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《一軍、二軍の区別を廃止》オリックスはキャンプも中嶋イリュージョン… 小林二軍監督が「よくできた仕組み」と語る理由 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2022/02/10 11:02

《一軍、二軍の区別を廃止》オリックスはキャンプも中嶋イリュージョン… 小林二軍監督が「よくできた仕組み」と語る理由<Number Web> photograph by Kou Hiroo

数多くの投手が投球練習に励むオリックスのブルペン。昨年のパ・リーグ王者は連覇に向けて力を蓄えている

 昼前、メイングラウンドでは観客、報道陣が締め出された。春季キャンプではどの球団でもしばしばあることだが、サインプレーなどの新しいプレーを非公開で行うのだ。こういう形で新チームは作られていくのだ。

 昼時になると、打撃練習が始まる。筆者は第2グラウンドの外野スタンドを歩いていたが、続々とフェンス越えの至近弾が落下する。何事か、と思ったら、ロングティーで杉本裕太郎が豪快にバットを振っているのだ。

 後藤駿太と交代で打っていたが、後藤が鋭いライナーを外野フェンス際まで飛ばしているのに対して、杉本は角度のある大飛球を気持ちよさそうに連発している。後藤のバットは甲高い音を響かせているが、杉本のバットは低くて何かをつぶすような重たい音をさせている。昨年、アダム・ジョーンズから柔らかいフォームで飛距離のある打球を飛ばす技術を伝授されたと言われるが、飛距離は群を抜いている。

別グループ同士のコミュニケーションが刺激を生む

 Bグループは小林宏二軍監督が統括している。Bグループの全体練習の終わりに話を聞いた。

「昨年の春季キャンプの時は最下位チーム、今年は優勝チームで迎えた春ですが、特に変わったことはありません。今年も昨年同様、選手とコミュニケーションをとって育成するというだけです。

 Aグループ、Bグループが並行して練習をすることで、選手は練習の流れが理解しやすいと思うので、そういう点はいいと思いますね。そしてCグループは調整組ということで、よくできた仕組みだと思いますね。

 ブルペンではAグループの投手もBグループの投手も一緒に投げます。ベテランと若手では調整方法は違いますが、みんな競争ですね。10人が揃って投げることができる素晴らしいブルペンを作っていただいていますので、それは本当にありがたいと思います。

 僕の方から中嶋監督に今調子が悪い選手、調整が必要な選手などの進言はしています。他の球団の中には、一軍と二軍のキャンプ地が沖縄と宮崎で別れているなど、簡単にコミュニケーションできないところがありますが、その点ではすごく恵まれているのではないでしょうか。他のグループの選手の練習も常に知ることができますから、刺激にもなると思います。

 うちは昨年、若い選手が活躍しましたが、彼ら以外にもいい若手がたくさんいますので、今年は彼らにもぜひ活躍してほしい。楽しみですね」

 筆者はオリックスキャンプにも毎年足を運んでいる。小林二軍監督は「変わらない」と言ったが、やはり心なしか、今年のオリックスキャンプは明るく生き生きしているように思える。

 清武総合運動公園はこの時期、寒緋桜が見ごろになるのだが、今年は例年よりも寒い日が続いたからか、蕾が赤みを帯びた程度だった。

 若手もベテランも、実績ある選手も、発展途上の選手も横一線で頑張るキャンプから、今年も新しく「開花する」選手が出てくるに違いない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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