【映画レビュー】まだそんな手があったか!『映画ドラえもんのび太と空の理想郷』の感想
今年もドラえもんの季節がやってきました。
『映画ドラえもんのび太と空の理想郷』のざっくりとした感想
『映画ドラえもんのび太と空の理想郷』を見てきました。
理想郷と書いてユートピアと読むべし!
今年で42作目(!)となる映画ドラえもんシリーズ。今作では『コンフィデンスマンJP』シリーズなどで知られる脚本家の古沢良太さんを迎えて、空に浮かぶ理想郷を舞台に大冒険が繰り広げられます。
監督は本作が劇場長編初登板となる堂山卓見さんが務めます。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
傑作。
もうボロボロ泣いちゃったよ。
ざっくりではなくもっと踏み込んだ感想を書いていきます。
『映画ドラえもんのび太と空の理想郷』のもっと踏み込んだ感想
■ドラえもんとのび太を使ったドラマがうまい!
今年でもう42作目と言うことで、いろんなことをやり尽くしたドラえもん映画。もうさすがに新鮮味みたいなものは味わえないかなぁ、なんて思っていましたが……参った!まだこんなやり方があったのか!
そんな風に思わされる映画でした。
天性の落ちこぼれであるのび太というキャラクターと、誰もが優等生になれる“ユートピア”という設定の組み合わせで、こんな化学変化が生まれるのか、と感服です。
しかも今回のドラマを担うのはのび太だけでなくドラえもんにも役割があり。“パーフェクトネコ型ロボ”なんて存在が出てきてしまったドラちゃんでしたが、そんな上位互換みたいなソーニャとの掛け合いがまた良い。
従順でなんでもこなせるパーフェクトなソーニャだからこそ、ここぞで役に立たなかったりと“生き物らしい”ドラえもんのメッセージがグサリと刺さります。
ドラえもんやのび太の使い方にまだこんな手があったのか、と42作目にして思わされるようなその意外な切り口で拍手です。
そんなドラえもんとのび太のドラマが交錯するクライマックスと、ボロボロ涙が止まらなかったし、そこからのジャイアンやスネ夫、しずかちゃんの展開やセリフがまた堪んないのですよ。
自分もあんまり器用じゃない方の人間なので、今回ののび太の天性の落ちこぼれっぷりは、いつも以上に共感できました。
■アクションは弱いがキャラクターは可愛い
一方でこれまでのドラえもん映画と比較して弱いと思うのが、アクションシーン。
結局クライマックスは、のび太たちの立ち回りやセリフで魅せていくので、派手に動くアニメーションの気持ちよさみたいな部分は今年は弱かったです。
ただその分、レギュラーキャラクターの愛らしさをいつも以上に再確認する年でした。派手な動きはないせいか、キャラクターたちの喜怒哀楽の表情に今年は特に目がいく年でした。
クライマックスのここぞのシーンの、ジャイアンたちの力の入ったビジュアルとかもそうなのですが、もっと地味なところだと、ユートピアが見つからず落ち込むのび太の顔が妙に可愛かったりして、「あっのび太可愛い」とか思わされちゃいました。
瞬間瞬間の表情もまたアニメーションの見せ方ですネ。
■混沌vs秩序話には思うことがなくもない
今回の『空の理想郷』の話は蓋を開けてみれば“vs.秩序”の話でなかなか興味深い内容となっていました。
かつて「スプラトゥーン2」でファイナルフェスの混沌vs秩序の対決を混沌派で戦ったので、動いて欲しい方向に物語が進んでくれて気持ちよかったです。
秩序なんてクソ喰らえだ!と思う混沌派ではあるせいか、結構序盤から「このユートピア、凶悪だなぁ」と思っていたので、ストーリー自体には断然推せる物語でした。
ただ、一方で時には律していく仕組みも大事だよ、と思うのは昨今の日本の状態を思うからこそ。
右習えは良くないよね、とは思いつつも、しっかり導いていかないと陰謀論とかエセ科学とかが蔓延ってしまうのも事実なので、結局はどっちが良いって話じゃなくてそこのバランスですからね。
思想によっては有毒な映画かも、とも思ったりもしました。
まとめ
というわけで、言いたいことはゼロではないし、ドラえもん映画の金字塔みたいな感じではないのですが、かなり良かったドラえもん映画でした。
客足も例年より回復してきているみたいですし、いっぱいお客さんが入ってくれたら嬉しいな。
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