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21世紀のユニフォーム変遷を振り返る【日本ハム編】

日本プロ野球のユニフォームシーンが突如ガラパゴス化し始めた2000年代以降にスポットを当て、そこから現在までの各球団のユニフォームの変遷を振り返るシリーズ企画「21世紀のユニフォーム変遷を振り返る」

第2回目は北海道日本ハムファイターズ編です。
先日新ユニフォームが発表され、注目を集めている日本ハム。今回の新ユニフォームに至るまでにどのような足跡を残してきたのか、振り返っていきましょう。

第1回目はこちら。

では、どうぞ。

1993 - 2003年

20世紀からのスタートとなっておりますが、都合よく2001年に変更してくれている球団ばかりではないので、2001年の時点で使われていたユニフォームの使用時期を章題に使用しています。

1993年、大沢啓二監督の復帰に伴って約10年ぶりにユニフォームを刷新しました。

引用:週刊ベースボールONLINE週刊ベースボールONLINE

「日本ハムファイターズ」としての初優勝を果たした1981年のピンストライプを復活させ、ホーム用は当時提携を結んでいたニューヨーク・ヤンキースを模して左胸マークを採用(この形式は当時の流行でもありました)。ビジター用は上下グレーにピンストライプというクラシックなスタイルを採用し、胸ロゴは全て大文字でセリフ体の「NIPPONHAM」をあしらっています。

ネイビーのピンストライプがシックでモダンな雰囲気をもたらしつつ、ボーダー柄が印象的だったド派手な前モデルから引き継がれたオレンジ色が良いアクセントになっていますね。

まさに、90年代の「ネオ・クラシック」を代表する名作ユニフォーム
もし北海道移転がなければ、現在のロッテのホームユニフォームのような長寿ユニフォームになっていたのではないか、と思います。

2004 - 2010年

チームの北海道移転と同時にユニフォームを大幅に刷新。

引用:週刊ベースボールONLINE

球界に革命を起こしたといっても過言ではない、前例のない「左右非対称」を基調とした全く新しいユニフォームです。
ホームは白、ビジターはグレーと伝統的なスタイルは保ちつつ、左袖に甲冑をイメージした黒をあしらっていることが最大の特徴。

北海道をイメージして新たにチームカラーに加えられた青と金が差し色としてそれぞれアクセントを効かせています。

こうしてじっくり見ると、一見すると斬新で派手な印象はあるものの、決して奇抜すぎるなんてということはないことがわかりますね。
ホーム白、ビジターグレーというクラシカルなパターンをベースにしている点に加え、差し色の使い方や胸ロゴに関しても、前モデルの雰囲気を継承するような意思を感じる地に足のついたスタイル。

あくまで「野球のユニフォーム」の方法論から逸脱はしていない、洗練されたデザインであるということに改めて気づかされます。
約20年近く経った今でもなお、新鮮に純粋に「カッコいい」と思える、2000年代NPBユニフォームの最高傑作の一つだと思います。

私のイメージですが、このユニフォームが2000年代以降の「切り返し」デザインブームの要因の一つなのではないか、と思っています。
これ以前にも切り返しデザインを用いたユニフォームは存在するんですが、「ユニフォームの一部の色を変えることでカッコよく『新しく』できるんだ」というイメージを球界に与えた大きなきっかけはこのユニフォームなんじゃないかな、と。
そういう意味では、罪深いユニフォームでもあるのかもしれません…

2011 - 2021年

「HOKKAIDO PRIDE~北海道の誇りを胸に~」をコンセプトに、デザインを変更。

スポニチアネックス

黒を基調とした左右非対称のベースデザインはそのままに、それまで差し色として用いられていた青と金を新たに「スカイブルー」「ハーベストゴールド」とそれぞれ名付け、より前面に押し出す形でデザインされています。

ホームは、それまで左肩から左袖にかけてのみに留まっていた左右非対称の要素が左脇腹から右肩にまで広がり、その中心としてスカイブルーが幅を効かせています。右肩上がりのフォントに変わったユニフォームロゴには帽子マークにもあしらわれている七芒星が加わりました。

ビジターは左右非対称を廃止し、両肩・両袖を除く肩シャツ全体にゴールドをあしらうという斬新なカラーリングが特徴です。胸ロゴは「HOKKAIDO NIPPONHAM」と二段ロゴとなり、改めて「北海道」が強調されました。

私個人の話をすると…
このユニフォームが発表された当時中学2年生だった私は、正直「カッコいい」と思っていました。特にホーム。黒をベースに鮮やかなブルーがとても映えていて、とてもカッコよく見えたのです。大胆な左右非対称の意匠も斬新で新鮮でかっこよかった。

