見出し画像

ミラクルな街コザで語ったデジタル時代に沖縄音楽界が有利な理由。

 出逢いというのは人生で貴重なものです。今回、那覇市、沖縄市(コザ音市場)と講演にお呼びいただいた野田隆司さんとの初めてお会いしたのは、韓国でした。2017年にBupyeong Music Conferenceに招かれて、人生で初めて英語で講演をしたときに会場にいらしていました。大学から沖縄在住で、レーベルやコンサート企画制作などのお仕事をされていると伺いました。
 沖縄の音楽関係者向けのデジタルセミナーは素晴らしい内容で、これまでの講師は皆、知己です。僕が一度は自分が主宰する企画でお願いした人ばかりで、企画書を拝見して、さすが野田さん、的を得た企画だなと思いました。
 お誘いに対して「やります!」と即、返事してから、さて何の話をしようかなと考えました。デジタル時代のマーケティング、プロモーションに関するTIPSや事例は既に行われています。僕がやるなら、少しマクロな視点からの音楽ビジネスの構造変化をわかりやすく話すのかなと考えていたら、気づきました。僕が解き明かしている「デジタルとグローバル」の時代には沖縄のアーティストに大きな優位性があるということにです。オンラインの事前ミーティングでべらべらしゃべって、あとは野田さんが良い感じでまとめてください!とお願いしてできたのがこの告知文です。

デジタル時代に沖縄の音楽が有利な理由

 デジタル時代に一番可能性があるのは沖縄だ!
 常に時代の先を読み、グローバルな視座で音楽・エンタメの未来を考えた時、「日本で最も可能性があるのは沖縄だ」と山口哲一氏は言い切ります。  
 沖縄には、音楽的に豊かな土壌があり、独自の文化とアイデンティティがあります。古くから独自の民謡レーベルが数多くあり、インディーズでの音楽活動という考え方が深く根付いてきました。デジタル・マーケティングにおいては、そうしたインディペンデントな考え方が時代環境にマッチしています。るといいます。成長著しい、アジアの国々に近いという地政学的なメリットも大きな要素です。また長年、音楽にあふれ、コンテンツが豊富な沖縄は、流行やブームに左右されない”ロングテール”という戦い方に向いているとも言われます。
 素晴らしい未来像しか描けないような沖縄の音楽・エンタメ業界ですが、そうしたメリットや可能性を実感できている人はおそらく一握りなのではないかと思います。今回のレクチャーでは、沖縄を外からの視座で見る山口氏が、デジタル時代における沖縄の優位性を具体的に解説し、沖縄音楽のブランディングの方向性までを提案します。
 よりマクロな視点で、これからの沖縄音楽の未来像を考えていくレクチャーです。

https://musiclaneokinawa.com/archives/51888

 本稿では、この那覇とコザで行った講義の内容を紹介します。

 前半は、いつも僕が話している、音楽ビジネス生態系の構造的変化についてお話しました。このnoteでも何度も何度も書いてきている内容なので、繰り返しません。前半のまとめはこのスライドです。

「東京経由」は不要、直接グローバル市場にアクセスしよう!

 さて、ここからが本題です。沖縄音楽界にアドバンテージがあるという僕のロジックは沖縄のアーティストや音楽関係者に伝わるのでしょうか?柄にもなく少し緊張しながらお話していきました。

 成功した沖縄ミュージシャンはたくさんいらっしゃいますが、沖縄在住のまま活動した方でも、東京の会社と契約して、少なくとも東京発信のメディアを通じてというやり方の場合がほとんどでした。
 もはや、あらゆる側面で、あらゆる理由で「東京経由」である必要はない時代になっています。そうなると、地元のアイデンティティのパワー、ブランド力が重要になってきます。

 「デジタルとグローバル」の時代の音楽ビジネスでは、グローバルにニッチファンを掴むことも可能になり、しばしばそのニッチに訴えることから始める戦略が有効です。その際は、アイデンティティの強さがポイントになります。沖縄には、多様な音楽の蓄積があり、沖縄人としてのアイデンティティをもった音楽家のネットワークが存在しています。
 加えて、観光地としても魅力があり、海外ユーザーにも沖縄というイメージを持ってもらいやすい利点もあります。
 ライブだけで最低限の生計が成り立つタイプのインディーズアーティストが日本で唯一、成立しているところでもありました。これについては、コロナ禍のダメージが心配ですね。

