なぜ「口に入るものは間違ってはいけない」のか  創業"前夜"からの道のり「秋川牧園のこと」出版

▲秋川正社長が手にする「秋川牧園のこと」

 山口県山口市仁保に本社を置き、安心・安全な食の提供を続けている秋川牧園(秋川正社長)が、書籍「秋川牧園のこと」(B5判95ページ、プレジデント社)を2022年8月に出版した。同社50周年記念事業の一つ。    

 同社の企業理念「口に入るものは間違ってはいけない」は、全国の同社ファンの間では、SNSのハッシュタグになるほどで、同社の代名詞ともいうべき言葉。1972年に創業し、今年50周年を迎えた節目にこの言葉の誕生秘話や、なぜ同社がここまで安心・安全な食べ物づくりを行うかに迫り、その道のりや、経営における”不易流行”を一冊の本にまとめた。    

 同書は、中国・大連に秋川房太郎さんが創設した秋川牧園の源流となる農園の"物語"、卵の生産から現在に至るまでの様子を表した解説付き年表、生産・加工品に関するこだわりの歴史と現在の取り組み、従業員の声、秋川牧園を語るに欠かせない「ポストハーベスト農薬」などのキーワードを解説した「秋川牧苑」という「広辞苑」をなぞらえた用語解説、自社製品の一部を紹介する商品ガイドなどで構成されている。創業当時や生産現場など、一般の人は見ることのできない写真も数多く収めた。    

 一冊1000円(税込)で、同社公式ウェブショップ(https://member.akikawabokuen.com/webshop/)、同社本社敷地内直売店(山口市仁保下郷)、文栄堂(山口本店・ゆめタウン山口店)で購入できる。    

 「秋川牧園といえば、卵や鶏肉が有名だが、実はたくさんの食品を提供しており、その一つ一つにこだわりを持ち、決して手を抜くことなく生産・加工。そんな食品全般についてもっと知ってもらいたかった。さらに、SNSでハッシュタグにもなっている『口に入るものは間違ってはいけない』という言葉についても、きちんと伝えようと考えた」と、同書制作に携わった担当者は話している。    

 1927年、秋川房太郎さんが「理想の農園」に挑むため、中国・大連に「秋川農園」を創設したのが同社のルーツ。しかし、第二次世界大戦のあおりを受け閉園し、房太郎さんは命からがら帰国した。その後、長男の実さん(現会長)は学業に励みつつ、父とともに農業に取り組んだ。仁保養鶏農業組合を経て1972年、山口市仁保に「秋川牧園種鶏場」を創業。1979年には株式会社として法人化した。2005年に実さんの長男、秋川正さんが社長に就任。現在では約300品目のオリジナル商品を生産・加工し、流通まですべて自社で一貫して担っている。資本金7億1415万円で、従業員数(連結)は約300人。東証スタンダード市場に上場している。

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