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【ニュース】画業4年半で鮮烈な印象を残した画家【佐伯祐三の回顧展】 @大阪中之島美術館

美術は分からないと言いつつ、熱狂する人も多いため、なんか気になるんですよね。それで、もともと好きな山田五郎さんが始めた、YouTubeチャンネル『オトナの教養講座』を、毎週のように観ています。

このチャンネルは毎回、わたしと同じく美術の良さが(たぶん)分からない、映像制作会社のディレクターのワダちゃんが「この絵のココって、変じゃないですか?」みたいな質問を山田五郎さんにすることから毎回始まります。そのワダちゃん(つまりは美術の分からない多くの人たち)の疑問に、山田五郎さんが、だいたい30分くらいで説明していく……という構成になっています。

番組名に「オトナの〜」とあるとおり、毎回、下世話な話を交えつつ、対象画家の生い立ちや人間性を解説または推測しながら、なぜその絵が描かれたのかに迫っていきます。

■久しぶりに面白かった『佐伯祐三』の解説回

正直、最近の話題はつまらなかったんです。山田五郎さんが、あんまり興味を抱いていない画家を、解説する回が多かった気がします。

それがですね、先週今週は、あの佐伯さえき祐三さんを取り上げていました。「あの!」なんて言いましたが、わたしはもちろん知りませんでしたよ……聞いたことはあるかなぁ ←ウソ……くらいの人です。

で、今回は前述したワダちゃんはお休みだったのですが、先輩の女性が代打として来ていました。その方が持ってきたのが、佐伯祐三の《立てる自画像》で……「なんで(この自画像の)顔の部分がグジャっとなってるんですか?」と疑問を投げかけます。

佐伯祐三《立てる自画像》1924年・大阪中之島美術館

《立てる自画像》のパネルを手渡された山田五郎さんは、「とうとう来たかぁ……佐伯祐三は、高校の先輩なんだよ……大阪の北野高校のね……(だから)思い入れが強すぎて、今まで避けてきてたんだよ」といったことを言いながら語り始めました。

佐伯祐三《ノートル・ダム(マント・ラ・ジョリ)》1925年
大阪中之島美術館蔵・北野高校旧蔵

どんな思い入れがあったのか、YouTubeでは、ほんの少しだけ話していました。山田五郎さんは、高校の進学先を決める際に、本当は実家に近い高校にしたかったと言います(かなり眉唾ですが…)。でも担任の先生が「佐伯祐三や梶井基次郎の出身校でもある北野高校を推した」のだと言います(かなり優秀な成績だったのでしょう)。

そして山田五郎さんは、北野高校に進学。同校には、佐伯祐三(なのか親族からなのか)から、1925年に描かれた《ノートル・ダム(マント・ラ・ジョリ)》という作品が寄贈されていたそうです。ただし山田五郎さんの在校時に、同作品は、校長室にあったと言います。それで山田五郎さんたち(美術部?)生徒たちは、「これは美術部に寄贈されたものだから、美術部に戻すべきだ」と先生に訴えたそうです。でも先生からは「おまえらタバコ吸って燃やしちまうから、ダメだ!」と言われたと言います。

まぁそんな話しだったかと思います。

このネタを枕として話してから、いよいよ本題の佐伯祐三について、全2話で話をしていくんです。

その本題については、ぜひYouTubeを御覧になってください。とにかく山田五郎さんが、うれしそうに紹介しているのが伝わってきて、聞いていて楽しかったです。また作風の変遷とともに、「ココが素晴らしい!」というポイントを、分かりやすく解説してくれています……逆に「これはダメだろ」な点も。

とにかく、山田五郎さんが佐伯祐三について、本当に思い入れがあったんだろうなというのが伝わってくる、久しぶりに面白い回でした。

■特別展『佐伯祐三 自画像としての風景』が大阪中之島で始まります

ということで、今週末から(2023年4月15日〜6月25日)、佐伯祐三作品を展示するために建てられたと言っても過言ではないという、大阪中之島美術館で、特別展『佐伯祐三 自画像としての風景』が開催されます。

特別展『佐伯祐三 自画像としての風景』の大阪中之島美術館のパンフレット(表紙)

佐伯祐三は、大阪で生まれて、東京の美術学校(東京藝大など)に通います。卒業後はすぐに家族でパリへ渡り、約2年間を過ごします。ですが、結核のため日本へ帰国。東京(下落合)や大阪で約1年半、過ごした後に、シベリア鉄道でパリへ戻りました。

その場所や時期によって作風が変遷していくのが、分かりやすく展示されているはずです。

特別展『佐伯祐三 自画像としての風景』の大阪中之島美術館のパンフレット(裏面)

ちなみに、この特別展『佐伯祐三 自画像としての風景』は、1月21日から、つい先日……4月2日まで、東京駅にあるステーションギャラリーにて開催されていました。その時のパンフレットも貼付しておきます。

特別展『佐伯祐三 自画像としての風景』の大阪中之島美術館のパンフレット
左が表紙
右が裏面

もし山田五郎さんが『オトナの教養講座』で、もっと早く取り上げてくれていたら、もしかしたら東京ステーションギャラリーに、佐伯祐三の作品を観に行ってただろうな……なんて思ってしまいました。さすがに大阪までは行けないなぁ……残念。

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