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【アニメ映画】メトロポリスをみて、シナリオもダイエットとメリハリが大切だと思った

この週末、世間の外出自粛ムードに月に一度襲ってくる超絶倦怠感が重なり、8割方をベッドの上で過ごした。

溜まっていた代休をくっつけて3連休。

ひたすらネットサーフィンをして、古い映画を見て、本を読んで、宝塚の録画を見て、その合間合間で寝たりご飯を食べたりを繰り返し、お金をほとんど使うことなく持てる時間の全てを消費活動につぎ込んだ。
アウトプットが多すぎると息切れするけど、インプットが多すぎると喉の浅いところが粘っこくなる気がするのは私だけ?
どうしてインプットとアウトプットのバランスって、いつもうまく取れないんだろう。

ともかく、そんなインプットお化けにならない限りまず出逢えなさそうな、古いアニメ映画に出逢った。

『METROPOLIZ』

出逢いはネットの海で波乗りすること数時間…

「東京オリンピック開催迄あと147日」につられてAKIRAが観てみたくなったけど、Amazonプライムに落ちていなくて、同じ大友克洋脚本の『METROPOLIZ』にたどり着いた。

ちょ、ま…

ヒロイン可愛すぎないか?
しかも何なの?メカなの?
この美貌を持ってして涙黒いし、皮一枚はいだら機械なの?
なのにちょっと感情芽生えてきちゃってんの?
やばい…ナニこの世界観好きすぎるんだけど、まじ諸行無常ーーー!(←え?)
美醜入り乱れた美少女が嘆いてるってだけでこの世の不条理の全てがここに集約されてるよ…ううぅ…

調べてみると、ドイツのフリッツ・ラング監督の同名実写映画から着想を得た手塚治虫の同名漫画から着想を得た大友克洋脚本によるアニメ映画らしい。

そして、このクリエイティブの潮流は下流に行くほど明確にヒロインが可愛くなっていく…!
んなもん、絶対いいに決まってんじゃん!(笑)


と、鼻息荒くAmazonプライムでポチッとした。(お金はかかってしまった…ネトフリはどうなのかな?)

結論、前情報が爆上げしたハードルを超えられなかったというのが正直な感想。

テキストベースで読む限り、この物語の設定はめちゃくちゃ面白い。

人間とロボットが共存する未来都市メトロポリス。一見ユートピアのように見えるこの街では、反ロボットの軍事集団が罪のないロボットを公然と破壊している。
さらに、街は地上+地下のzone1〜3の多層構造を持っており、ロボットに職を奪われて地下にスラムを築いた貧困層は対ロボット革命を企てている。
そんなディストピアに君臨する資本家レッド公はノートン博士に自分の亡き娘に似せた人造人間ティマを造らせる。しかし、レッド公の養子ロックは義父への偏愛故にレッド公の関心を独り占めする人造人間ティマに激しく嫉妬し破壊工作に走る。
また、ティマ製造の際に違法な生物実験を行ったノートン博士を追って日本からやってきた私立探偵の甥ケンイチはロックに追われるティマを助けて一緒に逃げるうちに心を通わせていく。
しかし、ティマはある宿命を背負って生み出されたロボットであった…(文:私)

ベタっちゃベタなんだけど、めっちゃ緻密に設定が決まっていて、ちゃんと現代社会の風刺になってるのが素晴らしいのよね。
AIに仕事をとられるんじゃないか問題とか、金銭的格差が物理的隔離を生む問題とか、ロボットは人かモノか問題とか、政治家の権力争いとか、革命とか、愛とか!

現代社会を生きる私たちが抱える様々な問題が全部入ってんの!
しかも20年前の映画に!
凄い!
想像力が凄すぎるし、世界観が凄すぎるし、もう逆立ちしたって敵わない!!!

なのに…

映像になったものを観ると、めちゃくちゃ拍子抜けした。
メリハリがない…絵巻?これは絵巻か?というレベル。
格差も、闘争も、革命も、愛も、終末も描かれているのに、この映画にはドラマがない。
何もかもが詰まった設定なのに、何も胸に迫るものがない。

あぁ…面白い物語って設定だけじゃダメなんだ…と改めて思った。
面白い設定に血の通った会話、瞳から迸る熱い思いがあって初めて本当に物語になるんだな、と。

そして、どこにウェイトを置くのか?

尊敬するクリエイティブディレクターの三浦崇宏さんの言葉で最近一番ぶっ刺さったやつ。
人も物語も、これは出来るけど敢えてやらない、ここまで描けるけど敢えて描かない、そうやって削ぎ落としていかないと何もかもやろうとすればつまらないものになってしまう。
本当に大事なものの濃度が薄まってしまうんだな、と。

体型も、企画も、物語も、人生も、
潔いダイエットとメリハリが大事だということ。

そんなことを考えた。

何度も言うけれど『METROPOLIZ』の世界観はめちゃくちゃ面白い。
でも、映像化されたものはのっぺりしていてなんだか陳腐なものになっている。

自分ならどう描くか、自分ならどこを肉付けし、どこを削ぎ落とすか、そんな視点を観る者に求めることが、この作品の意義なのかもしれない・・・
と、ふと思った。

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