夜が落ちると、蓮の池の畔に立つ小さな茅の屋では、金と銀の光りを放つ衣を纏ったかぐや姫が、臣下や侍たちに囲まれて静かに時を過ごしていた。彼女の美しさは、まるで月夜の光を纏ったようで、多くの男たちが彼女の心をつかもうとしたが、成功する者はいなかった。

　しかし、かぐや姫の心の中には、一人の青年、悠真との淡い恋が芽生えていた。悠真は、その美しさや名声に惹かれたのではなく、かぐや姫の優しい心に触れられて恋に落ちていた。

　そして、月の民がかぐや姫を迎えに来る日がやってきた。かぐや姫は、悠真と最後の時間を過ごすことに決めた。

　月明かりの下、ふたりは手をつなぎながら池の畔を歩いた。静寂の中、かぐや姫の涙がゆっくりと落ちていった。

「悠真、私はあなたとの時間が一番幸せだった」と、かぐや姫は言った。

「私も、姫様。でも、どうして私たちの間にこんな運命が訪れたのか」と、悠真は答えた。

　かぐや姫は、悠真の顔を見上げて「運命や宿命を問う前に、今この瞬間を大切にしましょう。私たちの愛は、時間や距離を超えて続くでしょう」と言った。

　その後、ふたりは互いに深いキスを交わし、しばらくの間、月の下で静かに抱き合った。そして、かぐや姫は悠真の手を離し、月の光に包まれてゆっくりと空へと昇っていった。

　悠真は、その場に立ち尽くし、涙を流しながら空を見上げていた。彼の心の中には、かぐや姫との愛の記憶が永遠に残ることだろう。