(小記事)雪と鉄道+年末のご挨拶

 こんにちはパスタライオンです。日本海側はクリスマス大豪雪に続きこれからも降雪が予想されるなど、大変な年の瀬になった・なる方まずはお疲れ様です。12/27現在も各地で雪による影響で列車が運休となったり、遅延が生じたりしています。

湯沢市「湯の岱」 積雪一時130センチに(秋田県)(ABS秋田放送) - Yahoo!ニュース

「除雪・排雪がおいつかないので運休します」
「ごめんなさい今日も無理です、明日も無理です」
「…いつ復旧するかはわかりません」
 こんな感じで各社運行情報を出しているのですが

Twitter等の反応では 
「人力でやってるの?」
「機械使えばいいのに」という声も少なからずありました。
雪に親しみがなかったり、人力でやらざるを得ない部分があるという鉄道特有の事柄が理解されていないと、やはりこういう感想になるのは自然でしょう。雪国に住んでいても、道路は自分が通学・出勤する前には除雪車が作業して通行できるようになっていたり、地面から水がピューと出て溶かしてくれたりしますから、鉄道特有の事柄についての理解というのは、関心を持って調べるひとでないとなかなか得られないものなのかなと思います。
 歳末の運行に大きな影響を及ぼした災害クラスの大雪でしたので、これを機会に少しだけ雪と鉄道の話をします

1 人力でやらないとダメな理由と例

 まず、除雪自体をなんでやらなきゃいけないのかって話をします。列車が走ってれば、列車の動く力で雪をどかせそうなもんですよね。実際これはある程度の、少ない降雪量であればそれでOKな場合があります。
 でも、その程度を超えると列車が脱線するおそれがあるので除雪をしなければなりません。ではなんで雪で列車が脱線なんてことになるんでしょう?
それを解説するために、まずレールや車体の関係を図に示します。なお、この図は私謹製で、子どものころの一番苦手な教科は図工や美術であったことを申し添えます。


真正面からレール・車両を見てみましょう。
写真だとこんな感じです。

https://www.tabirai.net/sightseeing/article/tatsujin47/

私の絵心選手権ではこんな感じです

 このように、鉄道の列車の車体は、車のタイヤみたいにレールにそのまま乗っかってるのではなくて、ちょっと車輪のガワが内側に出てるんです。このガワのおかげで、ハンドルを切らなくてもレールにそってカーブもできるしちょっとやそっとじゃ脱線しないという仕組みです。このガワが鉄道の高速走行下での安全性を担保するものであると同時に、降雪時にはちょっと厄介な部分にもなってしまいます。

 この図で、雪が積もったとき・そこを排雪車が通って雪をどかした後の状態を示しました。雪が降り積もっていると、さすがにそこに普通の列車は突っ込めません。雪をそのまま押してかき分けていくようには普通の列車は出来てないんです。自動車であっても、フロントグリルやフェンダーにかかるくらい雪が積もっているなかを安定して走れるかというと普通の車はダメでしょう。それと一緒です。馬力も足りないし、車体の構造もそれに耐えられるようにはできていないのです。
 なので、除雪・排雪専用の作業車を使って雪をどかして、列車が走れるようになります。これは道路と除雪車、自動車の関係に似てます。

 

 こんな感じで、排雪車を走らせてそれで済むところばかりならば苦労しないんですが、レールがこんな感じで2本ついてるところがあるんです。

たとえば「踏切」、ほら部分的に2本レールがあるでしょう。

http://hosenwiki.com/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E8%B8%8F%E5%88%87%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB.jpg

ほかにも「分岐器」

http://hosenwiki.com/images/5/59/%E4%B8%80%E8%88%AC%E3%81%AB%E6%99%AE%E5%8F%8A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E7%89%87%E9%96%8B%E3%81%8D%E5%88%86%E5%B2%90%E5%99%A8.jpg

 などなど、ここに単に排雪列車を走らせただけでは、この2本のレールの隙間に雪が押し固められて、ガチガチの氷塊になってしまうんです。どれくらいガチかっていうと、割るにはツルハシが必要なレベルです。
 そこを列車が通ってしまうと…

 乗り上げてしまったらもう終わりです。脱線待ったなし。こういう箇所をキレイに仕上げられる機械が今のところないので、人の手でやるしかないのです。分岐器となると、駅によってはむちゃくちゃいっぱいあるので、それを人の手でやるとなると、やはりとても大変です。

2 悪天候の時こそ使いたいのだけど・・・

 公共交通機関は、自分では運転が不安なときとかめんどくさいときとか、そういう時に使いたいものです。雪が降ったときなんかまさにそうなんですけど、実際には時には一瞬で「限界」が訪れます。今回の日本海側豪雪も、たった1日で世界は豹変しました。ものすごくカネと手間を割いて除雪をしていてもキャパを超えてしまうとあっけなくシステムが崩れます。
 何百kmという距離で、すべての踏切や分岐器をきれいに雪を除けて排雪車も走らせ、排雪して溜まった雪もどかして…というのが今現在行われていることです。そういう現実が鉄道には、特に在来線にはあるのです。

3 特別な日にも雪は降る

 年末年始、多くの人が大切な人に会いたい、特別な場所に行きたい日です。そんな人間様のご事情は天には通じないという無情な現実、そしてそれに抗うべく必死で働いているひとがいるという現実、それを鉄道会社を辞めたいまでも思わずにはいられません。乗る予定だった列車が運休になって文句を言う人の気持ちもわかるし、文句を言われてもどうにもやりようがないという事情もわかるので、せめて思いを馳せるくらいではありますが・・・

 除雪を人力でやらなければならない箇所があること、どうしようもない時はしばしば一瞬で訪れるということ、それはタイミングを選ばないことをアバウトながらつらつらと書きました。私のヤバすぎる絵心でどれだけ伝わるかは謎ではありますが、こういうのは書きたいときに書いとくのがいいかなと。

 とりとめのないことで申し訳ありませんが、本年最後のnoteでした。
 皆様よいお年を! パスタライオン 

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