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利益2784%増って・・・。セールスフォース・ドットコム決算発表(2020年5~7月期)

米国の株式市場は、このところ絶好調です。
先週も、主要指標の上昇が続きました。このうちS&P500指数とナスダック指数は、ともに連日の過去最高値更新となっていました。

そんななか、8月26日に株価が前日比26%も上昇した銘柄がありました。
それが、セールスフォース・ドットコムです。

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セールスフォース・ドットコムは、企業向けの顧客関係管理(CRM:Customer Relationship Management)ソフトウェアの世界トップ企業で、日本でも事業展開をしています。

営業支援ツールやデジタルマーケティング、eコマースシステム、デジタル研修、カスタマーサポートなど、多くのビジネスシーンに対応した製品サービス・プラットフォームが準備されています。

これら多くのサービスを、いち早くクラウドを用いて提供してきたところに特徴があります。

では、なぜ株価がこんなに急騰したのでしょうか。

最新の決算動向

1つの大きな理由は、その前日の8月25日に発表した2020年5~7月期決算にあります。
内容を見てみましょう。

(100万ドル)   売上高  営業利益  純利益 1株当たり利益
2019年5~7月期  3,997      58     91    0.11ドル
2020年2~4月期  4,865   -140     99    0.11ドル
2020年5~7月期  5,151    178   2,625    2.85ドル

売上高は51億5100万ドルで、前年の同じ期と比べ28.9%増加しました。
これは四半期ベースの売上高としては過去最高です。

企業の業務効率化などのニーズが高まっており、近年はクラウド需要の増加からユーザーが拡大し、収益源である利用料金は四半期ベースで20%を超える伸びが続いています。

事業が拡大し、売上高が伸びたことで、売上原価はもちろん、マーケティング関連の費用や研究開発費も増加しました。ただ売上高の伸びが大きいので、こうしたコストの増加分をしっかり吸収しています。

事業活動でのもうけを示す営業利益(Income from operations)は1億7800万ドルで、前年同期と比べ3倍(206%増)となっています。

そして、この四半期は一時的な会計処理の結果、税金からの利益を約20億ドル計上しました。その結果、純利益は26億2500万ドルとなり、タイトルにもあるように前年同期比2784%増(28.8倍)となったわけです。
1株当たり利益も2.85ドルで、前年同期比2491%増(25.9倍)となりました。

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部門別の売上高

セールスフォース・ドットコムは、部門別のデータを公表しています。

・Sales Cloud
・Service Cloud
・Marketing and Commerce Cloud
・Salesforce Platform and Other

Sales Cloud は、顧客データの管理・保存、進捗管理、予測と分析、見積もり、契約、請求書の配信など、企業の販売に関連したソリューションの部門です。この部門の売上高は、前年同期比13.2%増加しました。

Service Cloud は、主にカスタマーサービスやサポートを中心とした部門です。この部門の売上高は、前年同期比19.9%増加しました。

Marketing and Commerce Cloud は、デジタルマーケティングやeコマースシステムなどを中心とした部門です。この部門の売上高は、前年同期比21.1%増加しました。

Salesforce Platform and Other は、それ以外の部門と統合型サービスを含む部門になります。
ここには、ニーズに合わせたさまざまなアプリケーションを構築できる統合プラットフォームとして2019年に提供を開始した「Customer 360」が含まれます。
この部門の売上高は、前年同期比65.8%増と急拡大し、同社の最大部門へと成長しています。

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今後の見通し

2020年5~7月期決算と同時に、今後の見通しについても発表しています。

        2020年8~10月期  2021年1月期(年間)
売上高     52.4~52.5億ドル   207~208億ドル
(前年比)       +16%     +21%~22%
1株当たり利益   0.03~0.04ドル     3.12~3.14ドル

引き続き、好調な状態が続く見通しとなっています。

決算発表の前日の8月24日、ダウ工業株平均株価の構成銘柄が入れ替えされると発表になりました。3銘柄が入れ替えになりますが、このうち新たに採用される銘柄の1つに選ばれています。

指数に採用されたことも、株価上昇の1つの要因といえるかもしれません。

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まとめ

・2020年5~7月期の売上高は前年比28.9%増加
・コスト増を吸収し、営業利益は前年比3倍
・税金収入計上で純利益は前年比2784%増(28.8倍)
・統合型パッケージ拡大し、収益主柱に成長
・21年1月期通期も大幅増収増益の見通し



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