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プロ野球選手の生涯年俸を比較してみた

日本人選手の生涯年俸で1番はダルビッシュ有の約193億円である。
しかしこれは契約が保障されている2023年までの年俸を含んだ額であり、現在3位(約185億円)の田中将大は今オフにFAとなるため、これを抜いて恐らく日本人初の生涯年俸200億円超えを果たすだろう。

日本人選手生涯年俸トップ10

2020年2月1日現在で保障されている年俸総額で、日本人選手のトップ10は以下の通り。

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1位 ダルビッシュ有(2005~23年) 約193億円 投手 高卒
2位 イチロー(1992~2019年) 約188億円 外野手 高卒
3位 田中将大(2007~20年) 約185億円 投手 高卒
4位 松井秀喜(1993~2012年) 約112億円 外野手 高卒
5位 黒田博樹(1997~2016年) 約102億円 投手 大卒
6位 上原浩治(1998~2019年) 約76億円 投手 1浪大卒
7位 松坂大輔(1998~2020年) 約75億円 投手 高卒
8位 福留孝介(1999~2020年) 約70億円 外野手 高卒社会人3年
9位 岩隈久志(2000~2020年) 約68億円 投手 高卒
10位 菊池雄星(2010~2022年) 約67億円 投手 高卒

いずれもMLBに移籍したトッププレイヤーである。
10人中7人が投手で、野手は外野手のみの3人。
また10人中7人が高卒でプロ入りし、野手はいずれも高卒である。

続いてこの10人の年俸総額推移を見てみよう。

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野手としてトップクラスの年俸を稼いだイチローと松井秀喜よりも、30歳までにはダルビッシュ有や田中将大だけでなく、松坂大輔や菊池雄星が追い抜いている。
野手よりも投手の方がMLB移籍時に大型契約を手にしやすい傾向があることが分かる。

高卒野手の10年目までの年俸総額比較

次は高卒入団の野手がプロ入り10年目(28歳)までに稼いだ年俸総額を比較してみる。

28歳は多くの選手がFA権を取得する頃であり、残した成績や所属するチームによって多少の差はあるものの、高卒選手のトッププレイヤーは年俸総額で10億円が大きな目標と言えるだろう。

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1位 イチロー 約26.7億円 外野手
2位 松井秀喜 約22.9億円 外野手
3位 山田哲人 約19.1億円 内野手
4位 城島健司 約13.1億円 捕手
5位 松井稼頭央 約12.8億円 内野手
6位 筒香嘉智 約12.6億円 外野手
7位 坂本勇人 約12.1億円 内野手
8位 西岡剛 約11.0億円 内野手
9位 中田翔 約10.6億円 内野手

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イチロー、松井秀喜、山田哲人の3人が4位以下に対して大きな差を付けており、トッププレイヤーの中でも別格と言ってよい。
山田哲人は今オフに国内FA権を取得する予定だが、来年以降どのようなキャリアを選択するのか注目である。

高卒投手の10年目までの年俸総額比較

続いて高卒入団の投手がプロ入り10年目(28歳)までに稼いだ年俸総額を比較してみる。

高卒野手の10億円超えが9人であったのに対して、投手は僅か8人に過ぎないという意外な結果である。

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1位  田中将大 約86.6億円
2位 ダルビッシュ有 約42.9億円
3位 松坂大輔 約28.3億円
4位 菊池雄星 約16.4億円
5位 前田健太 約15.2億円
6位 松井裕樹 約14.5億円
7位 涌井秀章 約13.8億円
8位 井川慶 約13.0億円

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実はこのグラフは野手とスケールを合わせているので、ぜひ両者を比較して欲しい。
いかに田中将大とダルビッシュ有が若くして稼いでいるか分かると思う。
前田健太、松井裕樹、涌井秀章の3人は似たような推移だが、菊池雄星はMLBに移籍した28歳でグンと上げている。

大卒・社会人野手の31歳までの年俸総額比較

高卒社会人は最短3年目でプロ入りすることができるが、そこから10年目(31歳)までの年俸総額を比較してみる。
大卒であれば9年目までの年俸総額になる計算だ。
順調であればFA権が取得できる時期である。

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1位 福留孝介 約20.2億円 外野手 高卒社会人3年
2位 柳田悠岐 約17.6億円 外野手 大卒
3位 高橋由伸 約16.6億円 外野手 大卒
4位 青木宣親 約14.0億円 外野手 大卒
5位 阿部慎之助 約11.1億円 捕手 大卒
6位 村田修一 約11.1億円 内野手 大卒
7位 菊池涼介 約11.1億円 内野手 大卒
8位 小笠原道大 約10.9億円 内野手 高卒社会人5年
9位 鳥谷敬 約10.8億円 内野手 大卒
10位 秋山翔吾 約10.0億円 外野手 大卒

