台風6号が猛威をふるう沖縄。県内では電気、水道などのインフラのほか、通信障害も発生するなど、生活に大きな影響を与えています。安否確認から情報収集まで災害時には重要なツールとなる携帯やスマートフォンが繋がりにくくなる現状を受け、大規模な災害時にのみ開放される通信サービス「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」の運用が沖縄県内で始まっています。

通信サービス「00000JAPAN」とは

7月31日から沖縄地方に接近した台風6号。一度は本島地方から離れたものの、進路をかえ、4日夜にも再び本島地方を暴風域に巻き込む見通しとなっています。

この台風の影響で、沖縄県内では各地で大規模停電が長時間続いているほか、断水も発生するなど、生活インフラに重大な被害が発生しています。また、携帯やスマートフォンなど、いわゆる通信インフラも、停電や伝送路の故障などによって通信障害が発生しています。

こうした状況を受け、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの各社が設置する、誰でも無料で利用できる無料Wi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」の運用が始まっています。

この「00000JAPAN」とはどういった回線なのか、スマートフォンアドバイザーのモバイルプリンスさんは「万が一の時の奥の手」だと話します。

スマートフォンアドバイザー モバイルプリンスさん
「家の中では電波が来ないかもしれないが、買い出しに出かけたりした際に使えるもので、電波状況に不安を覚えた時の奥の手と思ってほしい。まだ電波に問題がない人でも4日の夕方から台風の影響が大きくなるので、なにかあった時にはこれがある、活用できることを頭の片隅にいれておいたほうがいい」

この「00000JAPAN」は、東日本大震災で大規模な通信障害が発生したことなどをきっかけに、政府が携帯会社と調整を進め、2014年5月にガイドラインを制定したもので、2016年4月の熊本地震から本格運用されました。今では地震や豪雨災害において欠かすことのできない通信サービスとなっています。

スマートフォンアドバイザー モバイルプリンスさん
「このサービスが発動したということは今回の台風は大きな災害だと認定されたということだと思う」

使い方は、各携帯会社のWi-Fiが入る場所でスマホやタブレットのWi-Fiをオンにし、Wi-Fiネットワークの選択画面から「00000JAPAN」を選択するだけで利用することができます。

設定やパスワードなどは不要となっていますが、通信の暗号化などセキュリティ対策はされておらず、個人情報など重要な情報の入力や、支払いが発生するサービスの利用などは極力避ける必要があります。

平時と災害時で変えよう スマートフォンの使い方

災害時における携帯電話やスマートフォンの大きな役割とされるのが、安否確認や情報収集ですが、今回の台風のように長時間の停電が発生した際に必要なのは、いかに充電を長持ちさせるかです。

現代はネット検索やSNS、動画閲覧などスマートフォンを長時間使うことが増えていますが、災害時には充電を長持ちさせるための対策が求められます。

そのために普段使っているアプリの利用を工夫したり、平時と災害時で分けてスマートフォンを使う必要があるといいます。

スマートフォンアドバイザー モバイルプリンスさん
「停電した時はスマホは最低限の連絡用にとっておくことが重要です。LINEのプロフィールのコメントにメッセージを残して、安否確認やSOSを出すなどして活用してほしい」

「また通信が遅くなったり圏外になった場合は、スマホは電波を探そうとバッテリーをとても消費する。そういった時はいさぎよく機内モードに切り替えるなどして電波を探さないような設定にしたり、画面が明るくなる時にバッテリーが消費されるので、画面を消した状態でradikoでラジオを聞くとか、音楽を聴く場合はなるべく画面をつけないようにする」

災害時は不安をあおるデマ情報に注意も

このほか、災害時にはデマ情報に注意が必要だといいます。熊本地震の際にはTwitterで「動物園のライオンが逃げた」というデマが拡散され、動物園に問い合わせが殺到するなど混乱が生じました。

災害時に正常な判断をしづらい状態で、デマは不安をあおり、混乱を引き起こします。不正確な情報に影響されてむやみに情報を集めたくなる気持ちを抑えて、信頼できるソースから情報を得ることが重要です。

スマートフォンアドバイザー モバイルプリンスさん
「これからスマホとかデジタルに社会全体が頼らざる得なくなっている。そうなった時に停電した時の脆弱性は今後より広がると思う。停電したときにどう(災害の影響を)回避するかとういうのは必要な知識になる」

台風6号の影響が長引く中、災害時のスマートフォンの使い方などの知識を前もって身につけ、万が一の際には災害用の通信サービスを活用するなどして困難な状況を乗り越えることが必要です。

【各携帯会社の通信障況 4日・午後1時現在】

ドコモ回線は2023年8月2日未明から継続中(対象地域)
沖縄県 沖縄市、うるま市、名護市、南城市、糸満市、国頭村、恩納村、金武町、伊江村、本部町、宜野座村、読谷村、中城村、北谷町、八重瀬町、久米島町、渡名喜村、座間味村、渡嘉敷村

au回線は2023年8月2日午前2時ごろから継続中
(対象地域)
沖縄県 那覇市、名護市、沖縄市、南城市、国頭村、今帰仁村、本部町、恩納村、宜野座村、伊江村、渡嘉敷村、座間味村、伊平屋村、伊是名村、久米島町

ソフトバンク回線は2023年8月1日午後8時頃から継続中
(対象地域)
沖縄県 名護市、糸満市、うるま市、南城市、国頭村、大宜味村、東村、今帰仁村、本部町、恩納村、伊江村、読谷村、渡嘉敷村、座間味村、伊平屋村、久米島町

楽天モバイル回線は2023年8月2日(水)午前2時頃から継続中
(対象地域)
沖縄県 糸満市、宮古島市、南城市、今帰仁村、本部町、恩納村、伊江村、西原町、八重瀬町