中国点描#4 内モンゴル旅行記(今更)

長い間ご無沙汰を致しておりました。糖葫芦です。
 前回の投稿が3月中旬なので約三ヶ月ぶりの投稿。継続って難しいね()。投稿していない間に、中間試験も終わり、期末試験も終わり、先日とうとう成績まで(ほぼ)出揃ってしまいました。
 過去の記事に詳細を記しているため参照していただきたいのですが、私は早稲田大学から北京大学にダブル・ディグリー(DD)留学をしている身。北京大学で所定の単位を取らねば学位が取得できないのですが、成績が開示により必要単位の取得が確認できたため、無事DD成功が内定しました!

 DD成功の感慨については後ほど語るとして、今回は4/29日から5月1日まで、ツアーで行った内モンゴルについて書いていこうと思います(ほんっとーに今更)。

 中国にはちょうどゴールデンウィークの時期に”劳动节”(労働節)、あるいは"五一"と呼ばれる大型連休があります。
 その時期に行ってきたのがこの内モンゴル旅行。コロナ禍前も開催していたツアーのようで、行楽シーズンの五一にしては破格の1000元(2万円)で2泊3日の旅。

…ただ、やはり安いだけあり色々と問題もあり…ということでちょっと不満口調が強めの記事になっております。なにとぞご寛恕あれかし。
それでは本編行ってまいりましょう。

前座 内蒙古(内モンゴル)自治区とは?

 …の前に、内蒙古自治区とは?どこにあんの?ってことを少し解説。内蒙古(内モンゴル)自治区は、北京からやや西北に向かった場所にあり、モンゴルとの国境沿いに広がるモンゴル族の少数民族自治区域です。首都はフフホト市。
 域内は砂漠が多く、畜産などが伝統的に盛ん。最近では鉱業資源を多く産出しています。

内モンゴル自治区(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AB%E8%87%AA%E6%B2%BB%E5%8C%BA)

 民族自治区域とは、モンゴル族やチベット族など、中国国内の漢族以外の民族が一定の自治権を認められている行政区域のこと。自治"区"は省と同格(内蒙古自治区はこれ)、他に省の下にある市と同格の自治州などの民族自治区域があります。
 …ただし、民族自治区域といっても、別に少数民族が区域内で多数派を占めているわけではないのです。今回旅行する内蒙古自治区にしたって、実は漢民族が人口の80%を占め、モンゴル族は20%にも満たない。他の民族自治区も状況は似たり寄ったりです。
 とはいえ、基本的に民族自治区の指導部はその民族から選出されることになっています(ただ、あくまでも住民の多数派が漢民族であることから、少数派が上に立つことに対し不満を持つ方々もいるんだとか…)。
  
 さて、ざっと内モンゴルがどんなところか理解できたところで、さっそく旅行の様子を見ていきましょう。

1日目 

1.1 早朝集合と長いバス

 このツアーの参加者は北京大学の学生だけでなく、清華大学など北京市内の他大学の学生も参加可能。というわけで迎えのバスは、これらの大学のキャンパスをめぐって学生たちをピックアップしておりました。
 集合は午前4時半という早朝of早朝。ガイドがグループチャットで「ぜってぇ遅れるな!」と強く強く念押ししていたので怖くて前日はほぼ徹夜しました。まあ、寮の前までバス来てくれるんだけどね。
 ぜってぇ遅れるな的雰囲気を出してた割に、迎えのバスは予定より10分遅れて集合場所に到着。この時点で既にちょっと嫌な予感が漂ったがとりあえず荷物を乗せてバスに乗り込んだ。
 
 そしてそこから始まるのが、なんと脅威の7時間に及ぶ往路の長旅。しかも道中の休憩は1回のみ。日本と比べて中国はデカいので止むを得ないところもあるのだが、いくらなんでも移動時間が長すぎるand休憩が少なすぎる。座りっぱなしで腰を痛めてしまった。12時を回った頃にようやく内モンゴル自治区内のフフホトに着到。この時点で何もしてないのにヘトヘト。
 でも無事についただけまだいい方で、なんと別のバスは途中でエンストし3時間くらい路上に放置されたらしい。

