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自分の強みを見失った女は、マツコの言葉で泣き崩れた

人は、自分の強みや良さを見失っているとき、自分の良いところを自分で削ってしまうことがある。周りの目やSNSに振り回されて、自分を見失ってしまうと、人はこうなってしまうのか… と今週の「マツコ会議」を見て、教えてもらった。


「私、30代を過ぎて、全然テレビに呼ばれなくなったんです…」

とある女性芸能人が、マツコにガチの人生相談をしていた。

その女性芸能人とは、バラエティ番組やドッキリのリアクション女王、鈴木奈々。元モデルらしからぬ、デカすぎるリアクションで番組を盛り上げる彼女は、最近真剣に悩んでいるとマツコに打ち明けていた。

マツコが「たしかに最近お見かけしなくなっちゃったけど、私は個人的には面白いと思ってて、ずっと見てたい人の1人」と言う鈴木奈々の相談を受ける形で始まった番組は、自分を見失った1人の人間が、再び自分の本来の良さを思い出していくというプロセスを見せてくれました。

鈴木奈々がガチ人生相談をする「マツコ会議」は、6月19日(土)22:59までTVerで見れます。たまたま見たんですけど、良いもの見せてもらいました。あざます。https://tver.jp/corner/f0076442


違う“誰か”になろうとしてしまう病。

鈴木奈々は最近、路線変更して、Instagramで下着姿を披露したことで写真集のオファーが来るなどして、活躍の場を広げているという。中継で画面に映った姿は、以前とは少し違う雰囲気を漂よわせていた。

「あれ?体張ってた頃の菜々ちゃんじゃないわね。どうしたのよ?」

と聞かれると「私スゴく憧れてる人がいて、田中みな実さんがすっごく大好きなんですよ」と返答。

少し間をおいてマツコが「もっと志高く持たなきゃダメよ。」と。

「田中みな実がダメって話じゃなくて、
 鈴木奈々がいまさら田中みな実に憧れてどうすんのよ?」

と、違う誰かになろうとしている違和感をやんわりと諭した。

30代になって徐々にテレビに呼ばれなくなってきて、「もう私みたいなのは求められてないのかな」と不安な想いを鈴木奈々が話すと、

「いやいやそんなことはない。なんで最近菜々ちゃん呼ばないの?とスタッフにも聞いたりしてたのよ。でも、路線変更してる菜々ちゃんを見て、もう昔の鈴木奈々じゃないんだな感が出てて、それが原因なのかもね。」と今の状況を整理するマツコ。

でも、そうじゃない、呼ばれない原因は、他にもあると“思い込んでいる”鈴木奈々からは、また別の悩みが出てきた。

「私、コメント力がなくて…」

「よどみなく答えたり、時事ネタに的確に答えたりとか、そういうのだけがトーク力じゃないからね。菜々ちゃんのあの絡み方は、唯一無二だった。」と本当に求められていた部分が、どこだったのかをそれとなく伝えていくマツコ。

ところが「みちょぱとかコメント力がすごいから、あんなふうになりたいなと思うし、尊敬してるんです。」と鈴木奈々が話すと、今度はその違和感を先程よりも強く感じ取って、マツコが話を返す。

「田中みな実や、みちょぱがダメって話じゃない。尊敬してるとか言うのは井森(美幸)姉さんとか(島崎)和歌子とかの先輩なら自然なの。ダメだよ〜、そんな同年代の人を憧れてるとか尊敬してるとか軽々しく言っちゃ。そこはもっと意地になって戦ってほしい。」

これは画面の向こうにある芸能界だけの話じゃなくて、僕もついついやってしまうこと。同年代や同級生の活躍を見て、いいなぁ… あんなふうになれて、それに比べて俺は… とか、つい比較してしまう。同年代や下の年代でもスゴイ奴は現れるけど、”志を高くもって“とマツコが言うように、そこに気安く「尊敬」なんて言葉は使わず、上の世代の先輩に憧れと尊敬を持つように視線を変えるのは、1つの処方箋なのかもしれません。


私、今、すごく自分に自信がないんです。

このあたりで涙腺崩壊してきて、「マツコさんは、なんで私のことをこんなにホメてくれるのか全然わかんない」と泣きじゃくりながら話す鈴木奈々。

それを見てマツコは、「急にこんななっちゃって、これ朝のニュース番組のコメンテーターだったら大変よ。でも、バラエティの収録でこんなふうに急に泣き始めたら(撮れ高的に)ありがたいでしょ」と本来の活躍の場(ポジショニング)と、向かおうとしている方向性のズレを伝え、「こんなバラエティークイーンはいないんですよ、実は!」と力説する。

