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南沢奈央、デビューから16年「これから先もまだまだ楽しみが残っている」【インタビュー】

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 2006年に連続ドラマ「恋する日曜日 ニュータイプ」で連ドラ初主演を果たすと、映画・ドラマ『赤い糸』など数々の映像作品、さらにはCMなどで注目されてきた南沢奈央。落語好きとしても知られ、落語定席の高座に上がったり、NHK Eテレ「サイエンスZERO」ではナビゲーターを務めたりと、その活動は多岐にわたる。7月28日から開幕する、パルテノン多摩リニューアルオープン企画「お月さまへようこそ」にも出演。ジョン・パトリック・シャンリィの6篇の短編戯曲集を上演する本作では、その高い演技力で複数の役柄を演じ分ける。南沢に本作への意気込みや俳優業への思いなどを聞いた。

南沢奈央(撮影:阿部章仁)

-6人の俳優が6篇の短編の各役を複数演じるというのは、これまであまりない上演形態ですね。最初に企画を聞いてどう感じましたか。

 初めての体験なので、ドキドキしました。実際に脚本を読んだら、とてもすてきなお話ばかりで、全てに共通するテーマがあることを感じたので、短編6篇をまとめて上演することの意味を感じました。

-これまで、一つの作品で複数の役柄を演じたことはあったのですか。

 一つのストーリーの中で三役ぐらいは演じたことはありますが、今回は、同じ公演の中でもお話は違う、別の作品なので、切り替えて演じることが大切になると思います。

-今回上演される6篇のうちの1篇「赤いコート」は、二人芝居です。脚本を読んでどんなことを思いましたか。そして、2組上演を演出家が希望し、南沢さんは2人の俳優と共演することになりましたね。

 私はメアリーという16歳ぐらいの女の子を演じます。ピュアで、恋の芽生えを感じさせる初々しいやり取りが描かれた作品です。その瞬間にしか生まれない言葉がたくさんつづられているので、相手役の小日向(星一)さん、納谷(健)さんとの空気感を大事にして演じたいです。

-5人が出演する「お月さまへようこそ」では、どんな役柄を演じますか。

 「お月さまへようこそ」では、シャーリー役を務めます。かつての同級生たちが何年ぶりかに集う様子を描いた作品ですが、登場人物のみんなが、一生懸命、真面目に生きているのですが、なんだかちょっとズレていて…。今回の短編の中で一番クスリと笑える作品になっています。

-脚本を読んで、どの作品のどのキャラクターに一番共感しましたか。

 「赤いコート」のメアリーです。メアリーは、赤いコートにまつわる、自分だけの大事な思い出があります。それを誰かに分かってほしいと思っているわけではないけれども、(小日向、納谷が演じる)ジョンに分かってもらえたときにうれしさが広がっていく姿は、すごく理解できました。思ってもいなかったところで共有してもらえた喜びは、きっと誰しもあるんじゃないかなと思います。この作品は一見するとまるで別世界のような、難しそうなお話に見えるかもしれませんが、根っこの部分にはみんなが共感できるエッセンスがたっぷりあると思います。

-ところで、近年はコンスタントに舞台作品に出演している印象ですが、舞台作品に出演することに対しての思いを聞かせてください。

 ここ数年は、完全に活動の場を舞台中心にしています。そもそも、このお仕事を始めるきっかけが、舞台を見て、生のお芝居はこんなにも見る人にエネルギーを与えられるものなんだと感動したからなんです。もちろん映像作品には映像作品ならではの面白さがありますが、舞台は、呼吸や空気を直接伝えることでき、反応を生で受け取れるというすごい空間だと思うので、今は舞台に立ちたいという思いが強くあります。それから、事務所から独立したときに、もう一度、鍛え直したいという思いもありました。初めて舞台に出演させていただいたときに、お芝居の上でもさまざまな発見や学びがあったので、またいろいろな経験をしたいと思って舞台に積極的に出演しています。