Massive Attack の『Mezzanine』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は Massive Attack の『Mezzanine』を聴いてみた編をお届けする予定です。

気だるい浮遊感と緊張感あるダウンテンポが、果てしなく重く美しく、濃厚な暗闇を作り出す。

クワガタの皮を被り、忍び寄る狂気。

是非読んでみて、聴いてみて下さい!

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1.Angel

地を這うような重低音。危険な香りがプンプンしている。ベースのリフとハイハットが淡々とリズムを刻む。2:20〜「love you love you〜」と繰り返すボーカルに冷ややかな狂気が見え隠れする。2:40〜鳴り響くディストーションギターの音格好良い。最初はシンプルだったドラムも激しくなっていく。終始嫌な予感がしている。気を抜けない。終わり方好き…
The Incredible Bongo Bandの「Last Bongo in Belgium」がサンプリングされている。

2.Risingson

この世を彷徨う幽霊みたいな音で始まる。「聴いてしまったら最期・・・」みたいなダークなボーカル。1:15〜崇拝合掌フィーバータイム。穏やかに説き伏せられている感じ。暗闇のもっと暗い場所に誘われる。2:36〜奇妙な電子音。神々しく、黒々しくて壮大。度々訪れる浮遊感の鬼みたいな音気持ち良い。「Dream on〜」の歌詞がぴったり。
The Velvet Undergroundの「I Found a Reason」がサンプリングされている。

3.Teardrop

パチパチ聴こえる。綺麗なオルガン?ピアノの音。ボーカルは Cocteau Twins のエリザベス・フレイザー。暗闇の中に一筋の光が差し込む。やっぱりこの方の歌声は幸福感が凄い…天使。4:00〜高音で盛り上がるところ美しい。光と闇が譲り合って共存している。
Les McCannの「Sometimes」がサンプリングされている。

(凄い世界観のMV…)

4.Inertia Creeps

濁っているが煌びやかな音で始まる。…と思ったらインド映画が始まる。流石、インドの伝統楽器シタール(のような音)。デンジャラスな囁きをするボーカル。リズムを刻んでいる音の圧倒的存在感。2:14〜ギターのアルペジオとインドが交互に来て混乱。聴いたことないような音が沢山入り込んできて、展開もコロコロ変わって、飽きない構成。残響音たっぷりの終わり方。
Ultravoxの「Rockwrok」がサンプリングされている。

5.Exchange

ゆったりとした時間が流れる晴れの日のバカンスみたいなイントロ。0:55〜脳味噌をごっそりかき混ぜられる感覚。大きな変化はなく淡々と進んでいく。無重力体験。これからやってくるダークに備えるための束の間の休息。
Quincy Jonesの「Summer in The City」とlsaac Hayesの「Our Day Will Come」がサンプリングされている。

6.Dissolved Girl

気持ち良いリズムとギターのアルペジオでフェードイン。椎名林檎さんを連想させる歌声。徐々に怪しげな雰囲気へ。電子音が回転している中ギターが暴れる。3:24〜インダストリアルチックな硬い音。溢れ出す感情をなんとか抑えようとしているようなボーカルがセクシー。

7.Man Next Door

残響するドラムの音がリズムを強調する。重暗いベース。独特なビブラートと抑揚が面白いボーカルがダークな空気感を緩める。3:35〜音の前後左右感覚の変化が不思議で楽しい。バグ感のある終わり方。
Led Zeppelinの「When The Levee Breaks」とThe Cureの「10:15 Saturday Night」がサンプリングされている。

8.Black Milk

ピアノの音が不穏な空気の塊に飲み込まれて一体化する。幸福の象徴、エリザベス・フレイザーの歌声さえ不気味に聴こえる。それでいて美しい。1:19〜間奏からずっと聴こえる蠢くような危ない音怖い。ヒップホップのようなリズム。反響するボーカルに頭がウワンウワンする。5:07〜スクラッチ音が目立ち始める。後味の悪い映画を観た後の気持ちになる終わり方。
Manfled Manns Earth Bandの「Tribute」がサンプリングされている。

9.Mezzanine

宇宙との交信。相変わらず危険に囁くボーカルと、低く語りかけてくるボーカルが交互に登場。一瞬聴こえるギターの音。3:14〜リズムの刻み方が変わる。ノコギリの刃を連想させるような、重くて鈍い…だけど刺々しい音。4:05〜ヤバイ夢を見ている時の音。怪しげな電子音で終わる。
Bernard Purdieの「Heavy Soul Slinger」がサンプリングされている。

10.Group Four

嫌な予感しかしないイントロ。0:43〜不気味な電子音が何故だか可愛らしい。妖艶なエリザベス・フレイザーのボーカルと悪魔のような囁きのコンビネーション。退廃的で無気力感。これ以上踏み込んではいけないと思いながら、その危なさに魅力を感じる。破壊的にカオスな展開。ギターの残響音で終了。もうどうにでもなれ…物凄い曲…パワー…魂抜かれる…一番好きかも…

11.(Exchange)

5曲目の平和なバカンスが少し濁って再来。さっきと違ってボーカルが入っている。音に深みが増している気がする。気がするだけかもしれない。3:33〜プチプチ音タイムに突入。不気味さを残して終わる。

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Massive Attack は、1988年に結成されたイギリス・ブリストル出身の音楽ユニット。元々はヒップホップやダブ、レゲエ、R&Bなどを敬愛していたMassive Attackだが、メンバーのロバート・デル・ナジャの変化やロック的な色が強くなってしまったMassive Attackを認められず、アンドリュー・ヴォウルズは本アルバムの制作時に脱退。ジャンルとしてはトリップ・ホップ、エレクトロニカ、エクスペリメンタル・ロック、アブストラクトヒップホップなど。


● トリップ・ポップ:トリップ・ホップ (Trip Hop) は、ヒップホップから影響を受け発展した音楽で、イギリスのブリストルが発祥地と言われる音楽であることから、ブリストル・サウンド(Bristol sound)とも呼ばれる。「アブストラクト・ヒップホップ」という言い換えをされることもある。質感はアメリカのヒップホップよりも汚れており、荒々しくローファイな楽曲も含むのが特徴。


このアルバムの作成中メンバーの仲が最悪で、険悪なムードの中制作されたみたいなのですが、それも納得の凄まじい緊張感でした。

ゲストボーカルという形で、以前レビューしたCocteau Twins のエリザベス・フレイザーさんの登場にも驚いた…!

なんてストイックなアルバムなんだ!今回も興味深いアルバムでした。


次回は The Jesus and Mary Chain の『Psychocandy』をお届けする予定です。お楽しみに!

最後まで読んで下さり有難う御座いました。

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