見出し画像

そろそろしっかり理解したい、GDP成長率の前四半期比年率換算

自分自身がそろそろしっかり理解したいため執筆することにします。一部の方には有用な情報と思いますのでアップします。

毎回四半期ごとにGDPの成長率が出るのですが、このGDPの成長率は前四半期比年率換算と言う算出方法で計算されています。

例えば、コロナ禍による最初の緊急事態宣言機関における2020年4-6月期における名目GDP成長率は△28.2%となりました。また、これがその翌四半期2020年7-9月期には+23.7%となっています。

GDPの3割が減って、2割ちょっとが戻るという乱高下ぶり、さすがにGDPが550兆円程度ある日本が、これだけの乱高下をするものか。

これはどういうことなのか、具体的に考えてみましょう。


GDPが△3割、+2割動くからくり

GDPの成長率が△28.2%や+23.7%と激烈に変動するからくりは、前四半期比年率換算という算定方法にあります。

この前四半期比年率換算というものは、

「現在の四半期GDPの前期比が今後1年間継続したならば、年間のGDPの変動がどうなるか」

を示しています。

算式としては、 年率={(1+前期比)^4ー1}×100% となります。

※ ^は乗 を示します。

つまり、年率△28.2%の変動となるためには、四半期だけの動きで言えば △6.4%程度の変動になります。

イメージとしては、だいたい4倍+α程度に膨らんでいる感じ です。
以下のイメージがわかりやすいかもしれません。
これは2020年の1月から12月までの四半期ごとの名目GDPを、実際の四半期のみの変動(青)とそれを年換算したもの(赤)で対比したものです。

画像1

前四半期比年率換算は、マラソンで言えばその四半期のペースで年間を走りきった場合どうなるかと言うことです。

ただ上記の2020年4月から6月期の極端なマイナスは、緊急事態宣言による自粛期間の影響などもあり、四半期だけで− 6.4%と大幅な下落を示しています。
ただ、だからといって1年間ずっと緊急事態宣言が続くわけでもないため、これを年間に引きのばした前四半期年率換算で経済全体を考える事は短絡的すぎます。
この期間で、日本のGDPの3割が失われたと考えるのは早計
です。
結局その次の四半期において、同じレベルとまではいかないものの回復をしています。

上記のロジックを理解して、冷静に経済の状況を理解するスタンスが必要です。


一方で中国のGDPはどうか

中国のGDPについては、前年同期比で成長率を示しています。以下の記事では2021年の第一四半期(1-3月)は前年比18.3%増とあります。上記の図で言うところの青い部分の成長率が18.3%ということで、年率換算をすると

年率換算 = { (1+18.3%)^4ー1}×100% = 95.85%!!!

という超絶な伸びを示しています。もちろん、これも上記と同じでこのペースが1年間続いたならばという前提があります。また、中国のGDP自体の正確性という意味においても疑義がある部分も多いですが。。


まとめ

・GDPの成長率については、日本は前四半期比年率換算で表現されるのが通常。

・前四半期比年率換算は、その四半期のペースで1年間成長した場合を示す⇒故に変動が一時的に激しいタイミングでは極端に振れる。

・上記を理解して、冷静に実態の経済の状況を把握しよう。

・なお、中国は前年同期比で示される。指標の信頼性は疑問ではあるがとんでもない成長を示している。

この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?