1.2 乗馬体験

 昼食を食べた後再び揺られ揺られて、14時にようやく最初のイベント、乗馬体験へ。
この乗馬体験自体はひじょ〜〜に楽しかった。日本の動物園とかでありがちな農場を二、三分回って終わり、というしょぼいやつではなく20分くらい?(正確な時間は覚えてない、もっとだったかも)じっくり走ったり歩いたりできたのですごく面白かった。
 乗ってる時は実感湧かなかったけど、意外にも内股周りが結構筋肉痛になってたので乗馬もちゃんとやればいい運動になるかもしれない。

乗馬中の私

1.3 ゲルと星空

  ゲルとは中学の地理とかに出てくる、モンゴルなどの遊牧民が使う移動式のテントのような住居です。とはいえ僕らが泊まったのは本来のゲルではなく「ゲル的な小屋」。

宿泊したゲル

 本来は移動式なのだがかっちりコンクリで作られてるし固定されている。雰囲気のみを味わうゲルとなっています。まあそれはいいとしても、このゲルの設備は誉められたものじゃない。まず暖房が効きません。エアコンなどという文明の利器に頼るなぁ!ってことでしょうか。

 まあエアコンが100歩譲って贅沢品に入るとしても、最悪なのは水が出ないこと。どうも部屋によって差はあるようですが、大体の部屋でお湯が出ないorそもそも水すら出てこないという事案が発生したようです。
 ただでさえめっちゃ寒い上に冷水シャワーなんて浴びようもののなら余裕で落命することが予想できたため(というかそもそも水すら出ないから冷水シャワーすら浴びれない)、この日はお風呂を断念。翌日の朝、電気ポットでお湯を沸かして顔だけ洗うことにしました。
 さて、そんなポンコツゲルに着いたのがだいたい4時半くらいなのですが、ここで夜ご飯は8時からという衝撃の事実を告げられます。その間の約3時間は自由時間…とは言え自由時間といえば聞こえはいいものの、周辺には何もなく、せいぜいゲルの近くにあるコンビニでお土産を探すくらい。
 多分これは元々の予定ではなく、単に先ほどのエンストしたバスが到着するのを待っていたようです。仕方ないといえば仕方ないのですが、普通ツアー中のバスがエンストなんかするか???という感じ。せめて無くなりそうになる前にガソスタ寄ろうぜ。
 
 夕ご飯はゲルで少数民族のパフォーマンスを見ながら。ジンギスカンやホーミーやらで大盛り上がり。

ホーミーを披露!

 長い1日のわりに、大きなイベントは乗馬体験くらいで、それも2時間程度。他は大体待機か移動時間だったので充実度は少なめでした。
 ちなみに、内モンゴルの星空はとっても綺麗。なにぶん所持していたのがデジカメだったので写真は撮れなかったのですが、春から夏にかけての星座が美しく輝いていました。
 


2日目

2.1 砂漠体験 ガンダーラ文化旅行区

 本日はガンダーラ文化旅遊区へ。ここはクブチ砂漠の一部が観光地化されているところで、ロープウェイやラクダ騎乗体験などのアトラクションが楽しめる場所です。

一面の砂漠

 何気にちゃんとした砂漠(ちゃんとしてない砂漠ってなんだよ)を見るのは人生初めて。
 毛がモッサモサな駱駝に乗ったり、砂漠の上をバギーで走り回ったりしてとても楽しくまた砂だらけな1日。

 おまけにこの日の夕食は、フフホト市内に戻っての火鍋!内モンゴルは羊肉の名産地で、火鍋でもたくさんの羊肉が登場。僕は羊肉に目が無いので火鍋でもガッツリ食べた上に、ホテル近くの夜市にも行って羊肉の串焼きも食べてきました。

夕食の火鍋!この後早大DDの仲間に誕生日の人がいたこともあり、
お祝いをしてもらいました。
めちゃくちゃうまい上に3元(60円)と格安の羊肉!

