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「引いて守るのは損、仕掛けがどんどん早くなり…」将棋界のシメオネ・渡辺明名人が盤上の攻防で例えた、W杯を勝ち抜く戦術論 

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/09/30 11:00

「引いて守るのは損、仕掛けがどんどん早くなり…」将棋界のシメオネ・渡辺明名人が盤上の攻防で例えた、W杯を勝ち抜く戦術論<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

将棋とサッカー、戦いの種目は違えど、勝負師ならではの戦術論を語った渡辺名人

渡辺 海外サッカーを見るようになって、監督さんたちの言葉に影響を受けた部分はありますね。シメオネ監督だったり、ジョゼ・モウリーニョ監督だったり。あのクラスの監督たちは、例えば記者からの質問が的を得ていなければ、「その質問は間違っている」とはっきり否定している印象があります。これは大切なことだなって。

 将棋の世界では、取材をする記者の数がかなり限られています。必然的に、いつも同じ記者の取材を受けることになる。そこで的外れな質問に対して、頭の中では「おかしいだろ」と思いながら、置きにいったようなフレーズで答えても、記者は育たない。質問のどこがおかしかったのか、記者自身が理解することで、記事の質も上がるはずです。嫌がられるでしょうけどね(苦笑)。

――言葉だけでなく、服装もシメオネ監督の影響を受けているような……。2020年7月の「第3回AbemaTVトーナメント」には、黒のスーツに黒シャツ、黒ネクタイのシメオネスタイルで臨んでいました。

渡辺 完全にシメオネ監督を意識していました(笑)。本当は、ブランドまで完全コピーしたかったんですけどね。検索したんですけど、なかなか見つけられなくて。

――渡辺名人ならではの欧州サッカー観戦方法はありますか。

渡辺 基本的に僕は夜中にサッカーを見るので、戦術面など細かな部分は気にせず、ビールを飲みながら楽しんで見るタイプです。手元に欠かせないのは、選手名鑑。気になる選手がいたら、名鑑で国籍や年齢、経歴などを調べます。シーズン途中加入で、名鑑に載っていない選手だったらスマホで調べるようにしていますね。

――将棋と同じく、研究熱心なんですね。

渡辺 選手の情報を把握しておくことで、ワールドカップをより楽しめるんですよ。実際、欧州サッカーを見るようになって、ワールドカップの見方も大きく変わりました。

サッカーと将棋の共通点

――特に印象に残っているワールドカップのシーンは?

渡辺 最近では2014年ブラジル大会の準決勝、ドイツがブラジルを7-1で倒して「ミネイロンの惨劇」と呼ばれた試合ですね。観客席で泣き崩れるブラジルの人たちの姿を見て、ワールドカップの重みを感じました。

――今年のカタール大会はAbemaが全64試合を無料生中継。日本で初めて“すべての試合をスマホでライブ観戦できるワールドカップ”です。

渡辺 外でもワールドカップが見られるのは、良いですよね。将棋もAbemaさんの中継をたくさんの人が外出先でもスマホで見てくれています。ひと昔前なら考えられなかった。僕は子供の頃、外出先で相撲がどうしても気になるときは家電量販店に駆け込んで、店内のテレビで見ていました(笑)。スマホでワールドカップが見られるなら、その必要もありませんもんね。

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