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中城と329と私〜恐怖スポット巡り〜

さまよう蟹(94年生まれ 西原町出身)

 最近、ふと思い出したことがある。「そういえば、小さい頃中城って怖かったな……。」
 中城。なんの変哲もないのどかな村。そう書くと恐怖を感じる要素がなさそうだが、私にとって中城は、今でもちょっとした恐怖スポットが点在する、ある種特別な場所である。

 かつての私のように西原町に住んでいて、沖縄市などの中部地区以北に行こうとした場合、国道329号線を使うのが便利だ。小さい頃、頻繁にやんばるや北部に連れ出されていた私は、毎週のように父のマイカーに乗って329を通過していた。西原から出発し、329を進むと最初に突き当たるのが、中城だ。中城を通過しないことにはそれ以北の市町村へ行けないし、子どもにドライブのルートを決める権利はなかったので、中城は避けられない。でもその中城には恐怖がいっぱいで……。

 今回は、そんな中城の個人的恐怖ポイントを、329を北上するルートに沿って紹介する。小さな女の子になったつもりで、のどかな村に潜む恐怖を追体験してほしい。

【恐怖ポイントその1】車屋の巨大ピエロ

 ハートライフ病院から329をほんの少し北上し、中城に入ったばかりのところにそれはある。

 別に何もなくない? そう、今は恐怖の対象が取り除かれている。しかし、少なくとも私が小学校を卒業する2006年くらいまでは、この車屋(くるまやー)の入口に2mほどのピエロの像が2体、狛犬や阿吽像のように鎮座していた。しかも、長年風雨に晒されたからかビジュアルが劣化しており、ただでさえピエロの時点で怖いのに、余計ホラーじみた見た目に仕上がっていた。
 このピエロが怖くて直視できないので、少なくとも小学校卒業まではここを通るときは目を逸らすようにしていた。

 ちなみに、護佐丸は怖くない。何十回と横切ってきたのに、こんな目をしてるなんて知らなかった。

【恐怖ポイントその2・3】中城モール

中城モールの店内にある、木彫りの鷲。お値段、1000万円。

 中城を代表するお出かけスポットかつ、県内屈指のB級スポットこと「中城モール」。本体はおそらく家具屋なのだが、クセ強めの商品が満載である。そして、恐怖ポイントもいくつかある。

まずモール本体の壁画が怖い。西原側の壁画はまだいい。

 ここもまあいい。カワイイネー……。

 問題は北中城側の壁画だ。


 怖すぎ。ビミョーにかわいくない巨大なくじら。飲み込まれそうなくらい大きい。特に目が苦手だ。こっちを見ないで!
この壁画のくじらが怖すぎて、中部方面から西原に帰るときは座席に隠れて、くじらにバレないように身を潜めていた。

 でも、これも中城モールの持ち味(?)だと思うので、塗り直してほしいなんて思わない。私が勝手に怖がってるだけで、くじらには何の罪もない。くじらがかわいくなったとしても、中城モールのアイデンティティが失われてしまったようで嬉しい気持ちにならないだろう。

 それからもうひとつ。中城モールのすぐそばにビーチがあるのだが、特に夜、恐怖が増すものがある。

 写真の中央、波打ち際あたりに設置されている物体が見えるだろうか。人魚像だ。正直、あまり造形がいいとは言えない。これが数体ある。気になる方はネットで調べてみてほしい(「中城モール 人魚」とかで見られると思う)。
 あんまりかわいくないし、おばけじみてて怖い。夜会ったらもっと怖いだろう。未だに直視できない。何も知らない人が夜歩いてたら絶対ビビると思う。

【恐怖ポイントその4】警告色の巨大タイヤ

 中城モールをやっと過ぎたと思いきや、すぐそばにもう一つの恐怖スポットが。ここには、重機を扱っていると思われる会社があり、入り口にとにかく大きいタイヤが数個置いてあった。それも怖かった。
 黄色と黒の警告色で、とにかく大きい。隣の中城モールの恐怖を増幅させてきた。

 今はコンビニになっていた。よかった(?)。

 ここまで読んでて分かった方もいると思うが、私は小さい頃から巨大建造物に恐怖を感じるたちで、大仏など大きくて生物感のある建造物・像などが苦手である。たまたま中城にそういうものがたくさんあったため、329で中城を通過するのが苦痛だったのだ。今回のコラムで載せている写真は、コラム執筆にあたり取材に出向いて撮影したのだが、中城モールのくじらや人魚は同行人に撮ってもらってきている。大人になってもそれくらい苦手である。

 しかし、これらが存在しているからといって、中城自体が嫌いなわけではない。中城にも何の罪もない。世界に誇れる中城城址もあるし、伊集の打花鼓のような魅力的な芸能もあって興味深い。私はこれからも329で中城を通過し続けるし、中城のいたるところを探検して廻るつもりだ。例えまだ知らない、新たな恐怖スポットがあったとしても……。

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