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家族みんなが「ウチが好き!」と言えるように。片づけ・収納のプロ、宇高さんからの贈り物

皆さんは、自分の家が好きですか?

日々の暮らしに追われていると、どうしても片づけが後回しに……。散らかった空間にも慣れてしまって、家が好きかどうかなんて考えたこともない……。

そんな方も多いのではないでしょうか。片づけが思い通りに進まないとき、ついつい自分を責めてしまいますが、実は「気づけば散らかる」この現象、当たり前のことなのかもしれません。

今回お話を伺うのは、ライフオーガナイザー(※)歴10年の宇高うだか有香ゆかさん。これまで600件もの片づけ現場に訪問してきた宇高さんによると、「日本は、住む人の生活を考え抜いた構造の家が少ない」印象なのだそうです。

片づけが、普通の人にとって難しいのは当たり前。住みやすい家にするには、ちょっとした努力や工夫が必要なのかもしれません。

でも、具体的にはどうすればいいの……?

そんな悩みに寄り添ってくれるのが、宇高さんの片づけ。どんなに「片づかない……」と思っていても、作業後は「家が好き!」と感じる住まいに変身すると評判。「本当に暮らしがラクになる」宇高さんの片づけ作業を覗いてみました。


※ライフオーガナイザーとは
生活の質の向上を目指し、暮らしの体質改善を行うパーソナルトレーナー。「もっと楽に、もっと生きやすく」を理念に掲げ、主に片づけ整理収納という行為を通じて、人生そのものを整えるサポートを行う。

片づけは「理想の生活」に近づくための第一歩

宇高さんのご自宅

「物をどこかに隠して、とにかく見た目をよくするのが片づけ」。そう思っている人は少なくないと思います。宇高さんもかつては、乱れてきたらとりあえず収納スペースに入れて、また乱れたら片づけて……の繰り返しだったそう。

昔からインテリアが好きだったこともあり、すてきなお家、すてきな暮らしをしている人にはずっと憧れていたという宇高さん。土地からこだわったオーダーメイドのお家を建築中に片づけの重要性に気づき、「もっとちゃんとしなくちゃ。片づけを克服するためには自分が変わらなきゃ!」と一念発起したそうです。

「きれいな家を建てて、きれいな空間を作れば、自然とうまく片づけられるものだと本気で思っていました。でも、現実はそうはいかなくて。毎日忙しいと片づけどころじゃないし、子どもがいればどうしても散らかります。

理想と現実のギャップに悩んで落ち込んでいたとき、いろいろと調べて出会ったのが、ライフオーガナイズ。惹かれた理由は『その人に合った片づけ法がある』という言葉が印象的だったからでした」

ライフオーガナイズでは、空間ではなく、まずは「思考の整理」を行って、自分に合った片づけの進め方を考えます。宇高さんも当時、あらためて片づけの目的を見つめ直したところ、「大好きな空間で、好きな物に囲まれて暮らす」というイメージが浮かんだのだとか。

新居ではインテリアを楽しむことを最優先事項にし、物は少なめに。目的や優先順位を明確化したことで「自分の理想の生活に近づくために片づけているんだ」という前向きな気持ちで家じゅうを見直しました。その結果、自分の大切なもの・必要な物を選びとることができ、片づけが苦手なご自身や子ども達でも維持しやすい仕組みを整えていくことが出来たそうです。

「当時、ライフオーガナイズの片づけの進め方が自分の中にストンと落ちて、納得できたんです。片づけに取り掛かる前は、『きれいな空間を手に入れなきゃ。そのためには自分の性格を変えなきゃ』というプレッシャーのようなものがありました。

でも、『片づけは空間をきれいにすることじゃない。家族みんなにとって居心地のいい空間をつくって笑顔で暮らすんだ』という考え方に変わったので、すごくラクになれました。そして、自分自身がライフオーガナイズに救われたこの経験を、今度は人に伝えたいという気持ちで、ライフオーガナイザーになったんです」