 デジタルサービスでのブランディングに必要なのは、初めからグローバル市場を前提に考えることです。地上波全国放送TVを前提に「国民的ヒット」
を目指す「ふわっと日本人全体」をターゲットにする戦略は成立しない時代です。大きな組織は、マストで必要ではなくなり、少人数のチームで戦えるようになりました。「沖縄の音楽」というブランドをつくって、キュレーションしていく手法が時代に合致しています。

観光地の優位性:インバウンドというマネタイズポイント

 観光地であることは、音楽ビジネスをやる者にとっては、マネタイズポイントがつくりやすいというメリットがあります。沖縄に来たら、CDショップでCDやTシャツを買ってもらい、継続的にコミュニケーションを取っていく手法が有効です。D2C的な発想で「沖縄to海外ファン」のエンゲージメントを高めていく際には、様々な業種とのコラボレーションが可能になることでしょう。音楽が望まれるケースも多いことでしょう。

 ということで、提案をしてきました。そしてエンターテックエバンジェリストしての僕は言いっぱなしの評論家ではありません。

デジタルマーケティングも沖縄での起業も応援します

 大阪音大ミュージックビジネス専攻をハブにしたアカデミックな連携や、音楽マーケテイングラボ/音楽マーケティングブートキャンプとの協業、また沖縄での起業志望者がいたら、是非、応援したいとお話しました。

 沖縄でインディペンデントに活動する音楽家、音楽関係者に少しでも刺激にしてもらえたなら嬉しいです。

映画「ミラクルシティコザ」が伝えてくれること

 最後に僕の論拠を支えてくれるような映画が公開中なので、熱く紹介。
 偶然ですが、沖縄でのロックの系譜を如実に物語る映画が公開されていたのはグッドタイミングでした。
 伝説のロックバンド紫が、メンバーが変わりつつも、今も現役であること、そして紫をモデルにした映画に、orange rangeの音楽が使われていることなど、まさに「沖縄でなければ起きないこと」だと思います。
 沖縄出身の新進監督には言いたいことが山盛りだったのでしょう。要素が多くて観る側に消化力を必要とする映画ですが、珠玉の音楽映画でもあります。是非、映画館でご覧になって下さい。
 後から知ったのですが、プロデュースが僕にとってはとても懐かしいオフィスクレッシェンドチームでした。Good Job!!

日本版チャンス・ザ・ラッパーの出現はいつ?どこから?

 ここまで読まれた読者の方は、沖縄宛の僕の提言は、多くの地方都市に当てはまることにお気づきかと思います。2日間のセミナーが終わった後に「この内容で全国セミナーツアーやるべきですね」と言われたので、「野田さんがブッキングしてくれたら、どんなに安いギャラでも行きますよ」とお答えしました。
 ご明察です!「東京経由でふわっと日本全国」で、国民的ヒット曲を出そうと考える時代は過ぎ去り、デジタル時代は、グローバルニッチな音楽ファンも意識しながら、「ローカル発で直接グローバル市場を狙う」時代になりました。
 アメリカで、シカゴを拠点に活動するチャンス・ザ・ラッパーが、LAにもNYにも行かずに、そしてCDも出さずに、グラミー賞受賞したのは2017年のことでした。日本版チャンス・ザ・ラッパーが、いつどこから出てくるのか?挑戦する人をサポート、応援したいです。経験や情報が足らないことがあれば何でもお教えします。
 また、地方発でグローバルで活躍するアーティストを継続的に出現する環境を作るサービス、音楽ビジネス生態系をUPDATEする事業をStudioENTREは生み出していきたいと思っています。
 デジタル時代の新世代音楽家、地方発の起業家の活躍を心底期待していますし、そのための助力は惜しみません。連絡下さい!

 podcast「EnterTech Street」はRADIO TALK、Spotify、AppleMusicなどで配信しています。ブックマークをお願いします。

まぐまぐでメルマガも毎週発行です。読者登録お願いします!

 <関連投稿>


モチベーションあがります(^_-)