見出し画像

『突撃!ヒューマン!!』の学年誌連載まとめ(「最終回が2ページだけ」などについて)

1/24~1/31まで、おおむね毎日更新の予定です。

 

前置き

『突撃!ヒューマン!!』は、1972年に放送されたヒーロー番組です。
テレビ放送と同時に、『小学一年生』『小学二年生』といった小学館の学習雑誌で、漫画版も連載されました。

しかし、番組は1クール(3か月)で打ち切り。
学年誌の漫画も、連動して3か月で打ち切りとなりました。

たとえば、『小学二年生』の連載は1972年12月号でスタート。

この第1話は、オーソドックスな6ページの漫画(うち扉絵が1ページ)でした。
続いて、1973年1月号の第2話は4ページで掲載。

そして、1973年2月号の第3話が最終回で……。

最終回は、この2ページだけでした。

  • ラスボス戦が「おそいかかった。そして、ついにたおした」で終了

  • 空に死んだ人の顔が浮かんで完

と、2コマですべてを終わらせた最終回で、『ソードマスターヤマト』感がスゴいです。

 

※ソードマスターヤマト

『ギャグマンガ日和』の劇中漫画『ソードマスターヤマト』は、漫画あるある的なネタ。
人気がなくて打ち切りになって最終回を3ページで無理矢理終わらせるという話です。

小学二年生版『突撃!ヒューマン!!』は、ある意味でもっとも『ソードマスターヤマト』に近い実例と言えるかも知れません。

いくら打ち切りでも、普通の漫画雑誌で極端な減ページを食らうことはほとんどないので……。
(学年誌連載はレギュレーション違反という気はしますけど)

そんなこんなで、今日は、『小学二年生』以外の学年の『突撃!ヒューマン!!』はどうだったの? というのを、簡単に紹介していきたいと思います。

 

『突撃! ヒューマン!!』とは

と、学年誌の話をする前に……。
原作のテレビ番組がどんな内容だったのかについて、少しだけ説明しておきます。

まず、『突撃!ヒューマン!!』は、実際に見たことがあるという人が滅多にいない番組です。
というのも、裏番組が『仮面ライダー』で、一度再放送されたあとは、ソフト化されていないからです。

 

未ソフト化

『突撃!ヒューマン!!』自体は、日本テレビ系列で土曜の夜7時30分から毎週放送という、れっきとしたゴールデンタイムのテレビ番組でした。

『小学三年生』1972年11月号

同じ時間帯に、他局で初代『仮面ライダー』が放送中。社会現象になっており、『突撃!ヒューマン!!』開始の前月に幼稚園児が屋上からライダージャンプして死亡という事故もありました。

テレビ番組『突撃! ヒューマン!!』の特徴は、観客を入れた舞台を録画・編集して公開という形式でした。
「変身ブーム」の最中、ヒーロー番組の新しい形として、『8時だョ! 全員集合』みたいなスタイルが模索された感じなのですが……。

そのため、ほかの特撮のようにフィルム撮りではなかったのが、ソフト化できない理由らしいです。
ZAKZAKの記事には、「テープが高価で、放送終了後に別の番組を上書きしていたため、マスターテープが存在しない」という「業界関係者のコメント」が載っていました。

※家庭用ビデオデッキが発売されたのは1975年ごろで、定価は23万円。テープが1本数千円って感じでした。1972年の『突撃!ヒューマン!!』の頃だと、庶民はテレビの前にラジカセを置いて録音するのが精々でした。

ただ、2009年に「懐かしのせんだい・みやぎ映像集 昭和の情景」というDVDの企画があって……。

このとき、仙台の一般家庭から持ち込まれた8ミリフィルムの中に『突撃!ヒューマン!!』ショーの様子が映っているものが「発見」されたそうです。
番組そのものではなく、長さも1分ちょいなのですが、それでも『突撃!ヒューマン!!』の現存する唯一の動画と言われています。

 

スタッフ

ヒューマンの造形は、ウルトラマンをデザインした男・成田亨さんが担当。
基本プロットとかは、主に藤川桂介先生の仕事みたいです。

※成田亨さん……元来は彫刻家。ウルトラマン、ウルトラセブン、多くのウルトラ怪獣(ガラモン、レッドキング、ジャミラ、ダダ、ゼットンなどなど)をデザインしたことで有名。バルタン星人は「セミ人間にハサミを持たせて」という監督の注文を受けたデザインで、成田さん自身は気に入ってないらしいです。

※藤川桂介先生……小説家としての代表作は『宇宙皇子』。80年代半ばまでは特撮やアニメの脚本がメインで、『ウルトラマン』や『宇宙戦艦ヤマト』に企画から関わりました。

てことで、『突撃!ヒューマン!!』にはウルトラスタッフが関わった作品というイメージがあります。

 

デザイン

成田亨さんによると、

「ヒューマンは、宇宙人というわけじゃないと思ったんです、僕は。要するに、超人間。超人っていうんですか。そういう人間でいいんじゃないかなと思いました」(『特撮と怪獣 わが造形美術』)

とのことで、ウルトラマンと共通する要素を持ちつつ、より人間的なデザインにしたらしいです。

ウルトラマンについて:「最初に描いたデザイン画では、胴体の表面を鎧のようにしました。でも、描いてみて、やっぱり宇宙人だから、これよりもっと宇宙人らしくしなきゃいかんのじゃないかなあ、と思いました。(中略)だから、鎧じゃまずいと、鎧をやめた」

ヒューマンについて:「胸にステンレスの、鎧みたいのを着てます。鎧というのは、もっと人間的だと思ったからです」

てな感じで、ヒューマンは次のようなデザインでした。

『小学三年生』1972年11月号

「富士山のちょう上におちた鳥のはねの音も、東京にいて聞こえる」など、強力なスペックを誇ります。

手をぐるぐるまわして、まわりのくうきをなくし、あいてをたおす
「ひとさしゆびを十字にくんで、あいてを思うままに動かす
といった能力だけで、対策スキルを持たない敵には完勝できそうですね。

ここから先は

3,422字 / 28画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?