■マイナス30度でも機能 低体温防ぐ「救命いかだ」とは

体が水に浸からない救命装備として事故後、メーカーに問い合わせが増えているのが、「救命いかだ」です。救命機器メーカーのアール・エフ・ディー・ジャパンで見せてもらいました。


折りたたまれた状態のいかだを、専用のガスボンベで膨らませて使用します。この小型船舶用救命いかだの8人乗りのタイプは約40秒で膨らませることができるといいます。


山本恵里伽キャスター
「すごくしっかりしていますね。床もガスが入っているので、ふかふかしています」


床面に空気が入っていることで、水に体温が奪われることを防ぐしくみ。8人で使用した場合、カバーを完全にしめれば、中の温度は20度前後で保たれるといいます。


山本キャスター
「完全にカバーを閉めると、かなり密閉されている感じがあります」

山本キャスター
「具体的に波の高さや水温は、ここまでは耐えられるという上限はありますか?」
アール・エフ・ディー・ジャパン 担当者
「マイナス30度でも問題なく機能します。波の高さが3メートルで、風速が約30メートル、その中でも使用できるようになっています」

■普及進まない救命いかだ ネックとなるのは・・・

今回のような遭難事故でも、救命いかだがあれば、低体温を避けることができるのでは、と話す一方で救命いかだを搭載する小型船舶は少ないのが現状だといいます。

アール・エフ・ディー・ジャパン 担当者
「やはり船主に負担がかかるっていうところだと思う。救命浮器に比べて救命いかだは高価だし、毎年整備が必要になってくる」

救命いかだは、小型船舶用のタイプで約50万円。約10万円の浮器に比べて5倍~10倍の値段になる上、メンテナンス費用もかかるため、普及が進まないのだといいます。

ただ、国交省によれば、観光シーズンなどに合わせて、不定期で運航する観光船などの業者は全国で約560業者あり、地域ごとのルール作りを求める声もあがっています。