そう言われても、「でも、私、ほんとに努力できない人間だし… なんでこんな私をマツコさんがスタッフさんによく話をしてくれてるのかわかんなくて… 」と、さらに涙腺制御不能になりながら語っている姿を見て、

「これが本来の菜々ちゃんの魅力。こうやって素直な気持ちでコメントするとか、何かについて感想を述べるっていいと思うの。」と語りかける。

「私、今、すごく自分に自信がないんです。」

そう話す鈴木奈々に、

「それ、スゴくよくないと思う。強引に自信を持つ必要はないけど、あれだけの結果を残して、これだけみんなに愛されてるんだから、そんなに自分を卑下する必要はないよ。ちょっと開き直りも大事よ。」

と冷静に、いままで自分がやってきたことを思い出すように諭す。

「マツコさんは、私をこうやってホメてくださって本当にうれしいんですけど、みんな、そう思ってくれてるのかな?」

このあたりからフォーカスが、周囲の視線や見え方の話になってくる。

「100人いたら、100通りのその人に対しての思い方があるから、全員が同じ見方ってことはなくて、菜々ちゃんが嫌だって人もいるでしょ?」と、全員に好かれることはムリだという話を改めて伝えると、

「私、すごくエゴサーチするんですよ」と。

だんだんと今回のメインテーマが見えてきました。自信を失って、自分を見失っている原因は、どうもエゴサーチにありそうです。

「しちゃダメ。菜々ちゃんみたいなタイプはエゴサーチしちゃダメ。」


自分の良さを、自分で削ってた。

エゴサの結果、自分のダメな部分を直そうとしていたと話す鈴木奈々。

「『スッキリ』に出たときに『朝からうるさい』と書かれたんです。だから『次からは、あんまりうるさくしないようにしよう。同じことを2回言わないように気をつけよう』と思ったんです。」

「あーもう絶対、一番やっちゃいけないこと。『うるさい』って言われたら、もっとうるさくしなきゃダメ。うるさいってことで菜々ちゃんは目立ってたの。ダメよ、それ抑えたら。抑えすぎて、どんどん仕事なくなってきたんじゃない?」と語るマツコ、さすがです。

人は自分と違う部分を見て、その違いを肯定的に受け止めれば「キャラ・面白み」になり、否定的に受け取ると「ダメ・嫌い」になる。凸凹したものは、面白いと言われることもあるけど、嫌いと言われることも多い。だからといって、その凸凹を削っていくと面白みがなくなって、面白いと言ってくれていた人も離れていく。

「どんどん菜々ちゃんの良さを削っちゃってるから、テレビをつくってる側からすると菜々ちゃんに騒いでほしかったのに、騒がれなかったら『あれ… 菜々ちゃんおとなしくなっちゃったね』ってなるじゃん。」


これだけは間違えないで。言うことを聞いちゃダメ。

「私、ランキングにもよく入るんですよ。
 朝から見たくないランキングとか。」

たしかに、鈴木奈々は過去にそういったネガティブランキングによく入っていたようだ。ところがマツコはこう言う。

「菜々ちゃん、これだけは間違えないで。ポジティブなランキングと、ネガティブなランキングがあるけど、あれは“同じ”だと思ってて。」

それを聞いて「ウソーーーーー!」と卒倒する鈴木奈々。

「同じ」とは、どういうことだろう?

「あれは、ポジティブもネガティブも、両方“ポジティブ”だから。」

それを聞いてマツコ会議でマツコの横にいる、ディレクター歴20年の男性も「はい。」と静かに言った。

「あのランキングに入るってことは、ネガティブなほうでも、それだけみんながその人のことが気になってるって証拠で(20年ディレクターも「そうです」と相づち)、人気投票だから。ポジティブTOP10とネガティブTOP10は、あれ上位20人なのよ。(ディレクターも再び「そうです」と)」

再び「えぇーーーーー!」と飛び跳ねる鈴木奈々。

今回のお悩みの原因が見えてまいりました。

「素直に全部真に受けちゃってるから、どんどんどんどん良いところを自分で削っちゃってんのよ。エゴサーチ禁止!あとランキング気にするのも禁止!書き込みが全部ゴミだとは言わないけど、従っちゃダメよ。」

「うわぁーー従ってた。めっちゃランキング気にしてたーーー!」と、このあたりから少しほぐれてきた鈴木奈々。


自分に飽きちゃダメだよ。

鈴木奈々が仲良くしているという加藤茶に言われた言葉があるという。それが「自分に飽きちゃダメだよ」という言葉。

それを聞いて「さすがでございますよ。」とマツコ。

「自分とずっと付き合ってるのは、自分じゃない? アタシは自分のことをちっとも面白いとは思わないし、もうそろそろいいかなとか思うときもあるのよ。でもそれって突き詰めると、自分に飽きてるのよね。同じことしてると、どうしても昔とは違って飽きてきちゃう。」

