免疫が果物を花粉と勘違いし…

小笠原キャスター:
では、先生とともに、花粉と果物の関係を見ていきましょう。寺嶋先生によると、「特に花粉症歴の長い人が、リンゴバナナなど果物を食べた際に、まれにアレルギー反応を起こすことがあります」ということなんです。どういうことかというと、花粉に類似したタンパク質成分が存在する特定の果物や野菜などを食べた際、これを免疫細胞が花粉と勘違いし、“花粉食物アレルギー症候群”を稀に引き起こすことがあるということなんですね。

▼通常の場合
花粉に対して免疫が反応し、アレルギー症状を起こす
▼果物などによる場合
免疫が果物を花粉と勘違いし、アレルギー症状を起こす⇒“交差反応”

小笠原キャスター:では、どのような食べ物の場合なのか見ていこうと思います。

【花粉と交差反応 果物や野菜など】
▼スギ、ヒノキ
トマト、リンゴ、モモ、ナシなど
▼ブタクサ、ヨモギ、イネ科(カモガヤなど)
バナナ、メロン、キュウリ、トマト、アボカドなど
▼カバノキ科(ハンノキ、シラカンバ)
リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、大豆、ピーナッツ、ニンジン、セロリなど

日比キャスター:
ちょっと知っておかないとなかなか対策もできませんけれども、寺嶋先生、この“交差反応”というのは花粉症であるということが前提なんですか?それとも花粉症じゃない方も反応が出ることがあるということなんですか?

寺嶋先生:
いわゆる“花粉食物アレルギー症候群”と言われていますから、一般的には花粉症があって、こういう食べ物、特に果物や野菜を食べるときということですね。ただ、全員が発症するというわけではなくて本当に一部の人ですし、症状が出ても口の中のイガイガなどで済むことが多いので、いたずらに恐れる必要はないと思います。

日比キャスター:
逆に、元々、果実の方のアレルギーがあった方が花粉症になるということもあるんでしょうか?

寺嶋先生:
報告によってはそれもあるようです。多くは花粉症だとわかっていて、何年か経ってから食べ物にもアレルギー症状が出るようですが、中にはこの食べ物の症状が先というケースもあるようです。

井上キャスター:
交差反応が出やすいタイプの人と出にくいタイプの人の差があれば教えていただきたいです。それから、果物などのスパイスで反応が出る方もいらっしゃると聞くんですが、そのあたりもいかがですか?

寺嶋先生:
まず、花粉症歴が長い人や、IGと呼ばれている体内のアレルギー物質の多い人の方が出やすいようです。それから、スパイスに関しては、その花粉と共通する成分があれば、ありうるのかなと思います。

日比キャスター:
自分がどうなのか確認するには、やはり病院に行って検査をするという手段なんでしょうか?

寺嶋先生:
そうですね。もし特にあらかじめ花粉症だとわかっている人で、何か食べ物で症状が出たことがあるケースだと、それがどの食べ物かというのをよく確認することと、それを避けつつ、やはり病院に行って相談した方がいいのかなと思います。

井上キャスター:
何か気をつけるべきことなどあれば視聴者の皆さんにお願いします。

寺嶋先生:
いたずらに恐れる必要がないというのは繰り返し言いたいんですが、一方で花粉症の人は花粉症だけではなく、時々食べ物にもこういう症状が出ることがあるというのは、知識として置いておいてもいいのかなと思います。

井上キャスター:
確かに全く情報がないのと、こういうことがありうるんだということを知っておくのでは変わってくると思いますね。