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『初恋 愛里ひな』

映画を見る時は監督で選ぶ方です。先回の『春原未来のすべて』が面白かったので、タートル今田監督、再び。これを選んだ理由は「ジャケ買い」。ザ・AVなパッケージは正直、躊躇します。これは可愛らしくて、家において置ける。で、『初恋』にしたのですが、なんと今田さんのデビュー作だとか。2007年の作品だそうです。

愛里ひなちゃん18歳、可愛いんです。いっぱい喋っていっぱい笑う女の子。ずーっとニコニコしてます。笑顔が可愛い。童顔も八重歯も舌足らずな口調もクラスにいたら男子人気2位だと思う。1位ではなさそうなところがミソ。そこがいいです。

これはパートが3つに分かれていて、それぞれ全然違う作りでした。ちょっと意外。男優さんがいっぱい出てきて、今田さんが愛里ひなさんと絡まないパートがあるだけでも意外。全てが1対1のドキュメントじゃないだけで意外に思っちゃうのは、自分が見たのはそういうAVばかりだったからです。それが普通ではないんですよね多分。「へー!」って思いつつ見ました。

胸キュン青春な作品かと思ってたら、いきなり目隠しされて男優さん4人に囲まれるひなちゃん。えええ。びっくりです。でも見ていくうちに「これは突っ込みながら見るものなのかな」と思いました。テロップも正直ちょっと突っ込みたくなる。冒頭いきなり「バーナード・ショー」とかです。「初恋 格言」で検索したら一番上に出てきそう。

ひなちゃんに襲いかかる男優さん4人の会話や行動が面白くて、隊長さんがいる。AVで隊長って言葉はカンパニー松尾さんの特許じゃないんだね。彼らが「隊長、○○していいですか!」「よし、○○していいぞ!」「整列!ありがとうございました!」とか言うのが、いかにもで楽しい。

PART.2では突然そのカンパニー松尾さんが登場してまたびっくり。隊長じゃなく「ハメ撮リスト」って説明ついてます。そのPART.2も、普通なのになんか全体にコントっぽさ漂います。セーラー服のひなちゃんに絡んでるところへ「小さいお子さんは家に帰りましょう」って街頭放送が流れてきたり「よい子が住んでるよい町は~♪」って音楽まで聞こえてきたり。いろいろ心の中で突っ込んだり笑ったりしながら楽しく見ました。

PART.3でようやく今田さんが登場。私はここで初めて安心してほのぼのできました。セックスが始まった最初の方でひなちゃんが足に挟んだままのペディキュアのパットが、次の場面では外されて布団の上に落ちていて、それがシーンが切り替わる度に遠くに移動していくんです。熱の伝わりを表してるみたいに。

そこからラストシーンまでじんわり良かった。花火ってきれいで楽しいけど終わりが寂しいもので、燃え殻を片づける場面まで入っていて切ない感じも素敵でした。最初の方のテロップの青臭さに少々引きましたが、ラストのテロップはきっと心からの言葉だと思えて、それもまたじんわり良かったです。やっぱり幸せなこの感じはいいな。ひなちゃん、元気でいてほしいと私も心から思いますよ。

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AVって面白いんだなあと最近見始めたわけですが、やっぱり男性目線の約束ごとに乗れなかったり、私にはどーでもいいことが大事にされていたり、多分本筋と違う所を追ってしまったり、どんなふうに見たらいいか難しい…と思いかけていたところへ、今田さんの言葉を聞きました。「昔はAVにはいろんな表現があっていろんな角度から見る余地があった。その面白さを伝えたいと作り続けているから、好きな見方でいいよ」と言われて、納得して、私はとても楽になりました。

勉強でも強制でもなく、面白いなあと思って見ています。のんびり見続けてみようと思ってます。

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