顔を向けているその日常。
それさえあれば、それがあるからこそ今までやって来れたのだ。
そう夕奈は信じる・・・。

だからこそ、

その日常が壊された時、愛情は怒りに取って変わる。



そもそも朝奈が余計な事を思いつかなければ、
志郎が仲の良い姉妹の前に姿を現さなければ、
何より銀の糸が無ければ、

夕奈には違った人生が待っていたのかも知れない。


女の幸せという本来誰もが夢見る当たり前を、妹が気付かせたから。
そしてあろうことか、騙し、裏切り、陥れてくれたから・・・。

もう止まらない。




朝奈に悪気が無かろうと、夕奈にとっては結果が全て。
その結果が裏切り行為だったからこそ許せない。
なによりその仕打ちを与えたのが、自分にとってかけがえのない存在だった朝奈だからこそ、


憎い・・・。



本当は信じたかったのに・・・、

小さな嘘がやがて縺れとなり溝となり、
そして最終的に取り返しのつかない溝を感じてしまったからこそ、
裏切った朝奈が、朝奈にしか耳を貸さない志郎が、
もう、信じれない・・・。



そして、
本当は愛したかったのに・・・、

朝奈が故意に引き出した夕奈の恋が次第に嫉妬を伴い、盲愛となり、
しかもそれが叶わなかったからこそ、
泥棒猫の朝奈を、朝奈しか見つめない志郎を、
もう、愛せない・・・。




謀られた苛立ち。
弄ばれた屈辱。
そして、自分を見失ってしまった悲しみ・・・。
こうなったら全て、


怒りに変えるしかない・・・。


矛先は朝奈に、あるいは志郎に、
しかし本心では自分に向けて・・・。



愛情と憎しみが同居しているからこそ、もはや同じ世界に生きることなど出来ない辛い現実。
その現実から逃れるために、残された道は「死」しかなかった。


だから後は、殺すだけ。
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あるいは、殺されるだけ。
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昔の幸せを取り戻すことも、
描いた幸せを手に入れることも、

もはや全てが、夢の跡・・・。



優しかった昔の夕奈姉さんを垣間見たことが唯一の救いだけど、

結局死には抗えないという悲しさ。

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あるいは彼女の手に銀の糸が握られた時点で、それは定められた運命だったのかもしれない・・・。









佐々井夕奈・・・。
死によってしか答えを見つけられない人。
思い出の中だけでしか生きて行けない人。

幸せを掴むことが出来なかった人・・・。



そんな夕奈姉さんが余りにも哀れだった・・・。




だからせめて忘れない。
朝奈も、志郎も、プレイヤーも・・・。

彼女は本来幸せになれるはずだった女性だということを。
本当の彼女はとても優しい人だったということを・・・。





だって、姉さんがいつも見せてくれていた暖かな笑顔、















あの笑顔はきっと嘘じゃなかったはずだから・・・

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