ご家族の数年後の姿をイメージしたご提案

片づけ作業のほか、新築やリノベーションの収納プランニングも行っているという宇高さん。プランニングの時にも、片づけの知識を活かして作業を進めます。

ご依頼の9割はSNSから。メールで少しやりとりしたのち、ヒアリングシートへの記入をお願いし、事前に写真とともにシートを送ってもらうのだそうです。

「ヒアリングシートの内容から、いまのお困りごとはもちろん、なぜ私にご依頼いただいたのかもお伺いするようにしています。たとえば、『Instagramの写真を見て』とか、『人から聞いて楽しそうだったので』とか。回答を見ると片づけに何を望まれているのかがわかるので、現場のイメージを膨らませ、訪問先ごとに作業の進め方を変えるようにしています」

初回訪問は、だいたい3時間。
最初の2時間で、ヒアリングシートでは拾いきれないような1日のタイムスケジュールなどを口頭で聞き取ります。

「お客様にとっては、困っていることや理想の状態を具体的に言葉にするのが難しいことも多いと思います。だから、お話を聞きながら、丁寧に見える化していくんです」

ヒアリングのあと家全体を一緒に見てまわり、最後の1時間で、物の配置や今後の進め方の提案をするのだそう。そしてこの内容が、とても手厚いのです。

私の提案では、iPadを使います。最初に、何も家具が置いていない状態の図面を表示させて、一緒に画面を見ながら『このへんにベッドが来ますよ』とか、『この家具はここに置いたらどうでしょう』とシミュレーションするんです。パッと見ただけでは想像しづらい作業前後のビフォーアフターを、具体的にイメージしていただけるように工夫しています」

この流れは、片づけの現場でも、新築やリノベーションの収納プランニングでも同じ。

特に新築やリノベーションの収納プランニングのご依頼の際には、お引っ越しもスムーズに進むよう、細かいところまでシミュレーションをします。

今回は特別に、新築収納プランニングの提案図を見せていただきました。

お鍋や調味料、ボウルやジップロックの位置まで、詳細に書き込まれていて度肝を抜かれました。ここまで丁寧に提案してもらえると、引っ越しの準備の段階から迷いがなくなりそうですよね!
(*実際の提案書や提案方法はお客様により異なります)

新築収納プランニングのお客様向け提案資料(クリックで拡大できます)


そして、片づけ作業の中では、数年先を踏まえた思考の整理も進めます。

この家で一生暮らせるか、子どもの人数と理想を考えると引っ越しかリフォームか。一緒に考えることで、ぼんやりしていた将来像が、はっきりと見えるようになるのだそう。提案内容も、現状をどう良くするかだけではなく、なんと4〜5年先を見据え、ときにはリフォームを想定したものも考えるのだとか。

「たとえば、『3年後にはお子さんが小学校に入学するので、子ども部屋が必要になる。その場合、リフォームするならこうだし、いまの間取りのままでなんとかするならこう』といったように、提案は数パターン考えるケースがほとんどです

また、ご家族の中で一人でも意見が違うと、いろいろ頑張って片づけを進めてもどこかでゆがみが出てきてしまいます。なので、ご提案の際にはご依頼者さま本人だけではなく、ご家族全員にプレゼンするつもりで資料をつくります。

数年後の図面は、あくまでも、現時点からライフスタイルに合わせて家をどう変化させるかをイメージしていただくためのものなので、将来的に本当にご依頼いただくかは自由です。ですが、最近は4〜5年前に担当したお客さまから再度依頼をいただく機会も増えてきました。作業終了後には『何かあったらいつでも頼ってくださいね』とお伝えしているだけに、すごくうれしいですし、ありがたいです!」

家族関係にも明るい変化を。家族への声かけもアドバイス

宇高さんのお宅では、小学生のお子さんが宇高さんの助言なしで自ら片づけや家事を進めていくのだそう。これまでに実践してきた片づけや、声かけの積み重ねによるものだといいます。

そんなご家族との日々のやりとりをもとに、著書や各メディアによる取材、ブログなどでは、子どもと一緒に部屋を片づける方法や、子ども・夫婦間の声かけについても発信。

たとえばこちらの記事では、ふたりのお子さんが、それぞれ自分の部屋を片づける様子が書かれています。

「仕分け布」という色の違う数枚の布を使い「いるもの」「いらないもの」「思い出の品」に持ち物を分けていくのですが、お子さんが主体となって片づけを進めている様子がとても印象的でした。

そんなご家族との接し方を目にしたお客さまからは、そのコツを聞かれることもあるのだそう。訪問先で作業の終わりに感想を聞くと、「家族への声かけの話がすごく心に残りました」と言われることもしばしば。

