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あなたの家の周りにも山ほどいる身近で危険な害虫その2=イラガ

天野和利時事通信社・昆虫記者
美しき毒虫、イラガの幼虫。

 イラガの仲間の幼虫には、派手な柄、繊細な柄のものが多く、ビジュアル系好みの虫好きを楽しませてくれる。しかし、この幼虫には、電気虫という俗名がある。刺されると、感電したかのようにビリビリと痛いのだ(昆虫記者も経験あり。ビリビリの後は水ぶくれになるので、感電というより、火傷に近いかも)。

ヤナギにいたイラガの幼虫。ドキッとするほどきれいなので、見つけたら是非撮影してほしい。でも近くに別個体がいることも多いので、刺されないよう要注意。
ヤナギにいたイラガの幼虫。ドキッとするほどきれいなので、見つけたら是非撮影してほしい。でも近くに別個体がいることも多いので、刺されないよう要注意。

 きれいな幼虫だからといって、むやみに接近して撮影していると、近くにいる別個体に気付かずに刺される恐れ(昆虫記者の災難の場合もこのケース)もあるので、要注意。刺された場合の対処法は、前回アップしたチャドクガと同じだ。イラガの仲間の繭や成虫には毒針がないので、ドクガの仲間よりは対処しやすい。

蛹化直前だろうか、こんな丸々と太ったイラガの幼虫も可愛い。
蛹化直前だろうか、こんな丸々と太ったイラガの幼虫も可愛い。

 イラガの仲間の幼虫の中で、街中で最も良く目にするのは、ヒロヘリアオイラガかもしれない。街路樹のサクラ、ケヤキなどで多く見られる。イラガの幼虫ほど派手ではないが、繊細な柄はなかなかのものだ。

ヒロヘリアオイラガの幼虫と、成虫が羽化した後の繭。
ヒロヘリアオイラガの幼虫と、成虫が羽化した後の繭。

 このほか、アオイラガ、クロシタアオイラガ、タイワンイラガなどの幼虫もフォトジェニックなので、(用心しながら)是非探してほしい。

 時々大群を見かけるのが、ヒメクロイラガの幼虫。そんな群れには近づかないに限る。この幼虫は全然美しくないので、撮影意欲も湧かないだろう。

たぶんヒメクロイラガの幼虫の群れ。もっと大群の写真もあるが、気分が悪くなる人がいると困るので使わないことに。
たぶんヒメクロイラガの幼虫の群れ。もっと大群の写真もあるが、気分が悪くなる人がいると困るので使わないことに。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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