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Fitbit(selfbase)でどのようなデータを取得することができるのか(睡眠編)

 こんにちは,医学研究科博士課程の石川です.Tech Doctorではインターン生として活動しています.
 前の記事では,Fitbitで測定できる心拍数,歩数や移動距離・消費カロリーなどのアクティビティデータについて書きましたが,今回はFitbitで測定できる睡眠に関するデータについて説明していきます.

1. 睡眠データ

 Fitbitでは,睡眠時間,睡眠ステージの判定,ベンチマークとの比較,睡眠スコアという独自の睡眠の質を評価する指標を示すことができます.
Fitbitでは,3軸加速度計のデータと心拍数データを組み合わせて,睡眠状態と覚醒状態や,睡眠ステージを推定しています.1時間程度動作のない状態が続くと,Fitbitは睡眠状態にあると認識します.睡眠ステージの情報を取得するためには最低3時間の睡眠データが必要で,3時間未満の睡眠では詳細な結果の取得はできません.
 Fitbitで取得した睡眠データはスマートフォンアプリと連携させることで下の写真のように確認することができます.上に表示されている数字"85"が「睡眠スコア」と呼ばれるもので,その下に睡眠時間,その下に睡眠ステージが映されています.各項目の詳細は以下で説明します.

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fitbitアプリで確認できる睡眠データ

1.1 睡眠時間

 前述の通り,1時間程度動作のない状態が続くと,Fitbitは睡眠状態にあると認識します.一晩の睡眠中に10-30 回程度の短い覚醒状態が発生することが知られていますが,比較的短時間の覚醒だった場合には本人が記憶していないこともあります.Fitbitはこのような短い覚醒を判定し,記録された合計の睡眠時間から差し引いた時間を睡眠時間としてユーザーに提供します.

1.2 睡眠ステージ:判定には3時間以上の睡眠が必要

 睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠のふたつの種類があり,さらにいくつかのステージに分けられます.より脳の活動が少ないノンレム睡眠には,浅い睡眠のステージと深い睡眠のステージがあり, 特に深い睡眠は一般に就寝直後に長く現れます.鮮明な夢をみる睡眠段階とされるレム睡眠ステージは,一般に就寝時間が進むにつれて長くなります.各睡眠ステージについて簡単に説明します.

1.2.1 浅い睡眠
 眠ってから数分以内に始まるステージで,初期段階では覚醒状態と睡眠状態を行き来することもあります.呼吸,心拍数はわずかに減少し,体の動きもリラックスするとともに減少します.心身の回復を促す作用があると知られています.

1.2.2 深い睡眠
 眠ってから最初の数時間で起きるステージです.深い睡眠のステージでは,呼吸は遅く,心拍数は起床時より規則的になり,筋肉は弛緩します.身体的な回復と記憶や学習を促進し,免疫システムの働きもサポートすると知られています.

1.2.3 レム睡眠
 深い睡眠を経たあとに起きるステージで,通常は睡眠中の後半に起こります.レム睡眠中は脳が活発になり,夢を見るのもこのステージです.眼球がさまざまな方向に素早く動き,心拍数は増加し,呼吸は不規則になります.レム睡眠では,前の日の情報を脳で処理し,長期的な記憶にするための重要な役割を果たします.

 睡眠中はこのような睡眠ステージが平均90分のサイクルで現れ、浅い睡眠から深い睡眠,次に浅い睡眠に移り,そしてレム睡眠に進むのが最も一般的です.
 Fitbitでは,これらの睡眠ステージを体動や心拍数から判定し,各ステージの長さや全体に対する比率を提供します.過去30日間のユーザー自身の睡眠ステージの平均データと照らし合わせる機能があります.
また,公開データに基づいて同性・同年齢層の他のユーザーの睡眠ステージ情報と,ユーザー本人の睡眠ステージを比較したデータを見ることも出来ます.

ベンチマーク2
ユーザー自身の過去30日間の睡眠データとの比較


ベンチマーク1
同性・同年齢層の他のユーザーの睡眠ステージ情報との比較

1.3 睡眠スコア

 Fitbitには,睡眠時間,睡眠の質,回復という三項目から睡眠を100点満点で採点する機能があります.多くの人は72~83のスコアに分布しています.睡眠時間の項目は単純に睡眠の長さが長いほど高スコアを示し,睡眠の質は深い睡眠のステージやレム睡眠の時間が長いほど高スコアになり,回復の項目は睡眠中の心拍数が高くないことや動きが激しくないことでスコアが上がります.

ある日の睡眠スコア


2. まとめ

 前編のFitbitで取得できる心拍・アクティビティデータ編に続き,今回は睡眠データについてまとめました.睡眠データを取得するには最低3時間の睡眠が必要なので,短時間の昼寝等には活用できませんが,睡眠中のデータから自分の健康状態を客観的に確認することができます.
 睡眠中の状態をこれほど簡単に低負担で記録・推定できるのはこうしたウェアラブルデバイスの強みです.


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 弊社㈱TechDoctorではウェアラブルデバイスデータを主軸に人々のメンタルヘルスを計測・可視化、さらには分析していき,より健全な社会にしていくことをモットーに調査・研究・サービス開発を進めております.
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参考文献

[1] fitbit Help Manuals, ”How do I track my sleep with my Fitbit device?”, https://help.fitbit.com/articles/en_US/Help_article/1314.htm (2021/11/30)
[2] fitbit Help Manuals, "What should I know about Fitbit sleep stages?", https://help.fitbit.com/articles/en_US/Help_article/2163.htm (2021/11/30)
[3] National Sleep Foundation, "What Happens When You Sleep?
", https://www.sleepfoundation.org/how-sleep-works/what-happens-when-you-sleep  (2021/11/30)

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