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骨の健康、今・昔
井上 哲郎
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〔略歴〕東京慈恵会医科大学卒業。昭和44年同整形外科講師。昭和48年同助教授を経て昭和51年浜松医科大学整形外科教授。平成10年浜松医科大学名誉教授、医療法人宝美会総合青山病院院長。
 
 骨の健康とは、骨の老化予防としても捉えることが出来るのではないでしょうか。また、骨の老化といえば「骨粗鬆症」という病気を思い起こされるでしょう。このように骨粗鬆症が非常に話題になってきているのも事実です。その理由は、高齢化社会への進展すなわち、骨粗鬆症に罹患する年齢の方が増えてきたこと、骨に関する研究が進んできたこと、病因・診断・予防および治療が確立されてきたことに加え、生活習慣病と認識されたことにあると思います。そこで今回は、骨粗鬆症についての知識を整理してみて、骨の健康維持に役立てて頂ければと願っています。本抄録では現在の考え方を示し、当日は昔との比較も加えてみたいと思います。
1、骨粗鬆症とは
 骨の量(骨の密度)の減少に加えて、骨の微細な構造も壊れて骨折の危険性が高まった全身性の病気です。
2、骨はどうして減るの?
 骨は古くなった部分は壊され(骨吸収)その跡に新しい骨が造られる(骨形成)という新陳代謝が盛んに行われています。この骨吸収と骨形成のバランスが何らかの原因で崩れ、骨吸収が骨形成を上回りますと骨は減ってくることになります。
3、その病因とは?
 老化を基盤として、その上に遺伝的要素も含めた危険因子(病気に関わってくる因子)が加わって発症します。
4、どんな症状があるの?
 無症状で経過する人もいますが、主な症状としては、[1]背中が円くなる、[2]背中や腰が重い・痛い、[3]背丈が縮む、[4]些細なことで骨折を起こす、などを挙げることが出来ます。
5、骨折を起こしやすい部位は?
 背骨(脊椎)、足の付け根(大腿骨近位部)、腕の付け根(上腕骨近位部)、手首(前腕骨遠位部)などです。中でも大腿骨近位部は寝たきりの原因となったり、命を左右する重要な合併症の誘因ともなることがありますので、骨折を起こさないような対策、特に転倒しないよう心掛ける必要があります。
6、転倒しやすい人は?
 
などについて述べてみたいと思います。








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