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6月26日(月) 「醗酵食品・ホンオフェ(洪魚膾)」

今日の那覇は晴れ。
最低気温は27℃、最高気温は32℃。暑い!
沖縄地方は昨日梅雨明けだったのだそうです。が、実際には自分が宮古滞在中は1度だけ5分ホド雨が降っただけで、天気もカラカラ。梅雨明けしてたと思います(と言っても、宮古在住のヒト曰く、今年はカラ梅雨であったようで、梅雨入り宣言されてからマトモに雨が降ったのは5回だけだったとか)。
今日は午後に豊田に戻りました。夏休みも今日でおしまい。
豊田は曇りのち晴れ。でも、実家に行き着いた頃にはパラリと雨も。
最低気温は20℃、最高気温は32℃。最高気温は沖縄と一緒ですね。湿度がやや低いので、沖縄ほどの暑さには感じませんでしたが。さて、

先週末は「醗酵飲料・焼酎(兼八)」をお届けしましたが、今日は「醗酵食品・ホンオフェ(洪魚膾)」について書いて行きます。

自分は昨年10月中旬頃迄の約3.5年韓国に駐在してました。だからと言うワケじゃあありませんが、世界で2番目に臭い食べモノと言われるホンオフェ(洪魚膾)は好きな食べ物の一つですねぇ。でも、コレを食えない韓国人もいるホドで、好き嫌いの可也分かれる食べモノでもあります。

ホンオフェとは何か。
自分がその存在を知ったのは、我らが醗酵仮面?の小泉武夫大先生の「くさいはうまい」等一連の書物なのであります。小泉先生と言えば東京農業大学の醗酵学の大家であり且つ作家でもいらっしゃるお方で、お酒を含む醗酵食品・醗酵飲料の研究家にして普及活動家でもあらせられます。
で、ホンオフェとはホンオ(洪魚=ガンギエイ)を醗酵させて作る刺身(フェ=膾)のコトであります。
そもそも、サメやエイ等の軟骨魚類は常温等で放置しておくと、自己(自家?)醗酵をしてアンモニアを生成する為、ソレがこのホンオフェの刺激臭+旨味を醸し出すヒミツとなっています。
以前のブログにも書いたコトがあるのですが、このアンモニア臭のある刺激が結構モノ凄く、小泉先生の表現をお借りすれば、「口に入れて噛んだとたん、アンモニア臭は鼻の奥を秒速で通り抜け、脳天に達す。この時、深呼吸をすれば百人中九十八人は気絶寸前、二人は死亡寸前となる」ってな具合なのであります。
自分で食ってみても、まぁソコ迄は大袈裟ではないかなとは思うものの、可也の刺激、可也の臭さであることは間違いありません。そこにマッコリ(タクジュ=濁酒)を流し込むと、アラ不思議。ソレ迄の臭さと刺激がスパーン!と消え去ります。要はホンオフェのアルカリ(アンモニア)がマッコリのによって一気に中和されて、消えて無くなると言う現象です。韓国人は、コレを「シウォナダ~!」と言ってヨロコビます(コレは、暑い時に熱くて辛い食べ物を食べて涼を感じたり、風呂上がりにスッキリと感じたりする時に発する、日本語には無い形容詞です)。正に、マリアージュ。食べモノと飲み物のマッチングとしては可也ベストな部類にランキングされる組み合わせだと思いますし(個人的な感想ですが)、現に韓国語でもコレをホンタク(ホンオフェ+タクジュ)と言う呼び方がある位なので、彼らもそう感じているのだと思います。

で、このホンオ。韓国では西海岸の南にある木浦(モッポ)から更に西に行った黒山島(フクサンド)が名産地であるのですが、オモシロいコトに鯖街道の塩サバと同様で、黒山島で獲ったホンオをエッチラおっちらおフネで運び、羅州(ナジュ)の栄山浦(ヨンサンポ)辺りで水揚げした頃に丁度良い熟れ具合になっていると言うことで、羅州の名物になってたりもします(この街にはホンオストリートとも呼ばれる横丁もあります)。現在でも、ホンオの最大の取引は羅州近くにある光州の良洞市場であるとのコトです。

具体的な食べ方としては、サマプ(=三合)と言われるホンオフェの切り身+キムチ+茹でた豚バラ切り身の3種を一緒にして食べるのが一般的ではあるのですが、臭モノマニアとしては他のヒト?に味を邪魔されたくないので(笑)、ホンオの切り身にチョコチュジャンを付けて食うか、或いは何も付けないってのがストレートですかね。その他には、チム(蒸しモノ)やティギム(揚げ物)、ジョン(チヂミ)等バリエーションも多いんです。特に火を入れるチムとティギムはコレまた強烈です。
部位的にはエイヒレ部分を食べるのが一般的ではあるのですが、「エ」(漢字不詳)と呼ばれる肝臓(通常動物でも魚でも肝臓は「カン」(=肝)と言われるのですが、何故かホンオの肝臓だけは別の呼び方になってます)、鼻の部分にある軟骨なんかも美味いです。アトは内臓のスープ。コレはオテルドミクニ三國清三さんも大絶賛だったようですよ。

と言うコトで、強烈・激烈・超絶臭くて涙の出るホンオフェ。日本でも良いモノが簡単に入手可能であれば、コレからやるお店でも出したい(皆さんにもその美味さを分かって貰いたい)のですが、良質なホンオを入手不能でしょうから、出すのはムリかなぁ。或いは、自家製ホンオフェが出来れば別ですが(笑)。

ソウルにも美味いホンオフェを食べさせてくれるお店はあり、コロナもほぼ終息して気軽に韓国旅行にも行けるようになって来たので、是非本場でご賞味戴ければと思います。お店はご紹介しますので。

明日は「有害鳥獣・二ホンジカ(解体編)」についてお届けする予定としております。


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