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1980年代、私は中学・高校と電車通学であった。
大手私鉄の名鉄では、戦前に製造された車齢40年以上の電車が現役で運用されていた。車体の外部は鋼鉄製だが、車内に入ると内装・床は木製で、何度も塗られたニスで黒光りしており、子供ながらに、「昔の電車」に乗っていることがよくわかった。車両の車体の連結面の銘板には、車体の製造年代が記されており、たまたま乗り合わせた車両が、日中戦争(昭和12年)が勃発した年に製造され、太平洋戦争の戦禍と戦後の混乱を乗り越え、現役で旅客輸送に利用されていることに驚いた記憶がある。 そんな思い出のある車両も、1990年代にはほとんど廃車となってしまった。 特に印象深かった850系は、廃車後しばらく南知多ビーチランドに静態保存されていたが、塩害のため解体され、現存する車両はない。しかし、800系は、愛知県豊田市の鞍ヶ池公園にほぼ廃車時の状態で保存されている。 解説の看板。 付随車のク2313は昭和13年の製造である。車体のスカーレットの色味が当時と少し異なる印象。 溶接技術が未発達のため、車体の鉄板はリベットで結合されている。 網棚は、真鍮製で当時のまま。鎧戸は木製で、展示車両に実際に触れることができるのは大変貴重である。座席のモケットは定期的に張り替えられているようで、私の記憶では、座面は一般席が赤、優先席が紺のモケットであった。 台車は、私の好きな釣り合い梁式だが、私の記憶のなかのモ800型の台車より肉薄で華奢な感じがする。 つり革は外されている。 連結面。貫通幌は擦り切れて穴が空いていることが多く、子供の頃穴から線路やバラストをみて楽しんでいた思い出がよみがえった。(展示車両は幌は張り替えられているため、穴はなかった) 展示車両と同形式のモ800型は10両製造されており、2両固定編成の、モ801 両運転台のモ809 810 811 812 に乗った記憶があるが、保存車両のモ805は、名鉄豊田線開業の昭和54年(当時7歳)に廃車となっているため、おそらくこの車両には乗ってはいないが、子供のころの懐かしい思い出がよみがえったのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.11.03 10:34:11
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