那覇市のおでん専門店「おふくろ」は、50年近く愛されてきた沖縄おでんの老舗ですが、高齢となった夫婦の後継者がおらず、閉店の危機にありました。その経営を引き継ぐことになったのは、意外にも、今勢いのあるステーキ業界の雄でした。

味だけでなく居心地の良さも受け継ごうと奮闘する、事業承継の現場を取材しました。

後継者おらず、一度は閉店した有名おでん専門店

Qリニューアルオープン前の気持ちは?」
女将 山川正子さん(82)
「ドキドキわくわく両方」
大将 山川秋久さん(78)
「知り合いのお客さんが来るかもしれないというイメージがあって、ウキウキしています。何か月ぶりに会うお客さんが来ると思うので」

那覇市久茂地にあるおでんの専門店「おふくろ」。大将の山川秋久さんと女将の正子さん夫婦が浦添市や宜野湾市などを何度か移転しながら、50年近く営業を続けてきました。

女将 山川正子さん(82)
「『美味しいまた来るからね頑張ってね』という言葉に励まされて、ここまでこられたと思います」

経営は順調でしたが、山川さん夫婦は、体力面の不安などを理由に、去年11月で一度、お店を閉めました。

女将 山川正子さん(82)
「辞めると言ったら涙を流してくれたお客さんも何人かいらして、『僕らはどこへ行けばいいんだ』って、またお花をいっぱいもらったり、思い出せばきりがないけど、皆さんに本当に大事にしてもらって、感謝しています」

後継者を見つけられずに閉店する店舗は後を絶ちません。帝国データバンクによると、去年の沖縄県の「後継者不在率」は全国で5番目に高い66.4%です。