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勝手にオマージュ Vol.1!会田誠さんに届け!『あぜ道』NO1 プロローグ

あぜ道 プロローグ


物語を書く時、常に脳裏に浮かびあがってくるのは、境界線です。


小説『あぜ道』での境界線の一つは、自身のカラダと外部を繋ぐ皮膚。

振り返れば、七つの胃を持つこの皮にひどく執着したのは中学生の頃で、幼なじみの日焼けした髪の分け目の乾いた皮膚を、コンパスでつつきながら剥いでいくことが、夏の終わりの楽しみでした。


その後、幼なじみの皮膚を手放し夫や娘の皮膚などに手を出していた三〇代のわたしは、ある日突然、幼なじみの髪の分け目の乾いた皮膚に再び手をのばそうとしていたのでした。


わたしは美術館に展示されていた一枚の絵の前に立っていました。

目の前には、会田誠さんの『あぜ道』という作品がありました。


キャンパスに描かれていたのは、幼なじみの頭部であり、頭部より続く道は幼なじみと歩いた田舎のあぜ道なのでした。


小説『あぜ道』は会田誠さんの『あぜ道』へのオマージュです。

いつかこの作品が会田さんに届けばいいなと夢のようなことを願っているのは、四五歳の多圭智みき。

写真:あぜ道へのオマージュ

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