宮城県のデタラメ授精証明、全国和牛登録協会「説明受けず」

22日午後、私の仕事場のFAXに京都市にある全国和牛登録協会事務局から連絡が1枚入りました。先週末19日に向井文雄会長宛てに送った質問への回答です。全文、ここに紹介します。

質問 宮城県が人工授精師を立ち入り調査し、行政指導した事実について、国、県または全農等の関係機関から説明を受けていますか?

回答 説明は受けていません

質問 授精証明と異なる遺伝子を持つ産子の取り扱いについて、登録協会はどのように対応されますか?

回答 内容の誤りを発見したときは、慎重に調査を行い、正しい事実関係を確認の上、更生をする場合があります。なお、更生し得ないものについては、取り消すことになります。

質問 全農宮城県本部は、当該人工授精師(筆者注、この場合は獣医師)が授精した牛からの産子の全頭DNA検査が望ましいとの見解ですが、登録協会はどのようなお考えですか?

回答 事実関係が疑われるものであれば、申請に基づき検査をいたします。

全国和牛登録協会は牛の戸籍を管理する事務所のような団体です。

和牛には一頭ずつ名前が付いています。協会の説明によれば「祖父母のそのまた祖父母から続く血統や、生産地(どこの農家で生まれたか)、誕生日等の生い立ちがはっきりしており、これらの情報がすべて書かれた証明書を子牛の時から持っています」という具合です。
長い歴史と伝統を基礎とする血統管理、育種、改良の仕組みは、生産者や獣医師・人工授精師、家畜市場など関係者が互いに信頼しあい、協力しあってなりなっているものです。

宮城県は、他県から情報提供を受けて立ち入り検査をして、獣医師による授精証明のミスを確認しています。その情報をなぜ、戸籍管理機関である登録協会に知らせないのでしょう?国や全農宮城県本部もしかりです。

それぞれが責任の見返りとして縄張りを持ち、互いに立ち入らない、立ち入らせないようにする仕組みが農業の世界にはたくさん残っています。

その分、無駄な手続きや人員が多く、農家にとって経済的な負担となっているのに、実際にはどの程度、農家のためになっているのかよくわからない場合もあります。

今回のケース、登録システム自体の信用にも関わると思うのですが、登録協会もまた厄介なことには進んで関わりたくないようです。

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