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福留孝介、高橋由伸、青木宣親の3人がトップ集団であったが、29歳以降で柳田悠岐が一気に差を縮めている。
トップ4人はいずれも外野手で、内野手と捕手は差を付けられている格好だ。
その中で高卒社会人5年からプロ入りした小笠原道大が急激な勢いで追い付いているのは特筆に値する。

大卒・社会人投手の31歳までの年俸総額比較

同じく投手でも比較してみよう。

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1位 菅野智之 約23.1億円 大卒1浪
2位 森唯斗 約20.1億円 大卒
3位 田沢純一 約17.5億円 高卒社会人4年
4位 則本昂大 約15.4億円 大卒
5位 和田毅 約15.3億円 大卒
6位 杉内俊哉 約14.6億円 高卒社会人3年
7位 上原浩治 約14.6億円 1浪大卒
8位 野茂英雄 約14.4億円 高卒社会人3年
9位 内海哲也 約11.7億円 高卒社会人3年
10位 吉見一起 約11.3億円 高卒社会人3年

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野手に比べるとキャリアも様々である。
菅野智之は大卒1浪でプロ入りしているにも関わらず、この中では稼ぎ頭である。
リリーバーの森唯斗と田沢純一が2位と3位に位置しているのもユニークな点だ。

オールドルーキー野手の生涯年俸比較

大卒社会人2年目であればプロ入りは25歳になるが、彼らオールドルーキーの生涯年俸を比較してみよう。
まずは野手から。

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1位 和田一浩(1997~2015年) 約35.4億円 外野手 大卒社会人2年
2位 落合博満(1979~1998年) 約33.6億円 内野手 大学中退社会人5年
3位 古田敦也(1990~2007年) 約32.3億円 捕手 大卒社会人2年
4位 谷佳知(1997~2015年) 約26.1億円 外野手 大卒社会人2年
5位 宮本慎也(1995~2013年) 約25.1億円 内野手 大卒社会人2年
6位 長野久義(2010~2020年) 約16.7億円 外野手 大卒社会人3年
7位 大島洋平(2010~2022年) 約16.1億円 外野手 大卒社会人2年
8位 石毛宏典(1981~1996年) 約13.5億円 内野手 大卒社会人2年

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落合博満と石毛宏典は世代が大きく異なるため比較はできないが、古田敦也や長野久義、谷佳知は入団してすぐに稼いでいるのに対して、和田一浩や宮本慎也、大島洋平は34~35歳でようやく10億円超えした大器晩成型と言える。

オールドルーキー投手の生涯年俸比較

続いてオールドルーキーの投手も見てみよう。

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1位 岩瀬仁紀(1999~2018年) 約48.8億円 大卒社会人2年
2位 摂津正(2009~2018年) 約26.4億円 高卒社会人8年
3位 増井浩俊(2010~2021年) 約20.1億円 大卒社会人3年
4位 小林雅英(1999~2011年) 約19.8億円 大卒社会人2年
5位 清水直行(2000~2012年) 約17.3億円 大卒社会人2年
6位 高橋尚成(2000~2015年) 約16.9億円 大卒社会人2年
7位 牧田和久(2011~2021年) 約12.6億円 大卒社会人4年

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ひとり岩瀬仁紀の長いキャリアが異常だが、その他は10数年の短いキャリアで終えることが多いようだ。
またリリーバーが多く、先発一筋で働いたのは清水直行くらいである。

高卒野手の4年目までの年俸総額比較

高卒4年目といえば大学に進学した同年代がまだ一銭も稼いでいない時期であるが、ここまででどれだけ稼いでいるのか見てみよう。

松井秀喜

1位 松井秀喜 1億6820万円 外野手
2位 坂本勇人 1億4600万円 内野手
3位 森友哉 1億1700万円 捕手
4位 清原和博 1億1100万円 内野手
5位 イチロー 1億300万円 外野手
6位 西岡剛 8200万円 内野手
7位 城島健司 7800万円 捕手
参考 村上宗隆 6020万円 内野手(3年目まで)
参考 清宮幸太郎 5300万円 内野手(3年目まで)

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まだ3年目の村上宗隆と清宮幸太郎も比較のために入れてみた。
野手では1億円を超えたのが僅かに5人で、村上宗隆がこれに並ぶか注目である。

高卒投手の4年目までの年俸総額比較

続いて投手も見てみよう。

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1位 田中将大 3億5000万円
2位 大谷翔平 3億4500万円
3位 松坂大輔 3億2300万円
4位 ダルビッシュ有 3億1700万円
5位 藤浪晋太郎 3億1500万円
6位 松井裕樹 1億9500万円
7位 山本由伸 1億4300万円
8位 涌井秀章 1億3750万円
9位 平井正史 1億2200万円

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トップ5とそれ以下の格差が物凄い。
6位の松井裕樹でも野手1位の松井秀喜を上回っており、若いうちは投手が圧倒的に稼げるということが分かる。

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