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ボツワナ料理はシンプルだと思う

和食や中華料理など、世界各国の料理では一般に、一つの材料に対して様々な調理方法がある。そのため、いくらでもアレンジができ、複雑で奥が深い。「その国の味覚」をよく知らなければ、外部から来た人間が作ることは容易ではないだろうなと思う。

そのため和食や中国料理と比較すると、ボツワナ料理は非常にシンプルな料理であると言える。


その理由として二つ挙げる。

1) 調理方法は「これしかない」

ボツワナ料理は、「この材料には、この調理方法しかない」というものが多い。

例えばスイスチャード(味、栄養ともにホウレンソウに似ているため基本的にホウレンソウと同じように使える)を使った料理「モロホ」は、適当な大きさに切ったスイスチャードを油とともに鍋で炒めつつ煮て、塩で味付けをする。それ以外の料理方法はないのかと聞くと、「スイスチャードの料理方法は、これ以外にはない」と言われる。


写真:大学の圃場でスピナッチを育てる友達。

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写真:これがスイスチャード(友達が大学で育てたやつ)。ボツワナ人はみんな「スピナッチ!」って呼ぶが、実際のスピナッチよりだいぶ大きく、「しっかりした」野菜。

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ちなみに「モロホ」は葉物野菜を炒め煮したもの全般を指すため、使う材料はスイスチャードに限らない。葉物野菜を炒め煮したら全て「モロホ」だ。

多くの場合はスイスチャードかカウピーの若い葉を使う(カウピーの若葉を使ったものは特にモロホワセツワナと呼ばれ、スイスチャードよりちょっとえぐみがある)。

日本でホウレンソウの料理といえば、卵と炒めてもよし、ごま油とあえてナムルにしてもよし、めんつゆや醤油でおひたしにしてもよし、非常に様々な調理方法がある。


このように、ボツワナでは「この材料」を買ってきたら、調理方法は「これしかない」なのだ。


2)使う調味料が少ない


また、ボツワナ料理は「調味料はこれしか加えない」というものも多い。

なんなら大抵のボツワナ料理は、油と塩さえあれば味付けが完成する。

先ほど紹介した「モロホ」なんてまさに良い例で、油と塩だけしか使っていない。


写真:手前に写ってる緑のおかずが「モロホ」。奥に写ってるのは鶏肉のセスワ(一般的には牛肉で作る)だが、こちらも味付けは油と塩のみ。

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お弁当の付け合わせの定番であるバターナッツ(かぼちゃ)は煮るだけだし、スープ(実際にはビーフシチューだが、現地の人はスープと呼んでいる)なんかは、首都であれ農村部であれ、スーパーで買ってきたインスタントスープの素を使えば完成だ。わざわざ複数のスパイスを買ってきて調合したりとか、複数の調味料を少しずつ足して味を整えるだとか、そんな面倒なことはしない。


和食の定番である肉じゃがは、みりん・砂糖・醤油を調味料として使う。料理酒を加える場合だってある。調味料の「さしすせそ」が表すように、最低でも5種類の調味料は食卓に常備してある家庭がほとんどだろう。中華料理なんてもっと極端で、「○○醬」とつく調味料がびっくりするくらいある。
ボツワナで常備する調味料は塩と油、それだけ。

使う調味料が少ないので、味の幅もない。


まとめ


ボツワナ料理はシンプルで調理しやすいという良い面がある一方で、種類が少ない。そこに住む日本人の立場としては、バリエーションがなくて飽きちゃったりするものだが、不思議なことにボツワナ人は飽きないようだ。

大学の同期は、選択肢があるにもかかわらずランチは毎日同じものを食べていたし、むしろ「ランチは毎日これと決めた同じものを食べたい」を思っているようだった。


ボツワナ料理がシンプルな理由は、そもそもボツワナ人がシンプルを好むからなのかもしれない。


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