通常のものより勇ましい表情が特徴で、武田信玄公をモチーフにした「甲州だるま」。甲府市の工房でこの「甲州だるま」づくりが最盛期を迎えています。

凛々しい眉に勇猛さを感じる髭。

戦国武将の武田信玄をモチーフに誕生したとされる「甲州だるま」です。

甲州だるまは400年以上の歴史を持つ伝統工芸品です。

甲府市国玉町の工房で、このだるまづくりが最盛期を迎えています。

甲州だるま職人 大沼富士夫さん:
より幸せが訪れますようにと、しっかり見守ってあげてくださいと願いながら、一生懸命一筆一筆動かしています。

真剣な眼差しで筆を走らせているのは、今では山梨県内唯一という甲州だるま職人=大沼富士夫さん71歳です。

大沼さんの本業はブドウ農家です。

しかし10年前に甲州だるまの職人だった知人が亡くなり、伝統を途絶えさせたくないという思いから、だるま作りを本格的に始めました。

大沼さん:
(先人たちが)しっかり作り上げてきたものなので、それを形を崩さずになるべき同じものを作れるようにというところに努力した。

9月に始まった作業は今が大詰めで、亀を表現する髭と鶴を表す眉へ筆をいれます。

失敗は許されないため、工房に張り詰めた空気が漂います。

大沼さん:
甲州だるまの悠々しいひげですね。この面立ちをしっかり再現できるように心がけています。

墨で顔を描き、金色の装飾を施して一つ一つを丁寧に仕上げていく大沼さん。

2023年は製作にあたるうえで大きな変化がありました。

大沼さん:
(来年は)お祭りが開催されるので、直接お客さんと顔を合わせて作っただるまをお渡しできる。

2024年2月、山梨県南アルプス市の祭り=十日市での販売が4年ぶりに再開されることもあり、だるまの受注が2022年の2倍に増えたということです。

大沼さん:
伝統あるものですから、それを愛してくれるお客さん、その人がまた1年幸せに過ごせるのかなと思いを馳せることに喜びを感じる。多くの方に甲州だるまをお使いいただきたい。

大沼さんは2024年1月までに約800体のだるまを制作します。