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東スポすら変わった...竹内結子さん訃報でわかったメディアの自殺報道の変化


自殺報道については2019年12月に下記のnoteを書きました。

ク・ハラさんの自殺報道時、速報段階でも「ウェルテル効果」(マスメディアの自殺報道の影響により、後追い自殺が増える現象)を防ぐため、韓国では支援を受けられるホットラインへの連絡先がどのメディアの記事にも書かれていました。

一方、日本ではNHK、朝日新聞、読売新聞といった大手メディアですらホットラインへの連絡先が書かれていない。日韓の自殺報道を比較した記事でした。

変わる日本の自殺報道

9月27日朝、女優の竹内結子さんの訃報が流れました。

NHKの報道では「自殺とみられる」と速報段階で伝えた上で、文末に「日本いのちの電話」のフリーダイヤルが掲載されています。

Yahoo!ニュースで「いのちの電話」へのフリーダイヤルが掲載されている記事を検索するとテレビ局、スポーツ紙も掲載しています。

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こうした面には若干にぶい面がある古巣の東スポもきっちり掲載していることが「日本の報道も変わるのだ」との思いをより強めます。

三浦春馬さんの死から報道に変化

メディアの自殺記事にホットラインの情報が掲載されるのが目立ちはじめたのは三浦春馬さんの訃報からでした。

朝日新聞、毎日新聞などの一般紙にFNN、ウェブメディアではハフポストが掲載していました。

芦名星さんの訃報の際も日経新聞やテレビのウェブ報道ではホットラインが記載されていました。

こうした報道対応には鈍感なスポーツ紙なのですが、スポニチも9月19日の記事で文末にホットラインを掲載をしています。

今回の竹内結子さんの報道でもスポニチはきちんと掲載しています。

俳優の藤木孝さんの訃報でもNHKはつけていました。

こうした流れは三浦さんより前に亡くなった木村花さんの死も大きかったかもしれません。

自殺報道について小さな前進があった一方、元テレビディレクターの水島宏明さんは、三浦さんの訃報の際にテレビ局が「どういう方法で死亡したのか」など自殺報道ガイドラインに反する報道を行っていると指摘しています。

厚生労働省のホームページにある自殺報道ガイドラインは次のようになっています。

<やるべきこと>
• どこに支援を求めるかについて正しい情報を提供すること
• 自殺と自殺対策についての正しい情報を、自殺についての迷信を拡散しないようにしながら、人々への啓発を行うこと
• 日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道をすること
• 有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること
• 自殺により遺された家族や友人にインタビューをする時は、慎重を期すること
• メディア関係者自身が、自殺による影響を受ける可能性があることを認識すること
やってはいけないこと
• 自殺の報道記事を目立つように配置しないこと。また報道を過度に繰り返さないこと
• 自殺をセンセーショナルに表現する言葉、よくある普通のこととみなす言葉を使わないこと、自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと
• 自殺に用いた手段について明確に表現しないこと
• 自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと
• センセーショナルな見出しを使わないこと
• 写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

今回の竹内さんの報道にもガイドラインから見ればアウトなものもあります。まだまだ改善すべき問題は少なくありません。

最後に

以前の記事で、僕はこんな風に書いています。

センセーショナルなニュースにはやる気持ちはよくわかりますが、自殺予防のホットラインを記事に貼り付けることで「自殺報道で自殺が増える可能性もあるんだよな」と一瞬でも思い浮かべる時間を作ることは、決してマイナスにはならないかと思います。

そもそも自殺報道は競争ではないのですし。

ホットライン掲載はコピペをするだけの作業で済むのですし、手間とはいえないでしょう

コロナによって精神的につらい時間を過ごす人は増えています。小さな変化が悲劇を少しでも減らすことを願わずにはいられません。

【いのちの電話】
0570-783-556(ナビダイヤル)
午前10時から午後10時まで

0120-783-556(フリーダイヤル・無料)
毎日16時から21時まで
毎月10日午前8時から翌日午前8時まで
(IP電話(アプリケーション間の無料通話を除く)からは03-6634-7830)

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