加藤茶は、カトちゃんペッを何回もやるし、「ちょっとだけよ~」を何度も求められる。そりゃご本人の中では、もうとっくに飽きてるだろう。でも、みんなが「アレやってほしい」と待ってるから、できるだけ飽きないように努力しているのだろう。

タカアンドトシが志村けんに相談したことがあるらしい。「僕らいつまでも『欧米か!』ばっかりやってていいいんですかね?飽きられないですかね?」と。すると志村さんは「いいんだよ、何度も『欧米か!』で。みんなが知ってるものがあるってことはスゴいことなんだから。俺なんていろいろやってるように見えて、ずっとバカ殿と変なおじさんでやってきてんだから。」と教えてくれて、フッと肩の力が抜けたと。

ダウンタウンの松ちゃんも、たしかラジオの「放送室」で放送作家の高須さんに言っていた。「なんかもう40代になってくると、いろんなもんがパターンに見えてけーへん?あ、またこのパターンかとか。なんかだんだんおもろなくなってくるよなぁ。」みたいなことを言っていたような記憶がある。

リリー・フランキーことリリーさんもラジオでそんなことを言ってた覚えがある。「やってることにだんだん飽きてくるんだけど、なんとかだましだまし、飽きてるのがバレないようにしながら過ごして、他のことにスライドしていこうとしたりしてる。」と。

こという自分自身も、そんな「飽き」に苛まれることがある。物事をはじめた初期は苦戦したり新鮮味があったことも、繰り返しやって慣れてくると、だんだん飽きが来て「こんなこと続けてて何になるんだろ」なんて思うこともある。きっとみんな、飽きと戦っている。

そこに対してマツコは「でも今この瞬間、見てくださってる方って、日本国民の何割なの?って話で、あのときマツコがこんなことしてた、あのとき前の番組と同じことしてたってことまで覚えてる人がどれだけいるか?って話で、じゃなかったら水戸黄門は、あんなに印籠を出さないでしょ。」と。

たしかにそうだ。水戸黄門は絶対に印籠を出すし、吉本新喜劇は必ず全員でコケる。何度も見てるから知ってるし、やってる方は何度もやってるから、そりゃ飽きることもあるだろう。でも、見る側は「いつものアレ」を待っているのだ。


“何も言ってはくれない人たち”を大切に。

「悪い書き込みをしてる人が、どういう心理なのか、アタシはいまだによくわからないんだけど、菜々ちゃんの無垢さとか笑顔を絶やさないことが、逆に鼻につくと思う人もいるかもしれない。でも、そう思ってない人たちにとっては“スゴい笑顔”だし“スゴい無垢さ”なわけだし、それで救われている人もいっぱいいると思う。」

* * *

ネットショップのレビューだって、コールセンターの電話だって、ネガティブなことを言いたいお客さんのほうがアクションが多いし早い。”不満”はその放出先を探してアクティブに動きまわるが、”満足”はやわらかくそのあたりをふわぁ〜っと、漂っている。

満足や感謝をわざわざ伝えるときは、よっぽど嬉しくて人に言いたくなるぐらいの出来事があったときだが、そんなことはそれほど多くない。ほどほどにいい感じで、ほどほどに満足しているときは、ゆったりとリビングで過ごしている。わざわざ書き込みをしたりはしない。

仕事柄、ネットショップを運営している人と話すことが多い。ネットショップに来る問合せの電話やメールは「いつ届きますか?まだですか?返品できますか?」といったネガティブ寄りの困りごとであることが多い。

ところが最近は、チャットを取り入れる会社も増えてきて、チャットだと問い合わせが必ずしもネガティブなものだけじゃなくなるらしい。その理由は、“ちょっと気になった程度のこと”をチャットで聞けるから。

例えば、お酒のネットショップで「なんか、オススメのやつあります?私、甘めが好きでなんですが。」と話しかけたりとか。こんなのメールでは送らない。「なにこの馴れ馴れしいメール」となってしまうから送れない。

でもチャットで「なにかオススメのものあります?」と聞かれたら、ここぞとばかりにプロとしての商品知識を披露できる。お客様の好みを詳しく伺っていき、最後に「きっとこれが、お口に合うと思いますよ」なんて案内ができたら、「ありがとうございます!」と喜びの言葉が返ってくる。

問合せを対応するスタッフがいままではネガティブトークで疲弊していたのに、チャット対応をするようになってから、お客様に喜んでもらえることが増えて、モチベーションがアップしてきた、なんてこともあるみたいです。

* * *

話はマツコ会議に戻りまして、ここでマツコがSNS時代の名言とも言える言葉を贈っていました。

「菜々ちゃんが大切にすべきは、“何も言ってはくれないけど、テレビの前で菜々ちゃんを見て喜んでくれてる人たち”で、そういう人たちがいることを信じたほうがよくない?」