実際に、家族と上手に接することができるようになったというお客さまからは、「すごすぎて、もはやカップルコンサルですね!」と言われたこともあるのだとか。

「家族間の価値観が合わないまま、それぞれが違う方向を向いている状態は、とても辛いですよね。作業中にはお悩みを聞いて、どう考えたらラクに夫婦の価値観がすり合わせられるかなど、ちょっとしたコツをお話ししたりもしています。

私自身、ライフオーガナイズを学んでから、家族にうまく伝える方法を見いだせたので、そのノウハウをお伝えしているんです」

明るく前向きに!宇高さんのポジティブな片づけ

南海プライウッド東京ショールームでは収納プランニングを担当

宇高さんが、作業の中で最も大切にしていることは、「楽しく進めること」なのだそう。片づけの楽しさがお客さまに自然と伝わるくらい、たくさんコミュニケーションを取りながらとにかく明るく進めます

お悩みが深いと、予定通り作業が進まないこともありますが、一日の終わりは必ず「今日来てもらえてよかった!」「次も片づけ頑張ろう!」と前向きな気持ちになってもらえるように締めくくることを心がけているのだそうです。

「作業後は、ポジティブな気持ちになれると思います(笑)。私自身が楽観的な性格なので、『絶対に大丈夫! 一緒に頑張りましょう』と常々お伝えしているんです」


ライフオーガナイザーになる前は、会社員だった宇高さん。エンドユーザーとの関わりもありませんでした。企業で働いていたときのことを思い出してみても、お客さまから直接感謝の言葉をもらえるライフオーガナイザーは、本当に幸せなお仕事だと感じるそうです。

「みなさんにももっとラクになってほしいし、お家を好きになってほしい。家族みんなが笑顔で過ごせるような暮らしを、お客さまにも手に入れてもらいたい。『暮らしの質を上げたい』と願う全ての方が、『いまよりちょっと素敵な暮らし』を手に入れられるように、これからもお手伝いしていきたいと思っています!」

そんな宇高さんに、いままでの依頼のなかで特に印象に残ったお客さまの言葉を聞いたところ、「どれもうれしくて、ありすぎて迷ったのですが……!」と言いつつも、2016年に担当したお客さまからのご感想を紹介いただきました。

明日も別なお友達が部屋を見に来ます。「どーぞ!」と自信満々に答えている自分にビックリです。
劇的に変化した(部屋のみならず、私の気持ち)も写メで送れるといいのですが(笑)。
ゴチャゴチャした部屋で、自分を見失っていました。やっと昔の私に戻れたようです。

2016年6月16日のブログより抜粋)

「『これぞライフオーガナイズの醍醐味!』と思えて、とてもうれしくて。『部屋ももちろんきれいになったけれど、なにより気持ちがすごく変わった!』という方って、本当に多いんです」

一人でも多くの方の暮らしをラクにという思いで、SNSやブログ、メディアでの発信に余念がない宇高さん。その代表格であるInstagramは、今日から簡単に取り入れられる片づけのTipsが満載! ぜひ一度、覗いてみてくださいね。

▼宇高さんのInstagram

宇高うだか有香ゆかさんのプロフィール
小さいころからインテリアや建築が好きで、こだわりの家を建てたが、自邸の建築中に自分の片づけ力のなさを思い知り、一念発起して自宅の片づけを進めながらライフオーガナイザーの資格を取得。
活動歴10年を迎えた現在までに、ライフオーガナイザー®としてのべ600件の個人宅の片づけを指南。新築やリノベーション設計時の収納プランニングや建売住宅の収納監修も数多く手掛ける。また、書籍執筆やメディア露出、セミナー講師等、幅広く活躍。
活動拠点は首都圏で、オンラインでのコンサルティングは全国対応。二児の母で、子どもとの片づけについても積極的に発信している。著書に、「子どもと暮らすラクに片づく部屋づくり」など。 

■宇高さんのWebサイト:https://uchikara.net/organize/
■宇高さんのブログ:https://uchikara.net/
■協会の紹介ページ:https://jalo.jp/member/udaka-yuka/

取材・編集:くらしなゆうこ
取材・執筆:あやこあにぃ

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