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奈良川上村の柿の葉寿司を「塩分」「重さ」「会話の秒数」で食べ比べてみる

奈良県に来たら、かならず食べたいものがある。

それは、柿の葉寿司。

海なし県の奈良において、三重県熊野市で水揚げされたサバに塩をふり、2日間かけて届けたことからはじまったローカルフードです。

知名度は比べものにならないけれど、「福岡へ行ったら、どの店でもいいから豚骨ラーメンを食べたい」とか「もうおなかいっぱいだけど、名古屋駅のホームできしめんをすすって帰ろ」という感覚に近いかも。

大手の柿の葉寿司は、JR・近鉄奈良駅周辺でも手に入ります。それはそれでおいしいのだけれども、一度は奈良県川上村の個人商店を食べ比べてみて。

奈良県川上村は人口1300人ほどの小さな村ながら、6軒ほどの柿の葉寿司をいただける店がある。昔は、各家庭で柿の葉をとってきて、つくっていたのだとか。店ごとに大きさも、ネタの塩加減も変わります。村に暮らす人は、それぞれにひいきの店を持っているような気がする。

「塩分」「重さ」「会話の秒数」から知る柿の葉寿司

今回記事を書くにあたり、心がけたことがあります。それは、ランキング形式は控えること。最短距離で美味しい柿の葉寿司にたどり着ける長所はあるけれど、目的はそこじゃないんです。

実食により主観的に味を評価することを「官能評価」といいます。これに加え「ネタ・シャリの塩分」「一個あたりの重さ」「会話の秒数」を調査しました。

今回は、3店舗を比較。

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写真左から「大滝茶屋」「徳岡」「松屋」。このまま部屋に飾っておきたい美しさですね。

食べごたえ(重さ)

タニタのキッチンスケールKJ-213にて、1g単位で計測しました。

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塩分

ドリテックの塩分計EN-904で計測しました。

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会話の秒数

お店で交わした会話の時間です。

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柿の葉寿司を官能評価する

①大滝茶屋

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10人近いお母さんたちが集まって、柿の葉寿司をつくっている「大滝茶屋」。各家庭でつくられていた柿の葉寿司を、最初に商品として売り出した元祖のお店です。予約をしないと手に入らないこともあります。

味の感想は・・・昔ながらのオーソドックスな味わい。お腹に塩を擦りこみ、三週間寝かせたサバを用いており、ネタにしっかり塩気が感じられる。保存食として食べられてきた昔ながらの味わいに近いと思う。

②松屋

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大滝茶屋から100メートルに位置する「松屋」。寒い時期に日本海でとれたメスのサバ、北海道産のシャケを使用している。柿の葉は無農薬で約150本自家栽培。

味の感想は・・・他店との違いは、塩の使い方。やや小ぶりでしっかり押したシャリにも、塩気をしっかり感じます。そのため、2日目になると、サバとシャリがよく馴染んで、かけ算の味わいを楽しめます。

③徳岡

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季節によっては、天然うなぎの柿の葉寿司も提供する徳岡。主に三陸沖産の寒サバを塩分控えめで仕込み、奈良県産のヒノヒカリに乗せている

味の感想は・・・会話の時間がもっとも長かったことも含め、ユーモアのあるお店だと思います。柿の葉寿司って、もともと保存食だったため、普通に食べるとすこししょっぱいんです。現代の食生活に合わせて、ネタもシャリも、塩気をおさえた優しい味わい。写真をよく見ると・・・シャケの切り目がわかりますか。これはおそらく「少ない塩分をしっかり染み込ませる」ための一手間です。みずみずしく、甘みも感じられるシャケはいちおしです。

ぜひあなたも食べ比べをしてみてください。


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2021/6/17

読んでくださったみなさん、どうもありがとうございます。柿の葉寿司について、引き続き色々と調べたり(食べたり)、村の人への聞き取りをしています(楽しい。)。少しずつその内容を追記していきます。ぜひあなたも食べ比べをしてみてください。

6/12 村人から
ある村の方に話を聞くと、子どものころから、松屋さんが好みとのこと。けれど、この記事を読んでくださって、あらためて徳岡さんも食べてみようかな、と考えているそう。

6/12 徳岡さん
しゃけは北海道から仕入れてる。

6/12
十起商店という柿の葉寿司のお店を村の人から教えてもらう。

6/17 徳岡さん

焼津産のサバを使っているんです。しゃけは北海道。昔は塩の中に入ったサバしか手に入らなかったけど、今は生のサバが手に入るから、塩分も調整できる。昔のはね、しおっからかったんですよ。

今は、88歳になられる徳岡あいさんのレシピを受け継ぎつつ、息子さんたちがつくられている。塩分は控えめな分、消費期限は翌日まで。実は初日がさばの味がしてもっとも美味しい。

6/17 村人から
村で育った人たちに言わせると、柿の葉寿司の旬は「6月」。塩蔵していた柿の葉から、収穫したての生の柿の葉に切り替わるから。やっぱり生葉は香りが良い。興味深いのは、柿の葉寿司の旬は、新米がとれる時期でも、サバやしゃけの旬でもなく、柿の葉の旬にあるということ。


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