この言葉、すべてのことに通ずる気がします。

するとやはり、そういう人たちはいるようで「ドッキリやクイズ番組で鈴木奈々を見て“生きる希望が湧いた”とか、そういう電話やメールが事務所に来るんですよ。」と。生きる希望が湧いてくるってこれスゴい話なわけで、鈴木奈々は“そこ”を思い出し始めました。

そしてマツコ師匠は、名言を畳み掛けます。

「でもね、事務所にファンレターを送ってくれる人なんてのは、ほんっと一握りなのよ。実はポジティブな人は心のなかでは応援してても、ネガティブな書き込みをする人みたいに、いちいちあんなことしないのよ。でも、ネガティブなことを書き込みする人は、あれを日課のように書き込んでらっしゃる人たちだから、同じ割合だとは思わないほうが良いよ。」

自分を見失っていた鈴木奈々氏は、ようやく冷静を取り戻しました。

「ちょっと鵜呑みにしすぎてました。
 書き込みで自分自身を殺してましたね… 」

そして、最後を締めくくるように、フラットな視点を取り戻す言葉も。

「あと、今日いろいろ話をしたのも、考えすぎよ。よく”話半分”っていうじゃない?アタシが言ってることだって全部が正しいわけじゃないし、全部を話半分で聞いてればいいの。この世に”絶対命令を聞かなきゃいけない人”もいないし、この世に”100%正しいことを言ってる人”もいないんだから。」


なにかをするんじゃなくて、戻ればいいのよ。

ようやく自分の良さを思い出した鈴木奈々ですが、今度は、その良さを取り戻せるのか?という不安を漏らします。

「私は、これからまた、うるさくできるのかな… 」

その答えが、これまた秀逸。

「また、もとに戻ればいいんじゃない。
 テレビに出始めた頃のなんにも考えてない、
 素の菜々ちゃんに戻ればいいのよ。」

「そっかーー♪」

というわけで無事、お悩み解決、チャンチャン♪

最後は、アナ雪の「ありのーままでー♪」な結論で幕を閉じました。


番組の最後では、その場にいた有吉ゼミの激辛コーナー担当から「激辛どう?」とオファーがあり、「ぜひ、やらせてください!」と即答。

僕はいつかまた、テレビの中で暴れまわる鈴木奈々を見て、うるさければうるさいほど、「いいねぇ、素で暴れまわってんねー(笑)」と微笑ましい笑顔で、それを見るのかもしれない。

* * *

今回は、書き起こしに近いレベルで、多分にマツコさんと鈴木奈々さんの発言を引用させていただきました。番組を見て「書き残しておきたい!」と思った勢いのままに、文中では敬称略でお二方の名前を挙げさせていただきましたが、今回の番組でドツボからのリアルな復活劇を見せていただいたことは、ホント、今後の人生の支えになるんじゃないかと割と本気で思っています。ありがとうございました、と、きっとお二人には届かない謝辞を述べておきます。

僕らが自分の強みや良さを見失っているとき、自分では「なんでうまくいかないんだろう」と思っているかもしれないけど、周りから見たら案外「なんで自分で自分の良さ削っちゃってんの?」的な行動をやってしまってるのかもね。

というわけで、親愛なる僕の周りの方々、僕がドツボにハマってたら教えてください。引き続きよろしくお願い致します。

* * *

文中に出てきた「田中みな実」をググってみましたら、200万人のフォロワーがいたインスタをやめたらしいです。

この記事に印象的なコメントがありました。

今もしっかり「嫌いな女子アナ」に名を連ねていますし、何も変わっていないんですけどね。こんな私を許容してくれる優しい時代に感謝です(笑)。
周りの評価で一喜一憂したくないんです。「嫌われている」と言われても受け止め過ぎず、「好きな人が増えている」と言っていただいたとしても、浮足立つことなく、気持ちはフラットであり続けたい。もちろん嬉しいけど!

年齢を重ねると必然的に自分の魅せ方、考え方は変わっていく。それを周りがどう捉えるかということですよね。「何周もまわって、やっぱりあいつ嫌いだわ!」と思われても、それはそれで、受け止めざるを得ませんね。

私は誰かに“好き”と思ってもらいたくて仕事をしているわけじゃないから。

本人の感覚としては、”何も変わってない”。でも、周りからは嫌われたり、憧れられたりする。散々、周りの評価に振り回されてきた結果の「周りの評価で一喜一憂したくない」という結論。

今回の”自分を見失う”件に通ずるものが、あるのかもしれません。

* * *

記事の最後に「スキ」を押してってくれる人が、大好きです。ではまた!

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