柔道女子48キロ級で五輪5大会連続のメダルを獲得した谷（旧姓田村）亮子さん（47）は、現在は2人の愛息中心の生活を楽しんでいる。

　今春に高校3年となる長男と中学2年になる次男が熱中しているのは野球。「私が両親に支えられて柔道ができたように、子どもたちは好きなことに打ち込んでほしい」。元プロ野球選手の夫、谷佳知さんと奔走中だ。

　毎朝4時に起き、子どもの弁当を作り、週末も夫婦別々に、それぞれの試合会場へ送って応援。「自分の柔道の試合以上にドキドキする」。東京学館浦安高の長男は夏の甲子園出場を目指して練習と試合を重ね、次男は今月下旬に出場する全国大会への準備を進める。

　2人が野球を始めたのは2年ほど前。それまではアイスホッケーに取り組み、ともに全国大会で優勝した。友達と行ったスケートリンクで見て、憧れを胸にスティックを握った。スポーツ一家らしく「最高峰のプレーを見ようと」と北米プロアイスホッケーNHLの試合を現地で観戦。練習も見学し、得点王に輝いたオベチキンと会って感激したという。

　長男の高校進学を機に米国留学も考えたが、新型コロナ禍で断念。「子どもたちの意思もあり、やってみたかったという野球に決めた」。左投げ左打ちの長男は外野手と投手をして3番打者、右投げ左打ちの次男は内野手と投手をしている。ともに運動神経は抜群だ。

　「野球を始めて主人はうれしそう。押しつけるのではなく、聞いてきたら教えるという感じ。私も親にしてもらったように接しているけど、子どもの成長と親への感謝が同時に生まれる」。母のYAWARAスマイルを輝かせた。（手島基）

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