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仲良し夫婦、27年を経て破局。ヒュー・ジャックマンが愛する妻について語っていたこと

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
今年のMETガラにも夫婦揃って出席していた(写真:REX/アフロ)

 ハリウッドで最高の仲良しカップルが、長い夫婦関係に終止符を打った。ヒュー・ジャックマンとデボラ=リー・ファーネスが、破局を発表したのだ。

「People」を通じ、ふたりは、「私たちは30年近くも夫婦としてすばらしい結婚生活を楽しんできました。今、私たちは違った道をたどろうとしています。個人として成長していくために、私たちは別れることを決めました」と声明を発表した。最後は、この件に関して、どちらも今後これ以上のことを言わないという宣言で締めくくられている。

 ふたりの出会いはオーストラリアのテレビ番組「Correlli」。ジャックマンより13歳上で、1988年のオーストラリア映画「Shame」でブレイクを果たしたファーネスはすでに知名度のあるスター、ジャックマンはドラマスクールを卒業したばかりで、これがプロの俳優としての初めての仕事だった。その1年後に、ふたりは結婚。2度の流産を経験した後、夫妻は養子を取ることを決めた。オスカーと名付けられた息子は現在23歳。娘はエヴァという名前で、18歳だ。

2008年「オーストラリア」のプレミアに出席した夫妻
2008年「オーストラリア」のプレミアに出席した夫妻写真:Shutterstock/アフロ

 インタビューでプライベートな話を避けたがるスターは少なくないが、愛妻家のジャックマンは、筆者との取材でもたびたび自分から妻への愛について語ってきた。ニューヨークを拠点にしたことについては「妻がそう望んだから」と言っていたし、「ウルヴァリン:SAMURAI」公開時にファッションの好みについて聞かれた時には、「僕の服装は、妻が僕に何を着て欲しいかで決まる。『これ、あなたに似合うわよ』と言われて、『わかったよ、ベイビー』と答えるんだ」と言って笑っていた。その後には、「妻に出会った時、彼女はストックブローカーと付き合いたいと言っていた。だから今も、ふたりで夜出かける時、僕はスーツを着て、株の話をしたりするよ」とも明かしている。また、役のために体を鍛え、筋肉をつけると、妻に「ヒュー、夫としてのあなたの役目は、横にいる私が綺麗に見えるように、太ってだらしない体でいることよ」と言われるのだとも惚気ていた。

 つい2年前、「レミニセンス」公開時のインタビューでは、夫妻がちょうど結婚25周年を迎えたとあって、夫婦仲良しの秘訣を質問してみた。それに対し、ジャックマンは、「正しい相手を選ぶことが一番。出会った時、僕は直感的に、この人と一緒にいるべきだと思ったんだ。正しい相手を選ぶと、常にありのままの自分でいられる。自分でないもののフリをしなくていい。パートナーとは、お互いをはっきりと見て、受け入れないといけない。そうじゃなきゃ続かないよ。それに、楽しむことだ。僕の妻ほど楽しい人に、僕は会ったことがない。僕は本当にラッキーだ」と答えた。だが、「僕らの間にはシンプルなルールがある。怒ったまま寝ないこと。意見の食い違いがある場合は、寝る前に解決する。そのせいで寝るのが遅くなることもあるよ」と、陰には努力もあるのだということも語っている。

夫妻の仲良さそうな姿は、たびたびパパラッチされてきた
夫妻の仲良さそうな姿は、たびたびパパラッチされてきた写真:Splash/アフロ

 彼らの声明では、「separate(破局)」という言葉が使われており、「divorce(離婚)」という言葉は出てこない。これだけはっきりと別離宣言をしたとあれば、おそらく離婚を決めていると思われるが、下の子も18歳になっているし、ほかのセレブのように養育費や親権をめぐって醜い争いをすることもないだろう。

 ジャックマンの総資産は1億8,000万ドル(約266億円)と推定される。ファーネスは、今年、エリック・バナ主演のオーストラリア映画「Force of Nature: The Dry 2」に出演しているが、ここ10年ほどはほとんど仕事をしていない。結婚した当時、まだ新人だったジャックマンが、セレブの常識である婚前契約(pre-nup)を結んでいたかどうかはわからないが、財産分与に関しても、すでにふたりの間ではある程度話し合いがついているのかもしれない。

 ふたりは、声明の中で、「私たちは、次のチャプターを、感謝、愛、優しさを持って歩んでいきます」とも述べている。彼らのこれからを見守りたい。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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