見出し画像

MLB@「フィールド・オブ・ドリームス」〜シューレス・ジョーは現れたか

このブログで野球の話題を書いた際、メジャーリーグが8月12日に開催したMLB@「フィールド・オブ・ドリームス」についてコメントを頂戴した。

ケビン・コスナー主演の映画「フィールド・オブ・ドリームス」、アイオワ州のとうもろこし畑に、“If you build, he will come”という“声”に導かれ、コスナー演じるレイ・キンセラは野球場を造る。すると、その野球場にはかつての選手が現れる。さらに、”声”に導かれ、キンセラは旅をし、引退した作家や大リーグ選手を夢見た医者と巡り合う。野球場が過去と現在をつないでいくファンタジーである。

この映画を踏まえ、アイオワ州、映画の球場の側に建設された野球場で、MLBの公式戦が開催された。シカゴ・ホワイトソックスのホームゲームとし、ニューヨーク・ヤンキースと対戦、素晴らしい試合となり、最終的にはホワイトソックスが劇的な勝利をおさめた。「フィールド・オブ・ドリームス」と名づけるに相応しいゲームだった。

映画の原作は1982年の小説、W.P.キンセラ著「シューレス・ジョー」である。“シューレス・ジョー”とは、打率4割をマークしたこともある、ホワイトソックスの名選手シューレス・ジョー・ジャクソンだが、彼は1919年のワールドシリーズにおける八百長事件、いわゆる“ブラックストッキング事件”に関与したとして、球界を追放される。原作そして、映画は彼は無実であったと示唆し、畑の中の球場に、シューレスジョーらが現れる。

今回のMLBの企画は、粋で素晴らしいと思うが、ちょっと引っかかっているのは、シューレス・ジョーについてMLBは(私の知る限り)全く触れていないことだ。 彼の復権については、米国議会でも取り上げられたが、MLBは復権を認めていない。「フィールド・オブ・ドリームス」ゲームを開催するということは、少なくとも黙示的にシューレス・ジョーの無実を認めていると解され、このタイミングにこの問題についてクリアにして欲しいと思った。

とうもろこし畑から、コスナーやアーロン・ジャッジは現れたが、シューレス・ジョーは現れることができなかった。

ついでに、細かいことに触れると、原作では主人公・父ともホワイトソックスのファンであり、NYに引っ越した後は、アンチ・ヤンキースとなる。その意味で、今回の対戦カード、そして結末はパーフェクトである。しかし、映画版はNYに移った後、父はヤンキースファンとなり、主人公はブルックリン・ドジャースをサポートする。こう設定することで、父と息子の対立を演出した。

また、映画では架空の作家テレンス・マンが登場するが、原作では「ライ麦畑でつかまえて」の著者で、その後、隠遁生活を送っていたJ.D.サリンジャーである。また、主人公の苗字キンセラは、サリンジャーの作品に登場する。映画でもサリンジャーを登場させた方が良かったと思うが、映画制作当時、サリンジャーは存命で引き続き表舞台との関係を絶っており、色々と難しかったのだろう。

尚、MLBは来年もこの企画を行うと発表した。1919年のワールドシリーズで、ホワイトソックスに勝ったシンシナティ・レッズと、シカゴ・カブスの対戦となる

献立日記(2021/8/22)
豆漿鍋 (KALDI)
冷やしトマト



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?