ただ、徐々にその新鮮さも薄れていき、ここ最近ではユニフォームランキング最下位争いの常連にまでなる有様。
これが、私自身が齢を重ねるに従って嗜好が変わったからなのか、ユニフォーム自体の賞味期限が切れたからなのか…

一応結論めいたものとしてまとめると…

元々シンプル目のユニフォームが好きな私にとって、当時見たこのユニフォームはかなり新鮮に写った。
大胆ではあるもののデザイン自体の洗練度は高いため、その新鮮さが「カッコいい」に変換された。
ただし、大胆すぎるデザインはどうしても飽きが来てしまう=新鮮味が薄れてしまうという傾向にあり、このユニフォームも例外ではなかった。

ということかな、と。
日本ハムはユニフォームを比較的長期間使い続ける傾向にあり(東京オレンジユニ:11年、東京ピンストライプユニ:11年、北海道初代:7年)、このユニフォームも11年間使われた訳ですが、それに耐えうるだけのデザインではなかったということでしょうか。

2018年には、北海道移転15周年を記念して、初めてホーム、ビジターに次ぐ「サードユニフォーム」が採用されました(イベントなどの期間限定ユニを除く)。

日刊スポーツ

カッティングのパターンはホームユニと共通ながら、全てのパーツをスカイブルーで揃えるというスタイルで、胸ロゴは「WE LOVE HOKKAIDO」ユニフォームで使用されている「HOKKAIDO」ロゴが採用されています。

80年代以降、変更以外では下手にユニフォームをいじらないという硬派な姿勢を貫いてきた日本ハムですが、ついに「ユニフォーム追加」に手を出すということになりました。
帽子やヘルメットもスカイブルー基調に変更されていることも含め、今思えば2022年新ユニフォームへの伏線になっていたのかもしれません。

2022年 - 現在

2022年、新庄剛志監督就任に伴って、球団ブランド刷新とともにユニフォームも大幅変更。

引用:サンスポ

今までのモデルでは差し色扱いだったスカイブルーを「ファイターズブルー」と名付けてメインカラーに登用。

詳しくはこちら↓を参照して頂ければと思います。

一言で言えば、「プロ野球っぽくない」
シンプル志向という潮流に沿う形をイメージしたんだと思いますが、それに対する左右非対称の落とし込み方も上手くない。

北海道初代こそが至高だと思っている身としては、初代→二代目→三代目とどんどん青の面積が広がるにつれてイマイチな印象になりますね。

ただ、ツイッターなどでレプリカユニフォームを手に入れた方の投稿を見ていると、「シャツ」としてのデザインだけで見れば、さほど変ではないように感じます。実際そのようにレポートしている方も多いですね。「意外と変じゃない!」みたいな。

それでも、ユニフォームはアンダーシャツの上に来てパンツの中に裾を入れてキャップを被って着るもの。その状態でカッコよく見えないことには「カッコいいユニフォーム」とは言えません。
やはり、スカイブルーをメインカラーに登用しているという部分が違和感の要因だということがはっきりした、という感じです。個人的に。

2018年からの「北海道スカイブルーユニホーム」が様になっているのは、アンダーシャツやストッキングなどのベースが黒であるおかげで引き締まって見えるからでしょう。

まとめ

ここまで、21世紀の日本ハムのユニフォームを振り返って参りましたが、いかがでしたでしょうか。

この20年間で最もユニフォームのあり方が変わったチームと言えば、それは間違いなく日本ハムでしょう。
常に、他とは違うシンプルに「新しいこと=誰もやっていないこと」を追求する姿勢がこのような変化を生み出しているのだと思います。

その一方で、先にも述べた通り、日本ハムはユニフォームを比較的長期間使い続ける傾向にある上、変更以外では下手にユニフォームをいじらないという硬派な姿勢を貫いてきたチームでもあります。
巷では「来年には再び何か変えるのでは」という声も聞かれますが、一体どうなっていくのでしょうか。

第0回目の阪神編、第1回目の巨人編は、「伝統球団が遠回りに遠回りを重ねた試行錯誤の末に結局温故知新に辿り着く」というテーマでしたが、第3回目にして現在進行形で一歩一歩着実な足取りで「シンプルな新しさ」を追い求めるチームを取り上げました。その対比が面白いかな、と。

以上、12球団別・21世紀のユニフォーム変遷を振り返る特集・日本ハム編でした。ありがとうございました。


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