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森林害虫、不快害虫「マイマイガ」退治の秘策=今ならまだ間に合う#害虫駆除

天野和利時事通信社・昆虫記者
マイマイガ幼虫。大発生を防ぐには今がチャンス。

 マイマイガは、1つの卵塊(らんかい)から何百もの幼虫が出現し、周辺の草木の葉を手あたり次第に爆食する害虫。成虫が大量に灯火に集まったり、薄茶色の卵塊が白壁を汚したりするので、不快害虫とされることもある。さらに、1齢の小さい幼虫には、若干の毒があると言われる。

 卵が孵化するのは4月頃。大量発生した小さな幼虫は、自ら吐いた糸を使い、風に乗って分散する(その様子からブランコ毛虫と呼ばれることも)。このため、幾つもの卵塊の存在に気付きながら放っておくと、周囲の草木が大被害を受けることになる。

 逆に言えば、マイマイガの被害を未然に防ぐには、秋冬のうちに卵塊(壁などに張り付いているのは非常に目立つ)を撤去すればいい。つまり、対策を取るなら、4月になる前の今のうちということだ。

産卵中のマイマイガのメス。卵塊はフワフワの毛に覆われている。
産卵中のマイマイガのメス。卵塊はフワフワの毛に覆われている。

 ◆卵塊の撤去にはペットボトルが便利?

 しかし、この卵塊の撤去には注意が必要だ。卵塊は細かい鱗毛(毛のように細い鱗粉)で覆われているので、不用意に触ると飛散した鱗毛が、目、口、鼻の中に入ってしまう。こうした飛散を最小限にするため、ペットボトルを半分に切ったものを使って卵塊を削ぎ落し、ボトル内に回収するのが良いとか言われている(実際にやったことがないので効果のほどは不明。各自練習してほしい)。用心のため、手袋、マスクなどを着用するのがお勧めだ。

マイマイガの大きな幼虫は背中に赤と青の美しい点模様を持つ。
マイマイガの大きな幼虫は背中に赤と青の美しい点模様を持つ。

大量発生したマイマイガの幼虫。
大量発生したマイマイガの幼虫。

 ◆舞い舞い、スポンジ、ジプシーとか可愛い名前

 マイマイガの名は、オスがヒラヒラと「舞いを舞う」ように飛ぶ様子が由来という。英語では同じ理由からジプシー・モスと呼ばれていた。その後、ジプシーの語に差別感があるとの意見から、スポンジー(スポンジのような)モスと呼ばれることが多くなったという。

 「スポンジー」の由来は、卵塊のフワフワした感じがスポンジのようだからとか。しかし、卵塊も、幼虫も、成虫も、可愛いとは言い難い姿なので、ブランコとか、舞い舞いとか、スポンジとかの愛称に違和感を持つ人が多いかもしれない。

 ちなみに、大きくなった幼虫は、背中の赤と青の点模様が美しいのだが、前から見た頭部は頭蓋骨のようで不気味だ。「絶対毒があるぞ」という姿だが、意外にも、大きな幼虫には毒はないという。勇気のある人は、触って確かめてみるのがいいが、臆病者の昆虫記者は、こんな不気味な毛虫には絶対触らない。

孵化直後のマイマイガの幼虫。ブランコ毛虫と呼ばれるこの段階の幼虫には毒があるという。薄茶色のものが鱗毛に覆われた卵塊。
孵化直後のマイマイガの幼虫。ブランコ毛虫と呼ばれるこの段階の幼虫には毒があるという。薄茶色のものが鱗毛に覆われた卵塊。

頭蓋骨のようでちょっと怖いマイマイガ幼虫の頭部。
頭蓋骨のようでちょっと怖いマイマイガ幼虫の頭部。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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