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吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.07.29
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「たまに思う。(あの時)みんな車に乗ってて・・・これが全部夢だったらと。」
「夢か。」
「本当は俺たちはまだ11歳の少年で・・・穴蔵の中で、逃げたらどうなるかと思ってる。」
「そうかもな。(だが、そんなこと)知るか。」

久しぶりに文学的作品を鑑賞した。
この感触は・・・そう、村上龍の「イン・ザ・ミソスープ」を彷彿とさせるものだった。

どうしようもない孤独とか、絶望感など、人はふとした瞬間に遭遇する。
だがほとんどの人はそういう冷たく無機質な感情と向き合うことなく、何気なくどこかに置き忘れて一生を終える。
否、実は気付いているくせに気付かないフリをして、陽気で明るい世界を構築し、ムリヤリにでも「孤独や絶望感などとは無縁だ」とばかりに自己演出をこらしているに過ぎない。
世の中すべてが不条理だとは言わない。
だが無慈悲で理屈に合わず、正義など本当のところは存在しないのだと、人は少しずつ気付き始めている。
「ミスティック・リバー」を後味が悪いと非難する人は、残念だが何か別の作品を観ていただき、お口直しを願う。
この作品は非常に格調高い文学なのだ。
この世の不条理を赤裸々に表現している。
客観性に富み、物事のあり方、人間描写、セリフの流れに類稀なる芸術を感じた。

ボストンで少年時代を共に過ごす11歳のジミー、ショーン、そしてデイヴ。
道ばたで3人はホッケー遊びに興じていたが、それにも飽きてしまい、いたずら半分でセメント塗りたての道路に、自分の名前を書き込む。
そこへ、警官を装う怪しい男が現れ、3人のいたずらを厳しく咎める。
男は少年3人のそれぞれの所在地を聞き出し、なぜかデイヴだけを車に乗せると、どこかへ連れ去ってしまう。
その後、デイヴは性的暴力を受け、四日間の監禁後脱出し、どうにか助かる。
だがこの事件をきっかけに、3人は疎遠になっていく。
それから25年後、ジミーの娘が何者かに殺害され遺体となって発見されることで、3人は再会するのだった。

作中、ジミーが苦悶を浮かべながら罪のないデイヴを殺害したことを妻に告白するシーンがある。
この時の妻のセリフ、「あなたは王様なの。愛する者のためなら何でもするわ。」
これをどう受け止めるべきか。
殺害に正統な理由さえあれば、何でも許されるということなのか。
その罪の重さを知ってか知らずか、いずれにしても夫婦で背負って生きていくということなのか。
敬虔なクリスチャンであるはずなのに・・・。
作品全体からそこはかとなく漂う喪失感を、視聴者は否が応でも感じないではいられない。

2003年(米)、2004年(日)公開
【監督】クリント・イーストウッド
【出演】ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.07.29 08:04:48
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