■「脂汗が出る程の痛みで眠れない」体験者は語る

実際に、アニサキス症にかかってしまった方を取材しました。

【夫・子供と3人で暮らす30代女性の場合】
2021年11月、鮮魚店で新鮮な刺身にできるホッケを購入して3枚におろしてもらい、夕食に夫と一緒に食べました。その後、夫に異変はなかったのですが、女性は就寝前に吐き気と腹痛に襲われました。

アニサキス症を体験した女性:
夜中、どんどんひどくなって胃壁がチクチクするような痛みに変わっていって、冷や汗とか脂汗が出るような痛みが続いて寝られないような状況になった。アニサキスが胃の粘膜に入っていってるんだろうなと思うような痛み・・・。

翌朝、アニサキスではないかということで病院に行ったところ、胃カメラで除去することができたということです。

女性:
5ミリもない位の、細くて繊維みたいな、思っていたより小さい3匹のアニサキスがいました。(取る瞬間は)ちょっと痛いですね。多分噛み付いてるんで、それを取るのでその瞬間も結構チクッとしました。

恵俊彰:
1匹とは限らないんだ。

嶋倉准教授:
単純に3倍とまでは行かないと思いますが、かなり痛みはあると思います。

■激痛の原因は“ナイフのような突起物”

腹痛について、「噛まれるような痛み」と表現されますが、アニサキスの拡大写真を見てみると、ナイフのような突起物があるんです。胃を嚙まれるような痛さの正体は、アニサキスが“噛む”わけではなく、この突起物が胃壁に刺さってしまうということなんです。

■“魚のプロ”鮮魚店に聞く!アニサキス対策

調味料では、基本的には殺虫することはできません。酢でしめても、塩や醤油を使っても、わさびや生姜と一緒に食べても駄目だということです。

そこで、鮮魚店ではどう対処しているのか、伺いました。

二子新地鮮魚店 魚市 薦岡慶祐営業統括部長:
これがアニサキスですね。腹のところに多いです。

朝、市場から仕入れたサバの、身の表面にいるアニサキスを、包丁を使って丁寧に取り除いていきます。

薦岡氏:
アニサキスのいるところは、身の色が少し変わっていたりするので、そういうところからチェックしていって、アニサキスを取っていきます。慣れてない人とかだと、やはり見落としてしまうことが多いのかなと思います。それくらい見にくいと思うので。

この日さばいたサバには、アニサキスが11匹見つかったものも・・・。目視で取り除いた後は、マイナス50度から60度で48時間冷凍(しめサバにする場合)するか、状態によっては加熱するという対策をとっているということです。

ーー目視で取り除いた後、さらに冷凍をすることについて?
薦岡氏:
やはりお客さんにご迷惑がかからないことが一番にあります。