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趣深い日本の色彩 #30 蒲公英色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日も春の黄色の代表格「タンポポ」のお話。

タンポポいろいろ

道端に可愛らしい花を咲かせるタンポポ。
見かけると春だなぁと感じます。
菜の花はギュッと群生している感じですが、タンポポは緑を残しながらまばらに咲いているイメージが(個人的に)。

日本名と漢字表記と英語表記がバラバラで面白いのも特徴的。

日本名の「タンポポ」は、つづみに似ていることから、その音を真似た「タン、ポン、ポン」が語源の1つだと言われています。

漢字表記(蒲公英)は、開花前に収穫して乾燥させた漢方薬から。

英語名はダンディライオン(dandelion)。
ギザギザの花を「ライオンの歯」に見立てた「dent de lion(フランス語)」が元。
単語レベルで見ると、なるほど!ですね。

実は「春を感じる」と言いつつ、よく見るセイヨウタンポポは年中いつでも咲く花で、春だけに花開くのは日本在来種の日本タンポポです。

両者とも色にあまり違いがないので、蒲公英色はどちらも指せますが、厳密に言うと日本タンポポの色の方が正しいのかもしれませんね。

白い花のタンポポもあります


優れた薬効

昨日書いた菜の花が「菜種油」をもたらして生活に役立っていたように、タンポポも根から花まで優れた薬効を持つ植物として知られます。

とりわけ根っこは、肝機能を改善し、苦味は消化を促します。
また利尿作用や便秘解消の緩下作用をもたらして、体の中の老廃物を排出してくれます。
根っこを煎って、細かく挽くと、ホンノリした苦味と濃い茶色がコーヒーそっくりの「タンポポコーヒー」になります。ノンカフェインなのが特徴。
葉っぱにも同じくデトックス効果があります。

花はお刺身の横にちょこんと乗っているイメージですが、
実際は食用菊なので、タンポポとは違います。
でも通称として「お刺身タンポポ」と表記をされることがありますね。
(一応タンポポもキク科なので、似ているのも分かります)

綿毛も捨てがたい

花が終わって種を付けた時の、あの白いほわほわの綿毛も捨てがたい。
綿毛色という色はないですが、儚げながらも遠くに飛んでいこうという生命力というか、冒険心みたいなものも感じられて、風情があるなと感じます。

黄色+白+緑という春を体現したような配色は、桜の盛りが過ぎた時期のデザインに使えます。

様々な角度から知識を得る楽しみがある、タンポポのお話でした。

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