2.2 4つ星!のホテル

 しかし、そんな幸せ気分を無事壊す…この旅で一番衝撃が大きかったのがこの2日目のホテル。ツアー主催者によると4つ星ホテルだそうで、前日のゲルがアレだったこともありみんな期待していたのですが、なんとまさかの「お湯が出ない」「なぜか赤い水が出る」というぶっとびっぷり。
 前日のゲルを経験した僕の期待値は「部屋があったかくてお湯が出ればなんでもいい」だったのですが、その最低の基準すらぶち破ってくるとは夢にも思わず。
 ゲルの設備がひどかったのは「まあゲルってこんなもんだしな」で済ませられるのですが、流石に普通のホテルでこれはひどい。もっといえばこの日は、前日シャワー浴びれてない+1日砂漠で遊んでたのでみんな砂だらけ汚れだらけ、はやくシャワーを浴びたいと思ってた人が多いはず。
 僕も心を無にして電気ポットでお湯を沸かし続けて体と頭を洗う作戦を決行。一部の人は冷水シャワーを浴びたり、あるいは近くの銭湯に行った人もいたとのこと。

こんなふうにポットでひたすらお湯を沸かし続けるという限界入浴をしてました。

3日目

 内蒙古博物館

 3日目の朝は(比較的)ゆっくりスタート。午前中は内蒙古博物館へ。
このツアーで一番楽しかったのはここ!契丹や遼の遺跡や文化、内モンゴルの少数民族の暮らし、民族自治区における共産主義革命や抗日戦争などに関する貴重な史料を見れたので大興奮。一番面白かったのは漢代の遺跡から出てきた絵画で、当時の日常を垣間見れる資料が多い。
 と、博物館自体は非常に良かったのですが、わずか2時間弱で回れとのお達しだったので時間がまるでなかったのが残念でした。
 

モンゴル族の文化紹介
戦時中の日本侵略のことも書かれていましたね…
これは大隈重信首相が出した二十一箇条の要求について。
遼の時代の文化財
漢代の版画に見えるキス。西洋のものとされがちなキスですが、
愛情表現としてのキスは古今東西に存在。日本でも「口吸い」と呼ばれておりました。


 帰路についたのは午後から。むろん行きと同様7時間のバス旅。タコづめみたいなバスに何時間も篭りっきりなので車内は暑く、なのにエアコンはほとんどつけてくれないからしんどかったです。
 行きのときに「帰りは疲れてるから余計しんどいだろうなあ」と思っていたが、行きの時よりも休憩回数が多くなってリフレッシュもできたからか、思ってたほどしんどさは感じませんでした(まあ長いのは変わらんかったが)。
 
 

内蒙古旅行総括

 個人的にはなんだかんだで楽しい旅でした。乗馬体験だったり博物館だったり、観光地そのものはとても楽しかったし、貴重な経験ができました。ご飯も(とくに2日目の火鍋が)美味しかった。
 
 ただ、やっぱり運営・企画の荒が目立つ旅行でもありました。一番の問題はやはり移動時間。費用を抑えるためにバス旅にしたと思うので仕方ない部分もあるけど、三日間早朝から深夜まで動いた割には回れた観光地は数カ所かつ時間も十分とは言い難い。せめて宿泊場所や食事場所は観光地から近い場所に設定するとかして移動距離を抑えて欲しかったなあって思います。
 おまけにホテルの設備が酷かったり、(僕が乗ったバスではないけど)バスがエンストしたりとアクシデントも多く、ただでさえハードなスケジュールなのもあってストレスが溜まる部分もあり。
 
 とはいえ、友達とおしゃべりしたり観光地回ったりしたのは楽しかったので「参加するんじゃなかった」とは思わなかった。第一、何度も言うが観光シーズンにしては破格の2万円強という値段なので、あまり贅沢は言えたもんではない。 

 てなわけで楽しくも大変でもあった旅行でございました。

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