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普通のフルタイム正社員はなぜこんなにもハードルが高いのか

社会人になること。
この響きにワクワクする人もいれば、重荷を背負わされるような気分になる人もいるかもしれません。

社会人になるというのは、どういう状態を指すのでしょうか。

働いて、経済的に自立すること。
自分の心身の健康管理を行うこと。
身の安全を守ったり、収支などのライフプランを立てて生活すること。

1番目の「働く」にはいろいろな形態がありますが、学校を卒業した人の多くが選択するのは「企業に雇用されて、フルタイム正社員として働く」ことでしょう。
これ、人によってはかなりハードルが高いんです。

(執筆:ミッションパートナー ちひろ)

社会人になること≒フルタイム正社員?

今の時代はあえて就職しない道を選ぶ人が増えているのも事実ですし、喜ばしいことに、画一的ではない働き方もどんどん増えてきています。

それでも、就活生を対象としたイベントが盛況し、多くの学生がフルタイム正社員(または公務員)を志向する流れはまだまだあります。

だってそれが普通だから。

そして就職先は大きくて有名な企業であるほうがいい。
だってそのほうが安定しているし、ステータスにもなるし、同僚のレベルも高く、高収入が見込めるから。

総務省統計局の出す最新の労働力調査では、
・仕事をしている人の約9割がどこかに雇われている
・そのうち6割が正社員である
という結果が出ています。
本当は正社員を希望しているのに、非正規で働かざるを得ない人の存在を考えると、正社員を志向する人がどれだけ多いかわかります。
(参考:労働力調査(基本集計)2022年6月分

さらに、時短勤務は育児中や介護中の人に対して法律の範囲内で一時的に認めるだけ、という企業が大半であることを考えると、
正社員のほとんどがフルタイムで勤務しているということになります。

多くの人が「普通」と考えるフルタイム正社員は、実は一部の人にとってとてもハードルの高いもになってしまっています。

フルタイム正社員として働き続けることのハードル

もちろん、フルタイム正社員のみなさんが「ラクラク」「楽しく」「なんのストレスもなく」「たいして疲れず」毎日お勤めであるとはつゆほども思いません。

職場での人間関係、残業、ノルマ、帰宅後も目が回るような忙しいスケジュールをこなされている方も多くいらっしゃることも存じております。

ただ、業務のある特定の部分や、成果とは直接関係のない部分で、フルタイム正社員であることのハードルがぐーんと上がることがあります。
過度に疲れたり、心身を壊すほどのストレスを感じてしまったりして、求められている成果を出せなくなってしまうことも。

どんなことがハードルの要因になりうるか。
JPTでは、4つの「選べない」が存在していると考えています。

・仕事を選べない(内容、ポジション)
・一緒に働く人(上司、同僚、部下)を選べない
・働く場所を選べない
・働く時間帯を選べない

もちろん例外的に自由が効く会社もあるとは思いますが、会社側が絶対的な指示権を持っていて、本人の意思に関わらず、もしそこに働きづらさがあっても石の上には三年スタイルで変更してもらえないことが多いのではないかと思います。

さらに、発達障害の特性を持つ場合、上記の4つの「選べない」のおかげで仕事に支障が出てしまいます。

・音や光、匂いなどにとても敏感になってしまう
・いわゆる「空気」が読めず、人間関係がうまく築けない
・予定変更に柔軟に対応できない
・こだわりが強く、仕事の手が抜けない、または納得できないことに手が付かない
・見通しが立たない状況で不安が強くなる
など
厚生労働省のウェブサイトにも、代表的な特性が示されています。)

業種を選んだり、自分なりの工夫を凝らして乗り切っている方もたくさんいます。

発達障害の他にも、本人の性格、病気になってしまった、育児や介護などの家庭の状況などでフルタイム正社員として働き続けることが難しい場合もあるでしょう。

フルタイム正社員になることのハードル

フルタイム正社員として働き続けるためには、まずフルタイム正社員にならなくてはなりません。

ところが、ここにもハードルが存在します。
精神/発達障害だけではなく、障害を持っているというだけで、就職が難しくなる「就職差別」を受けることもあります。

他にも、過去の病歴や職歴、ブランクの有無、年齢、育児中であるかどうかなどで、雇用が大きく左右されてしまうという現実があります。

結果として、不本意にも非正規雇用の契約社員やパートタイムスタッフとして、低賃金で働くしかなくなってしまう。
実力のあるなしに関わらず。

責任もやりがいもない仕事をずっと続けざるを得なくなったために、スキルアップの機会もなく、だんだん実力もやる気も失っていったとしたら、こんなに悲しいことはありません。

では、どうしたらいいんでしょう。
ハードルをなくしてしまえばいいんです。
その人が成果を出すために障壁となっているものを取り去る。

多くの企業が苦労している「働き方改革」のヒントが、ここにあります。

→次回「『働きたいのに、働けない。』をなくすために私たちがやったこと
」に続く

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